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白い結婚を申し込まれた令嬢が冷静に補償を要求するお話

「僕には愛する人がいる。君のことを愛することはできない。今回の婚姻は、『白い結婚』とさせてくれないか」


 夜も更けたころのことだった。伯爵家の寝室で、苦悩に満ちた言葉が響いた。

 言葉を受けたのは子爵令嬢シィンセリア・ノンリワルド。

 腰まで伸びたアッシュブラウンのストレートヘア。瞳は冷ややかなアイスブルー。無表情の整った顔立ちは、彫像を思わせる完成された美しさがあった。

 ベッドに腰かけているが、くつろいだ様子はない。その背筋はまっすぐに伸びている。身にまとうのは飾り気の控えめな清楚なネグリジェではあるが、初夜を待つ新婦と言うよりは、執務中の文官を思わせる佇まいだった。


 言葉を告げたのは伯爵子息アンウィーズ・フォルヘアート。

 肩まで伸びるウェーブのかかったブロンドの髪。切れ長のグレーの瞳に細面の美しい顔立ち。スラリとした体つきの美男子だ。

 その優れた容姿によって貴族令嬢たちの噂に上ることも多い彼だが、今はその顔を苦悩に歪ませている。それでもなお、絵になる美しさがあった

 身にまとうのは来客を迎えるための上等な服だ。初夜の場には相応しくない装いだった。

 

 突然の一方的な申し出に、シィンセリアは動じる様子を見せなかった。ただアンウィーズのことを見つめた。底まで見通そうとするような真剣な眼差しだった。

 アンウィーズは悩みに顔を歪ませ、汗も流している。初夜を待つ新婦への一方的な拒絶。そのことへの躊躇いが見える。後ろめたさも感じられる。それでも一歩も退く様子だけは無い。よほどの覚悟を決めているようだった。

 

 張りつめた沈黙の中、ついにシィンセリアは問いかけた。

 

「……お聞かせください。愛する人とはどなたなのでしょうか?」

「愛する人の名は子爵令嬢ナスタルディア・インヴォルベート。幼い頃の婚約者だった女性(ひと)だ。10年前のインヴォルベート領の襲撃事件で行方不明となってしまった。父は彼女が亡くなったと決めつけてこの婚姻を結んでしまったが、僕は……彼女のことを、まだ諦めていないんだ」


 数百年も昔の事。かつてこの世界には魔王がいた。伝説では勇者が倒したとされている。

 だが、魔王の残した爪痕は大きく、世界の各地には未だ魔王の配下を自称する強力な魔物が存在していた。

 

 10年前、インヴォルベートの所領に魔物の軍勢が突如として現れた。

 インヴォルベート子爵家は攻撃魔法を得意とし、祖先はかつて魔王との戦いでは大きな働きを示したと言われている。それまでも魔物の襲撃を何度も退けてきた。

 だがその時の襲撃はあまりにも突然だった。魔物の数は多く、士気も高かった。一説には、魔王の腹心だった魔物が率いていたとも言われている。


 インヴォルベート子爵家は善戦した。だが、残念ながら力及ばなかった。救援の王国軍が着いたときには子爵家は跡形も無くなっていた。

 子爵家の仇を討つべく、王国軍は戦いを挑んだ。軍勢を指揮する魔物は既に倒されていたようだった。まだまだ魔物の数は多かったが、統制の取れていない群れなど、組織だった王国軍の敵ではなかった。魔物は速やかに殲滅された。

 

 魔物の軍勢の撃退には成功したものの、その被害は大きなものだった。子爵家の邸宅のあった場所は更地となっており、近くにあった二つもの町が壊滅していた。

 その後、王国軍によって捜索が行われたが、インヴォルベート子爵家の人間は誰一人として見つからなかった。公式には行方不明とされた。

 

 

 

 インヴォルベート子爵家は絶えたのだと誰もが信じていた。

 しかしここにその生存を信じる者がいた。伯爵子息アンウィーズ・フォルヘアート。彼はインヴォルベート子爵家の一人娘にして彼の婚約者であるナスタルディアの生存を信じていたのだった。


