第100話※性描写注意〜子づくり〜
直接的な描写は避けてますが、苦手な方はこの話は読み飛ばして大丈夫です。
ただ、今後性描写有りの話の中に重要な物もあるので、その時はまた前書きにて告知します。
ブバスティスの端っこに建てた新築の家。
ピカピカの床や壁。
そして、寝室。
まっさらな肌触りの良いタマカイコのシーツ。
そして、広々としたキングサイズを超える巨大なベッド⋯⋯。
村で一番大きな家となったそれは、簡易的なエータの城である。
そして、エータと妻たちの愛の巣。
「ふ、不束者ですが⋯⋯よろしくお願いいたしましゅ」
蝋燭の火で、かすかに照らされた先。
顔を真っ赤にしたフィエルが、ベッドの上で正座をしている。
「こ、ここ、こちらこそ」
経験が無いわけでもないクセに、エータもガッチガチである。
なぜか。
それは、フィエルがとんでもなく美しいから、と言うのもある。
しかし、もっと重大な理由が⋯⋯。
「お二人とも、もっとリラックスしないと⋯⋯」
「いまから、こども、つくる?」
ベッドの横にあるイスに、ディアンヌとイーリンが座っているからだ。
「リラックスって言われても、やっぱりこんなの無理だって!」
「そそそ、そうだぞ! せめて向こうをむいていてくれないか!?」
さて。なんでこんな面白い⋯⋯もとい、へんちくりんな事態になっているのか。
――時はすこし遡って、会議⋯⋯。
「ひとつ、可能性がございます」
ナトゥーメの里、エルフの元族長エルドラが口を開く。
「可能性?」
ブライは、自分も知らないその『可能性』とやらに興味津々だ。
「そもそも、なぜ人間とエルフが交わると、人間が絶命してしまうのか。それは、急速な興奮状態による血管の破裂です」
ブライはふむふむと相槌をうっている。
「先の牛鬼との戦いで、そちらのイーリン様とディアンヌ様は、それぞれ氷魔法使い、治癒魔法使いだとお見受けしました⋯⋯。なので⋯⋯」
ブライがハッとして口を開く。
「エータが危険なほど興奮状態におちいってしまった場合はイーリンに冷やしてもらい、血管が破裂するようであればディアンヌに即座に治癒してもらえば⋯⋯!」
「アホかお前らは!!!!!」
たまらずエータがさけぶ。
クルトは「もう勝手にしとくれ⋯⋯」と、ため息をつきながら頭を抱えた。
エルドラは真剣な表情で続ける。
「ふざけている訳ではございません。使徒様の身になにかあれば、我々だけでなく、このバハスティフに生きるすべてのエルフに影響が出るのです。なんとしてでも生き残っていただき、子孫を残していただかなければなりません」
(チクショウ⋯⋯貞操観念とか、女性への配慮とか⋯⋯そういう物がまったく無い。久しぶりに文明レベルの低さを痛感するぜ⋯⋯)
とはいえ、他に方法がないのも事実である。
「エータ。これは君の意志を尊重するための措置だ。そこはわかってくれても良いんじゃないか?」
ブライのその言葉にぐぅの音も出ないエータ。
そして⋯⋯。
「⋯⋯わかった。皇帝になるって決めたときから、俺の命が俺だけの物じゃないっていう覚悟は出来てる。だから、俺はそれで良い。でも⋯⋯」
エータは三人の顔を見る。
「みんなはどうする?」
――――――
その結果、仲良く四人で⋯⋯。
ということになったのだ。
(ちょっとは嫌がれよ!!!!)
なんとまぁ、三人の妻は強く否定もせず⋯⋯。
なんなら、イーリンとディアンヌに至っては『どんな感じなんだろう』と、ノリノリであった。
(やるしか無い⋯⋯か⋯⋯)
覚悟を決め、フィエルとの夜の営みに挑むエータ。
――結果、彼は何度か死にかけた。
ディアンヌの治癒と、イーリンの氷結魔法により、一命は取りとめたものの、襲い来る暴力的な快楽により、何度も失神。
エルフと人間が結ばれない理由を嫌というほど体験したのだった。
(舐めてた、ここはファンタジーの世界。前の世界じゃ起こりえないことも起きちまう⋯⋯。人間の身体ってこんな快感を味わうように出来てたのか⋯⋯)
エルフの発情期は稀という話はどこへやら、フィエルの『エータへの愛』が爆発し、途中から「もう快楽で殺しに来ているのでは?」というほど乱れる彼女。
「エータ⋯⋯舌だして⋯⋯」
「えっ?」
フィエルに覆いかぶされ、仰向けになっているエータ。
彼は言われた通り舌をだした。
すると彼女は、彼の上から口を開き「えあー」と唾液を垂らし、舌を伸ばして、エータの口内をむさぼりはじめた。
彼女の肉厚でなめらかな舌がまとわりつく。
どうしたら舌がこんな動きをするのかわからないほど。
エータの舌に絡みつき、締めつけたり、引っぱったり、もてあそぶフィエル。
(ただのキスなのに⋯⋯!)
