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第022話〜リヴァイアサンの鱗〜

(追いついたぜぇ、クソ人間共!)



 ベヒモスが追いついてきた!


(早ぇよバカ!! すこしは加減しろ!! 考えろ! 考えろ!! 考えろ俺!!! なにかあるだろ! なにか!!!)


 エータは脳内でアイテムボックスを見る。

 そして、とある物を見つけた。



「これだ!!!!」



 突然叫んだエータにドロシーとビートが振り返る。


「どうかしまして!?」


「あいつに対抗できそうなんだ!」


「マジか!? 信じらんねぇ!」


「どうするんですの!?」


「とりあえず一回アイツを撒いて良い!? もう肺が限界!!」


 エータは自らの貧弱なボディを呪った。


「イーリン! さっきのやついける!?」


「また水のモクモク! あれば!」


「オッケーりょーかい!! アイテムボックス!!」



 ――ドドドドドドォ!!――



 後ろからやってくるベヒモスに向かって津波のような海水を食らわせる。その高さはベヒモスの身体を頭から包むには十分な量であった。



(チッ、さっきからなんなんだァ!? この水は!!)



 海水の圧倒的な物量に流され、ベヒモスはその勢いを無くす。エータは、後々の影響を考えてヤツに当たらなかった水は回収した。

 そして、そのまま津波に再利用。アイテムボックスを利用したループである。


(見たかベヒモス! これが俺の必殺技! 無限水圧地獄だ!!)


 と、エータが調子に乗っているのを知ってか知らずか、ベヒモスは心臓をドクンっ!と、強く鳴らし体温をさらにあげていく。

 触れた瞬間に水蒸気へと変えられていく大量の水たち。



 ――濃霧蜃気楼(ミストミラージュ)――



 その水蒸気を見てイーリンはすかさず魔法を放った。辺り一面に広がる霧。エータたちはベヒモスを撹乱(かくらん)するように進路を変更し、草かげに身をひそめた。


 ヒソヒソと話す面々。



「で、こっからどーすんだ?」


「ちょと⋯⋯まって⋯⋯息が⋯⋯」


「あぁんもう! もどかしいですわね!!」


 そんなこと言ったってしょーがないじゃないか。

 エータはかなりえずきながらそう思った。

 これは現物を見せたほうが早そうだ。そう思ったエータはアイテムボックスから100センチはある例のブツを取りだした。


「これは!!」


 ビートが驚きの声をあげる!


「おー!!」


 イーリンは子供のように目をキラキラとさせている!


「で? これ、なんですの?」


 ドロシーが首をかしげながらエータに聞く。


「つい驚いちまったけど俺もわかんねぇ」


「私もわかんない。でも、すごいマナ、感じる!」


 結局、誰もわからないのかよ!ずっこけるエータ。

 深海を固めたような鮮やかなブルー。鉱石のような重量感がありながらもフェアリーの羽のように軽い物質。エータが取り出したのは、そう!


「リヴァイアサンの鱗だ!」


 ゼーハーと息を切らしながら応えるエータ。


「「「リヴァイアサンの鱗?」」」


 てん、てん、てん。

 あれ??思ってたんと違う!エータは激しく動揺した。


「まぁ、確かにそれはスゴいですわ。伝説の竜ですものね⋯⋯。あの牛にもダメージが入るかも知れません。ですけど、その鱗一枚でどうしますの?ダストンは負傷、ビートは弓使い、イーリンは魔法使い、わたくしは踊子ですわ⋯⋯」


「あっ⋯⋯」


 そうなのだ。リヴァイアサンからのドロップアイテムとはいえ鱗は鱗。よしんば武器に出来たとしても今いるパーティに装備できそうな人が居ないのだ!


 つ、詰んだ⋯⋯。


 エータたちが希望を失いかけたその時だった。



「ドロシーじゃ」



 ダストンが痛みに顔をゆがませながら応える。


「わたくし!?」


 予想外のご指名にドロシーは大きく目を見開いている。


「ドロシーの足に⋯⋯うっ⋯⋯ぐぅ!」


「親父!! もう喋んなって!!」


 ドロシーの足に?なんで??

 そんなことを考えていた、次の瞬間!

 


 ――ブォォォォォ!!!――



 ベヒモスがまた雄叫びをあげる。

 溢れんばかりのプレッシャー⋯⋯!

 また攻撃態勢に入ったようだ。


 ドロシーは考えこんでいる。


「やってみましょう、装備すれば何かわかるかも知れませんわ」


「たしかに、このまま何もしないよりはマシか」


 エータはアイテムボックスの中でリヴァイアサンの鱗を加工しはじめた。

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