「だから、この婚姻は白い結婚としたいんだ。どうかこの契約書にサインしてほしい」


 そういってアンウィーズは一枚の契約書を差し出した。シィンセリアはそれを受け取ると、つぶさに内容を確認した。

 

 本来、結婚と言うものは神に対して生涯の伴侶となることを誓う儀式だ。王国において、原則として死別以外の離婚は認められていない。

 『白い結婚』とはその例外だ。夫婦となりながら子を儲けず清い関係を保ち、一定期間の後に離縁することを前提とした契約。複雑な派閥関係をもつ貴族にとって、家同士の関係をとりもつために、こうした形式的な婚姻が必要となることがあるのだ。

 

 アンウィーズが用意したのは公式な白い結婚の契約書だった。魔法による強力な縛りも課してある。この契約が成立すれば、二人は不義を働くことはできなくなる。契約を破れば死ぬことすら有り得る強力な契約の魔法がかけられていた。

 

 既にアンウィーズの名前は書いてある。後はシィンセリアがサインするだけで『白い結婚』は成立する。期間は3年。それが過ぎれば、二人は離縁することになる。

 ここまでしっかりした契約書を準備することは簡単なことではない。高額を要し、煩雑な手続きも必要となる。この契約書一枚だけでも、アンウィーズの本気のほどがうかがえた。


「事情は承知しました。しかし今、この契約書にサインすることはできません」


 契約書を確認したシィンセリアは、淡々とした声でそう告げた。

 アンウィーズは泣きそうな顔になった。


「シィンセリア……初夜にこんなことを告げられて、君が誇りを傷つけられたと怒るのはわかる。だが僕はどうしても君を愛することはできないんだ。どうかわかってくれないか?」

「そういうことではないのです。アンウィーズ様、これは契約違反です」

「け、契約違反だって?」


 思いがけない言葉が出てきて、アンウィーズは驚きの声を上げた。


「そうです。我が子爵家とあなた様の伯爵家は婚姻という契約を結びました。これは結婚し、子を生し、両家の結びつけを確かなものにするという、貴族同士の契約です。たとえフォルヘアート伯爵家次期当主のあなた様でも、それを一方的に反故にすることなどできません」


 シィンセリアが落ち着いた声で語る内容は、道理にかなったものだった。

 だがそれはアンウィーズにとって受け入れられる理屈ではなかった。

 

「……そうか、君はサインしてくれないのか……!」


 憎しみのこもった声だった。その眼差しには殺意すら感じられた。サインを拒めば実力行使も辞さない……そんな危険な空気が感じられた。

 だが、シィンセリアは臆することなく冷静に答えた。


「いいえ、『今は』この契約書にサインできないというだけです。こちらも譲歩する余地はあります」

「……どう譲歩すると言うんだ?」

「そちらの都合で契約内容を変更するのですから、こちらには正当な補償を要求する権利があります。補償を受け入れていただければ、『白い結婚』の契約を結ぶことができます。補償内容についてこの場で決めることはできません。一度実家に戻ってから、当家の者と協議の上、正式にご回答したいと思います」


 シィンセリアはベッドから立ち上がると、契約書をアンウィーズに突き返した。


「明日一番に子爵家に戻り、補償内容を検討いたします。それでは今宵はこれで失礼いたします」


 一礼すると、シィンセリアは部屋から去ってしまった。昨日までは伯爵家の客室で寝泊まりしていた。そちらで夜を過ごすつもりなのだろう。


 アンウィーズは白い結婚を契約するにあたり、シィンセリアが悲しみ泣くことを予想していた。彼女が怒り暴力をふるうことすら覚悟していた。それでも最後までやり抜くつもりだった。

 だが、シィンセリアは落ち着いていた。理性的に受け答えし、契約違反の補償を要求してきた。

 想像すらしていなかった展開に、どうしていいかわからなくなった。アンウィーズは『白い結婚』の契約書を手にしたまま、しばらくぼうっと立ち尽くすことしかできなかった。


 


