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第004話〜範囲広すぎない?〜

「おかしい、絶対におかしい。」


 宮下瑛太(みやしたえいた)、42歳は、オオカミたちとの激戦?を終え、ひとり海水でズボンとおぱんてぃを洗いながら考え込んでいた。まぁ、洗うと言っても下半身を海水に浸けているだけなのだが。


「俺の能力はアイテムボックス⋯⋯物を出し入れする力で間違いない。⋯⋯試してみるか?」


 ザブザブと海からあがり、砂に手を置いてアイテムボックスと呟いてみる。



 ――ピコンッ!



――――――

砂。を何キログラム収納しますか?

――――――



 やはり、間違いない。



(じゃあ、なんでオオカミたちは引いたんだ?こんなひらけた砂浜⋯⋯。5匹で囲めば簡単に仕留められたはずなのに)


 そうなのだ。アイテムボックスは『物を出し入れする』能力。オオカミたちが襲って来なかった意味がわからない。

 うーん。と、首をかしげる。


「よし、やめたやめた! 考えても仕方ないことは後回し、いまは当初の目的である水と寝床の確保だ!!」


 とは言った物の、そもそもソレを探すための森林探索である。オオカミたちの脅威がある以上、もう森へは入れない。


(あれ、これ、詰んだ? うん、詰んだかも。どうしよ⋯⋯。)


 エータは一人、砂浜に体操座りをし、あと数時間で水平線に落ちてしまうであろう太陽を見ながら絶望した。

 嗚呼、ケモ耳の君よ。バスティよ。どうしてもっと安全な場所に転生してくれなかったんだい?リコール、プリーズ。そう思いながら。



「せめて海水が飲めればなぁ」



 ――ピコンッ!



――――――

海水を収納し、飲用可能な水を取りだしますか?

YES

NO

――――――



「えっ?」



 なにこれ?どういうこと?飲用可能な水を取りだす?エータはすこし戸惑った後、心の中のウィンドウに『YES』と答える。すると、30メートル先の海に渦潮が産まれていくのが見えた。


(おっ、これってもしかして!)


「アイテムボックス!」



 ――ピコンッ!



――――――

海水×50ℓ

飲料水×30ℓ

塩×1kg

貝殻×150g

貝の死骸(可食)×5g

・アサリ

・ギライマ

貝の死骸(非可食)×15g

魚の死骸(可食)×200g

・アジ

・カサゴ

・エルテルク

・イワカガネ

魚の死骸(非可食)×600g

海藻×500g

鉄×0.5g

銅×0.3g

サンダーイールの電気器官×1個

イビルテンタクルの残骸(可食)×200g

リヴァイアサンの鱗×1枚

 ⋯⋯etc。

――――――



 リアルタイムで数値が増えていく。



「アイテムの自動選別!? なにこれ便利すぎ!! しかも、海水を吸いこみ続けてないか!?」


 エータは試しに「ヘイ、アイテムボックス、飲料水!」と言ってみた。突然、目の前の空間からピュー!と水が出てくる。そして、恐るおそるその水を手にくみ、一口飲んでみた。


「水、水だ、水だよこれ! 飲めるぞぉ!! 神様仏様バスティ様!! 生意気いってすんませんした! コレは立派なチートです。サバイバル編! 完!!」


 一人ハイテンションで、顔も知らない女神に両手をあわせる42歳の姿が、そこにはあった。


 そして、彼はふとこんな事を思う。


(いま俺、海水に触れてなかったよな? それに、具体的な距離や量も指定してないし。ただ『あそこらへんで試してみるか』とぼんやり考えただけ⋯⋯)


 どこまでも続く深い森をチラッと見る。


(もしかして、イメージするだけでも使えるのか?)


 まさかと思いつつ、視線の先にすぅーっと手を掲げ、彼は呟いた。



「アイテムボックス」



 ――⋯⋯ズァッ!――



 その瞬間。幅10メートル、直線にして約1キロメートルの草木が一瞬にして無くなった。

 その範囲は完全に『イメージした通り』であった。


「はは⋯⋯これ、マジでやべぇわ⋯⋯」


 いきなり木々が無くなり、姿があらわになる5匹のオオカミ。慌てふためき逃げていく彼らを見ながら、エータは「異世界名物、チート来たぁぁー!!」と、子供のように歓喜した。

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