第104話※性描写注意〜みんなで…②〜
※かなり削ってありますが、性描写があります。
ただ、ストーリーと密接に関わるので、苦手な方は最後の方だけ読んでいただけたらと思います。
ベッドから降り、イスに座ってふてくされるイーリン。
エータは、そんな彼女の頭を撫でた。
「エータ、約束だからね」
そう言って、イーリンはエータの手を取る。
「あぁ、約束する」
二人は、小指をからめ、指切りをした。
「エータ⋯⋯」
「エータくん」
フィエルとディアンヌがエータを呼ぶ。
(こればっかりは仕方ないか⋯⋯)
イーリンとの事を断った手前、かなり気まずいエータだったが、意を決して、二人の元へ向かった。
――――――
ディアンヌが甘い吐息を漏らしながら、エータの唇に吸い付く。
「エータくん⋯⋯」
その顔は完全にとろけており、もう待ちきれないといった様子であった。
裸のディアンヌが、広いベッドの上にエータを座らせ、向かい合うように腰を落とす。
「愛してください、エータくん」
それは、どこか悲哀に満ちた瞳だった。
もしかしたらディアンヌは、自分が十分に愛してもらえるか不安なのかも知れない。
そう感じたエータは、彼女にもきちんとプロポーズをする事にした。
「この先、ディアンヌのことを好きだと言うヤツが出てきても、俺の方が君を愛してみせるよ」
その言葉に、ディアンヌはハッと目を見開き、そして、ちいさく「お願いします」と言った。
二人はしっかりとお互いの目を見つめ、そして、深くキスをした。
ディアンヌの体温はさらに上昇し、甘い匂いを撒き散らしている。
むせ返るような彼女の匂いを肺いっぱいに吸い込んだエータは、頭がボーッとしながらも、彼女との愛を育くんだ。
暴力的な快楽をくれるフィエルと違い、ディアンヌは身体の内と外から柔らかく包みこむような快楽を、じんわりと与えてくれる。
彼女の中は「愛して」というように。
懇願するように。
エータを求めた。
ディアンヌはキスが好きなようで、体勢を変えようとしても、ずっと吸い付いてくる。
そんな彼女がかわいくて、エータはフフッと笑い、
「ディアンヌ、俺はどこにもいかないよ」
と、言った。
「いいえ、元からここに居ないんです。エータくんは⋯⋯。でも、それでも良い」
ディアンヌは心の中で(今だけは愛して⋯⋯)と囁いた。
きっと、彼女の心を溶かすには時間がかかる。
エータは、そう感じた。
だから、今できる精一杯を彼女に与えたい。
確かに、一番にはしてあげられないかも知れない。
でも、彼女が寂しくならないように。
精一杯⋯⋯。
「ちゃんと、愛してるよ」
両手で彼女の顔を包みこみ、キスをするエータ。
ディアンヌは彼の後ろに手をまわし、深く、深く、離れてしまわないように、願うように、キスをした。
エータの心の中、前の世界の常識や美徳といった物⋯⋯。
『価値観』と呼べる物が少しずつ、溶けるように変化していた。
皇帝としての覚悟。
それは、民を守るだとか、豊かな生活を目指すだとか。
そう言った物だけでは無いのかも知れない。
責任の陰には、いくつもの涙がある。
ディアンヌは、三人の中で一番、エータの『バスティの使徒』や『皇帝』としての立場を考えてくれているのかも知れない。
どうしたら、彼女をもっと愛してあげられるだろうか。
どうしたら、彼女を寂しくさせずに出来るだろうか。
それは量や大きさと言った物だけでなく『形』が重要なのではないかと、エータは感じていた。
(ディアンヌがこの先、寂しくならないようにするには⋯⋯俺は⋯⋯)
君が、心の底から、愛されていると。
俺を愛して良かったと。
そう思って貰いたい。
エータは強く、強く願った。
そして。
二人はゆっくりと快楽を重ねていく。
『さみしい』『愛して欲しい』
そう言った感情が、体温を通して伝わってくる。
今だけは、忘れさせてあげたい。
――――――
干からびた砂漠をさまよう旅人が、
神様から情けをうけるように。
両手いっぱいの水をいただくように。
エータのそれを全身で飲み干すディアンヌ。
「しあわせです⋯⋯エータくん⋯⋯」
「俺も⋯⋯」
すこしは伝えられただろうか?
と、エータが思ったその瞬間。
ディアンヌの身体が月のような光に包まれる。
「これは⋯⋯!?」
混乱するディアンヌ。
「まさか、ブライの言う通り⋯⋯」
――職業昇格・大神官――
読み飛ばした方へ
①エータがディアンヌの中に『愛して欲しい』という気持ちがあることに気付く
②行為のあと、クラスアップして大神官になる
という展開でした