 実家に戻ったシィンセリアが再び伯爵家にやってきたのは一週間後の事だった。

 応接室で出迎えるアンウィーズに対し、彼女は一冊のファイルを渡してきた。そこにはフォルヘアート伯爵家に要求する補償内容がまとめられていた。

 それに目を通し、アンウィーズは唸った。

 

「これは……ずいぶんな要求だな」


 補償内容は大きくまとめると3つあった。


 ・持参金の8割の返還

 ・伯爵所領の一部割譲

 ・伯爵所有の鉄鉱山一つの利権の一部の譲渡


 アンウィーズも賠償金を払うくらいのことは覚悟していた。だがこの要求は、そんな生易しいものではなかった。


「まず持参金についてですが、これは妥当な金額だと思います。本来の婚姻から前提が変わってしまったのですから、全額の返還を求めてもおかしくはありません」

「それはわかる。だが、所領の一部の割譲と言うのは……」

「資料をご覧になればわかる通り、こちらの要求する所領は森を中心とした、さほど広くもない土地です。もともとは我が子爵家が所有していた土地です。フォルヘアート伯爵家は森の開墾を計画したと聞いています。ですが、まだ計画段階で手をつけていません。損失はそう大きなものではないでしょう」


 アンウィーズは難しい顔をしながらファイルのページをめくった。

 

「そして鉱山の利権、か」

「はい。あくまで利権の一部をいただくだけで、鉱山の所有権は伯爵家であることに変わりありません。鉄鉱石の需要は手堅いですからね。『白い結婚』で離縁したあとは、しばらく結婚相手のいない不安定な状況となります。だから安定した収入を確保しておきたいのです」

「それぞれの理由はわかった。だがこれだけのことを要求する根拠はあるのだろうか?」

「本来の結婚生活を30年程度と仮定して、わたしがその間に伯爵夫人として得られる利益を試算しました。それが3年に縮まったと仮定し、慰謝料も含めて算出したのがこの補償内容です」

 

 アンウィーズはこの要求が重すぎると思いながら、しかしうまく言い返す言葉を見つけられなかった。

 たった一週間で補償内容をファイルにまとめてきた。一読するだけで内容が頭にすっと入ってくる、よくまとめられた資料だ。実家に戻っていたということは、彼女の子爵家には既に了解を取り付けて来てあるのだろう。

 それらのことからもわかるように、シィンセリアは卓越した才媛だ。だからこそアンウィーズの父、フォルヘアート伯爵は彼女を結婚相手に選んだのだ。

 彼女がフォルヘアート伯爵夫人となれば、大きな利益を生み出すことが見込まれていた。こうして挙げた補償内容にしても、あるいは彼女の才覚なら、白い結婚の3年の間に自力で得ることも可能かもしれない。

 

 まだ領地経営を本格的に手掛けたことのないアンウィーズに、その妥当性は判断つきかねるものがあった。それでもシィンセリアの理路整然とした説明には、反論の余地が無いと思われた。


「わかった。妥当な補償内容であることは理解した。しかし父を説得するとなるとできるかどうか……」


 もともと『白い結婚』の契約書を盾に強引に事後承諾を得るつもりだった。その目論見はすっかり狂ってしまった。『白い結婚』をする前に、この補償内容を承諾するよう説得しなければならない。


「難しいでしょうか?」

「ああ、大金が動く話だ。簡単なことではないだろう」


 問いかけてくるシィンセリアに対し、アンウィーズは力なく答えた。

 諦めるつもりはなかった。愛のためならどんな困難にも立ち向かうつもりでいた。しかしこうも現実的な、それも金の話が出てくると、まるで違ったものに感じられた。先の見通しが立たない。まるで駆け出しの冒険者が未踏のダンジョンに挑む時のような不安があった。


「それでも、あなたが本当にナスタルディア嬢を愛しているなら、できるはずです」


 シィンセリアから挑発的な言葉をかけられた。

 思わず彼女の顔をまじまじと見る。真剣な顔だった。嘲りも皮肉も感じられない。まるでアンウィーズの愛の深さを推し量るような、ただ真剣な瞳が向けられていた。

 そう言われれば、アンウィーズが後に退くことなどできるはずが無かった。

 