驚異的な快楽に、もはや恐怖すら覚えるエータ。
そして突然、彼女に両手首を捕まれ、身動きを封じられる。
「ふぃえら? ふぁにを」
「えーふぁ、好ひ」
そう言うと、動けないエータの口の中に、彼女の甘い蜜のような唾液が大量にそそぎこまれた。
「んんっ!! んー!!」
――ゴクッ! ゴッキュッ!
濃厚な甘い香りが、体いっぱいに広がる。
――ドクンッ!!
「んっ!?」
すると、エータの心臓が破裂しそうなほどにバクバクと鼓動を早めはじめた。
「ぷはっ! フィ、フィエル⋯⋯! いったい何を⋯⋯」
「私にもわからない⋯⋯でも、どうしてもそうしたくて⋯⋯」
『エルフの求愛行動』。
エルフ、森人とは、文字通り山と森の民である。
彼らは、人のカタチをしているが、木の妖精や精霊に近い存在。
そのため、長寿であり、自然との親和性が高く、マナを扱うことに長けている。
発情期が稀でみじかく、その時、確実に子を宿さなければならないため、人間には刺激が強すぎる特性が多々ある。
そのひとつが、いまの唾液である。
エルフの女性特有の求愛行動。
生理的で、本能的な物。
『男性の性欲を高め、色々と強くする唾液の分泌』。
そう、天然の『超強力な媚薬』である。
それを身体に流し込んだのだ。
「はっ! はっ! はっ!」
エータは顔を真っ赤にし、もうフィエルの事しか考えられないほどに興奮している。
「これは、危なそう」
イーリンがエータの頭を必死に冷やすが、焼け石に水だ。
「エータ!!」
目をハートにし、理性の飛んだフィエルが、エータに抱きつく。
その行動が、彼の最後のリミッターを解除した。
(もう、どうなってもいいや)
そう思うやいなや、エータは使わないよう気をつけていた身体強化を解禁し、激しく彼女を愛した。
後半はエータが一方的にフィエルを攻める形に⋯⋯。
――結局、二人は体力の限界までお互いをむさぼった。
ぐちゃぐちゃになったベッドの上で目が覚める。
ディアンヌとイーリンは、二人が寝たのを確認した後、そっと家を出たようだ。
「くそっ⋯⋯快楽に負けてすっかり理性が飛んじまった⋯⋯」
ベッドに横になりながら、両手で頭を抱えるエータ。
「エータ、おはよう」
横を見ると、天女かなにかと見間違うほどに美しい女性が隣にいた。
「フィエル⋯⋯かわいすぎ⋯⋯」
「なーっ!?」
一線⋯⋯どころか何十線と超えたというのに、ウブな反応を見せるフィエル。
二人は朦朧とする意識の中、そっとキスをし、手を繋いだ。
この世界にこんな幸せな事があるのかと、そう思いながら。
――――――
ギシギシと痛む身体にムチを打ち、エルフの里の毒の処理や、一日の仕事に向かおうとする二人。
愛しあう声が外までダダ漏れだったが、近くに住む村人たちは空気を読んで、その事には一切触れなかった。
ただ一人、ドロシーだけはフィエルに「部屋の壁を厚くした方がよろしいですわよ」と、耳打ち⋯⋯。
フィエルが「ボンッ」という音を立てながら顔を真っ赤にしたのは言うまでもない。
性描写をガッツリ書きすぎていたので5000文字くらい削りました(2話分)
内容としましては
①入れた瞬間、絶頂and気絶するエータ
②ディアンヌに回復して貰うも、フィエルの具合が良すぎて強制的に大きくさせられ、また絶頂and気絶(これを3回繰り返す)
③やっと落ち着いてきた頃に、フィエルが「やはり私の身体が醜いからエータが変に⋯⋯」と不安になりはじめる
④「いや、むしろ逆。最高すぎて死ぬ」というエータの言葉に、フィエルが「本当に?」と自信を持ち始める。
⑤「じゃあ⋯⋯好きにして良いぞ」と、調子に乗ってノリノリになってしまったフィエルから快楽で殺されそうになる
という展開でした。
その後、フィエルも気分が昂ってしまい、本編の唾液に繋がります。
唾液で理性が飛んだエータが身体強化を使ってからは、エータが攻めに転じる。という展開でした。
それともう一つ。
本編とは関係ない裏設定として、フィエルの家系は『人間より』です。
亜人は亜人だけど、人間の要素が強いという事。
エルフが肉付きの良い者を迫害するのは、この『人間よりである』というのを本能的に嫌っている事が原因であり、フィエルの家系がナイスバディなのも『人間より』なのが原因です。
そして『フィエルがエルフにしては性欲が強い』のも、これに起因します。単純に彼女がエータの事が好きなのもありますが。
『守りたい』という気持ちの中には『好きな人を支配したい』というSな側面もあり、フィエル自身も気付いていませんがSです。
なので、この先もエータはずっと快楽攻めにあって死にかけます。身体強化が無ければ危なかった。
作中でエータを一番追いつめるのはフィエルなのかも知れませんね。