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第007話〜リヴァイアサン襲来〜

 警戒をしなければ、という思いはどこへやら。疲れが溜まっていたエータは赤子のようにグッスリと眠っている。



 ――⋯⋯ガォォォォン!!――



 そんな彼を、巨大な鳴き声がたたき起す。


「な、なんだ!? アイテムボックス!!」


 (ます)ハウスを収納し、靴を履く。

 朝日に目を細めながら沖のほうを見る。




 ――そこには、絶望がいた。




 陸からおよそ30キロメートルは離れているであろう沖合に、その距離を感じさせないほどの巨体と存在感。エータは直感的にそれがなんなのかを理解した。


海神竜(リヴァイアサン)⋯⋯」


 地球にも残る伝説の生物。

 全長は数十キロメートルにもおよぶとされている海の怪獣。


 別名『神の次に強き者』。


 およそ人間が出会っていい生物では無い。

 恐怖に固まる彼を視認したリヴァイアサンは、海上に出ているおよそ3キロメートルはあろうかという巨躯(きょく)をゆっくりと持ち上げ、すべてを飲み込まんとするほどの大口を空へと向けた。


「なんだ!? 一体なにを⋯⋯!」


 はじめて遭遇する空想上の生物だが。身体が。魂が。すべての感覚が。全力でエータに警鐘を鳴らしている。

 いまから訪れるのは『死』。

 確実な『死』だと。


「うわっ!! うわぁぁぁー!!!」


 エータは走った。森のほうへ。とにかく、あのバケモノから離れなければ死ぬ!!

 本能がそう叫んでいる!!


「アイテムボックス! アイテムボックス!!」


 進行方向、自分の道を切りひらくようにアイテムボックスで草木や地面をえぐり取る。

 広範囲を一気に削ってしまうとリヴァイアサンに見つかってしまう可能性があるため、最小限にとどめた。

 自分の歩く道だけを作り、木の陰に隠れながら逃げるつづける。こんな小細工はヤツに通用しないかも知れない。

 それでも、1パーセントでも生き残る可能性をあげるために。


 木の根や巨木すらも無視して道を作る。もうどこを走っているのかさえわからないが、それでも走り続ける。遠くへ、遠くへ、遠くへ。






(逃がさないよ。バスティの使徒)






 リヴァイアサンの周りの大気がゆっくりと震えはじめる。


 それはまず、さざ波をおこし。

 荒波となり、津波となった。


 晴天を曇天へと変え。

 雨雲を雷雲へと変え。

 どんどんと成長していく。


 リヴァイアサンを中心に、辺り一面が疾風のような速さで、厚く、黒い雲に覆われていく。


 しかし、このような常軌を逸した現象も、リヴァイアサンが今から行う『攻撃』の余波にすぎない。




 ――ゴォォォン⋯⋯――




 大地が揺れはじめた。

 リヴァイアサンの口先に丸く、青く光るエネルギーの塊が創られていく。雷鳴が、まるでリヴァイアサンの攻撃を賞賛するかのように激しく響きわたっている。


 と、リヴァイアサンは集めたエネルギーの塊をバクンッと飲み込んでしまった。


 同時に、先ほどまで激しかった雷鳴がピタリと止む。世界が終焉をむかえたかのような静けさが、不気味に辺りを包みこんだ。


「なんだ?」


 その静寂に思わず、エータは振り返った。振り返ってしまった。リヴァイアサンの方向を。そして、その瞬間を見てしまったのだ。目に見える『絶望』が降りかかる。その時を。











――海神竜(ダンザイ)咆哮(ツルギ)――











 リヴァイアサンの口から空へと放たれる青白い閃光。それは神々しささえ感じる、終焉の光。まさに神の御業。


 超高圧縮されたエネルギーの塊を、リヴァイアサンは遥か上空から大地へと思いきり叩きつける。


 一閃。その光は、ことごとくを斬り伏せた。

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