「この補償の要求が通れば、『白い結婚』の契約書にサインしてくれるんだな?」

「はい、もちろんです」

「よし、待っていろ! 必ず父を説得してみせる!」


 力強く告げると、アンウィーズは補償の承諾を取り付けるべく、フォルヘアート伯爵の元へと向かった。



 シィンセリアは待った。伯爵邸に逗留して待ち続けた。


「どうにか父の承諾を得た」


 そう言って、アンウィーズは一枚の書面を机に広げた。表題は承諾書となっていた。

 伯爵家の応接室に、シィンセリアとアンウィーズはテーブル越しに向かい合って座っていた。

 『白い結婚』の補償内容を示してから、実に一か月もの時間が過ぎていた。

 

 大変な交渉だった。愛のために貴族の婚姻を反故にするなど、大貴族であるフォルヘアート伯爵が容易に許すはずもなかった。アンウィーズは幾度も厳しい叱責を受けた。一時は勘当するという話まで出た。

 しかしアンウィーズは諦めることなく粘り強く交渉を続けた。そしてついに伯爵が折れた。息子の決意があまりに堅固なものであり、その意志を曲げることは困難だと判断したのだ。

 補償内容は伯爵から見ても重いものだった。だがシィンセリアの能力の高さを考えればそこまで無茶な要求でもなかった。有能な才媛であるシィンセリアとの関係が決定的に決裂するリスクを加味すれば、受け入れた方が損失は少ないと言えるものだったのだ。

 

 シィンセリアは承諾書を確認した。彼女の挙げた補償内容はすべて含まれており、伯爵の正式なサインもある。不備の無い正式な承諾書だった。

 

「承知しました。それでは『白い結婚』の契約をお受けします」


 アンウィーズから『白い結婚』の契約書を受け取ると、シィンセリアはよどみなくサインをした。

 

「これにて私、シィンセリアは、アンウィーズ様との『白い結婚』の契約を結びました。これから三年間、よろしくお願いいたします」


 ようやく『白い結婚』が結ばれた。アンウィーズは深々と息を吐いた。困難な道のりだったために、感慨深いものがあった。

 

「それで、アンウィーズ様。ナスタルディア嬢の捜索の進捗はいかがでしょうか?」

「あ、ああ。ここ一か月は忙しくてあまり力を入れられていなかったが、人を使って捜索を続けてはいる……」


 10年前のインヴォルベート領の襲撃事件。子爵家は壊滅し、その所領にも大きな被害が出た。王国軍が到着するまでに何があったかはろくな記録が残っていない。実のところ、ナスタルディアの捜索は雲をつかむような話だった。


「後で捜索の報告を見せていただけないでしょうか?」

「なぜだ?」

「わたしにもなにかお手伝いできることがあると思うのです」

「……なぜ手伝ってくれるんだ?」


 シィンセリアは有能な才媛だ。それが初夜に『白い結婚』の契約を持ち掛けられたのだ。誇りを傷つけられたと怒ったに違いない。シィンセリアは不服に思っているからこそ、ここまで重い補償を要求してきたのだと思っていた。

 訝しむ彼に、シィンセリアは困ったように眉を寄せた。


「『白い結婚』とはいえ、3年間あなたの妻になるわけです。夫のために尽くすのは自然なことです。それに伯爵家はわたしへの補償を受けてくださいました。そのためにアンウィーズ様がどれほどご尽力くださったかは知っています。

 手伝おうと思うのは、当然のことではないでしょうか」

「ありがたいことではあるけれど……」


 アンウィーズにはどうにも納得がいかなかった。

 シィンセリアは才媛だ。突然の『白い結婚』の申し出に対して実に冷静かつ理性的に対応した。そんな彼女が情で動くとは思えなかった。あるいは何か裏があるのではないか……そんな風に思えてならないのだ。

 だが、そんな疑いの心は次の瞬間に霧散した。


「なにより……かなうかどうかわからない片思い。それに全てを尽くすのを、愚かなことだとは思えないのです」


 シィンセリアは微笑んでいた。

 悪意はない。ただ真摯な想いだけが感じられる。それはそんな微笑みだった。

 アンウィーズはなぜだかこの微笑みだけは信じられると思った。

 それに、今回の件で彼女の才覚については思い知らされたばかりだ。敵に回すと恐ろしい。だが協力してくれるとなれば、これほど頼もしいことはない。

 

「わかった。よろしく頼む」

 

 アンウィーズはシィンセリアの助力を受け入れた。

 

 

 

「……本当にここなのか?」


 シィンセリアがアンウィーズの想い人、子爵令嬢ナスタルディアの捜索に協力を申し出てから半年ほどが過ぎた。

 二人はかつてのインヴォルベート子爵領だった場所の、とある町を訪れていた。中規模のこれと言った特徴のない、ありふれた町だった。


「はい。記録の上では間違いありません」


 シィンセリアは常と変わらず、その表情に変化はない。ただその顔には影が射しているように思えた。

 後に続くアンウィーズに至っては、顔色を無くしている。泣きそうな顔をしながら、四角い額縁を抱きしめている。その額縁の中には、彼の想い人、10年前のナスタルディアを描いた絵が収まっている。

 絵には赤い髪のかわいらしい少女が描かれていた。少女の浮かべる笑顔は、その先に待つ不幸を感じさせない、しあわせで温かなものだった。


 地図を確認しながら二人は町の中を進んでいった。

 そうしてたどり着いたのは、町はずれの墓地だった。その一角には少々異様な墓碑が並んでいた。

 

 墓碑に名前が刻まれていない。代わりに髪の色や背格好などについての情報が記されていた。

 

 10年前の魔物の軍勢の被害者たちの墓だった。インヴォルベート子爵邸と、その周辺の町二つ。魔物の軍勢の攻撃は実に徹底的なものであり、生き残りはいなかった。名前の確認すらままならず、多くの遺体がその特徴だけを墓碑に記され埋葬されたのだ。

 

「……ここです」


 墓地をめぐる二人は、やがて一つの墓の前で立ち止まった。

 

『赤い髪の10歳前後の少女、ここに眠る』


 それしか書いていない。曖昧な情報だ。確かにアンウィーズの想い人、ナスタルディアの特徴とは一致はしていた。

 

「本当に……本当に彼女はここに眠っているというのか……」

「記録によれば間違いありません。当時を知る者からも直接話を聞きました。子爵令嬢ナスタルディア・インヴォルベートは、お亡くなりになりました」


 あれから半年。シィンセリアは当時の記録を入念に検分した。魔物の軍勢から生き残ったという報告は見つけられなかった。だから彼女は当時の死亡記録を調べた。

 あらゆる可能性を考慮し、様々な資料を丹念に調べ、当時を知る周辺の町の人間に聞き込みまでした。そして得られた結論だった。

 その調査結果は既にアンウィーズにも報告してある。彼自身も何度も資料を読み返した。そこには嘘も誤りもないことを確認していた。

 それでもなお、受け入れがたい事実だった。

 だが、こうして実際に墓を目の前にすると、紙の中にしかなかった事実が、アンウィーズに現実としてのしかかってきた。

 

「そうか……そうか……」


 アンウィーズは墓碑にすがるように跪いた。


「……シィンセリア。ここまで調べてくれてありがとう。すまないが、今は、どうか……しばらく一人にしてくれないか……」

「……はい、承知しました」


 シィンセリアは一礼すると、その場を立ち去った。

 後ろからアンウィーズのすすり泣く声が聞こえた。彼女が振り返ることは無かった。

 

 

 

 町にはしばらく滞在することになった。アンウィーズは深く悲しんでおり、とてもフォルヘアート伯爵邸まで戻る旅に耐えられる状態ではなかったのだ。

 

 墓参りをした日の夜、シィンセリアは一人、平民の服に身を包み、宿を出た。訪れた先は町の一角にある酒場だった。人々の楽し気な声や笑い声、あるいは愚痴や泣き言が聞こえた。猥雑に混ざりあったざわめきには活気が感じられた。

 店内を見回しながら進むと、席の一つから声をかけられた。

 

「おおい、こっちだ!」


 声の方に向かうと、そこにはローブ姿の女がいた。癖のついた赤毛に日に焼けた肌。傍らに立て掛けられた魔法の杖。そのくつろぎながらも隙の無い佇まいは、熟練の冒険者といった風情だった。

 彼女は給仕に注文すると、シィンセリアに向き直った。

 

「さて、それじゃあ首尾を聞こうか」

「……アンウィーズ様は、ナスタルディア嬢がお亡くなりになられたことを悲しんでおられます」

「なるほど、そいつは良かった。それならあたしは、予定通り明日の朝にはここを発つことにするよ」


 給仕が運んできたエールを受け取り、軽くジョッキを掲げると、ローブ姿の女はぐいっと飲み干した。酒には強いようだ。

 上機嫌なローブ姿の女に対し、シィンセリアはとがめる視線を向けた。


「……やはり、お会いになってはくださらないのですか?」

「何度も言わせるな。あたしはAランク冒険者フレスフィア。冒険を愛する魔法使いだ。貴族に何てなれやしないさ。子爵令嬢ナスタルディア・インヴォルベートは死んだんだよ」


 彼女はこの近辺では有名な冒険者の一人だ。炎の魔法に長けており、特にファイアーボールの魔法を得意としている。その威力はすさまじく、ドラゴンの爪を砕いたという逸話がある。

 魔法使いフレスフィア。子爵令嬢ナスタルディア・インヴォルベートの、今の姿である。

 

 

 

 魔物の軍勢の襲撃を受け、子爵令嬢ナスタルディアはたった一人生き残った。国王軍に魔物の軍勢が殲滅された後、残敵の掃討に従事していた冒険者パーティーが彼女を見つけた。

 それまで森を彷徨いながら生き残っていたことも、偶然冒険者パーティーに拾われたことも、奇跡としか言えない幸運だった。

 

 しかし彼女にとって、それは幸運と思えることではなかった。

 

 当時、彼女まだ10歳を越えたばかりだ。貴族としての教育を受けていたが、貴族としての自覚は無かった。両親を失い、身分を証明する物も無かった。当時の彼女は両親と一緒に死ねなかったことを悔やんでいた。

 

 だが、一つだけ彼女の身に残ったものがあった。インヴォルベート子爵家は攻撃魔法に優れた一族であり、その末子である彼女は、炎の魔法において類まれな才能を有していたのだ。

 

 親類縁者を頼る手もあった。だが、両親を亡くした絶望は深かった。ナスタルディアはもう貴族には戻れないと思った。

 だから、かつての名を捨て生きることにした。魔法使いフレスフィアと名乗り、魔法の才能を頼りに冒険者として生きると心に決めたのだった。

 

 魔族の軍勢の襲撃については、その攻撃の徹底さゆえにほとんど記録も残らなかった。王国中のほとんどの者がインヴォルベート子爵家の人間は絶えたのだと信じていた。冒険者としてメキメキと腕を上げていくフレスフィアが、その子爵家の令嬢だなどと思う者はいなかった。

 フレスフィア自身、貴族に戻るつもりはなかった。身分を証明する物が無かったし、なにより彼女は冒険者としての人生を愛していた。インヴォルベート子爵家の娘であった過去は、彼女の中だけで終わる話のはずだった。




「それにしても、よくあたしにたどりついたもんだ」

 

 くすんだ赤の髪。日に焼けた健康的な肌。顔のそこかしこに傷跡がうっすら残っているのが見える。いくつもの死線を潜り抜けてきた強者の風格を纏っていた。

 フレスフィアを前にして、彼女がかつて貴族の令嬢だったなどとは、想像することすら難しいだろう。


「アンウィーズ様は想い人が生きていると信じておられました。だからその前提で調べ上げたのです」


 魔物の軍勢の襲撃について残る確かな記録と言えば死亡記録だけだった。それでは死んだ者の確認はできても、生き残った者を知るのは難しい。

 そこでシィンセリアはまったく違う観点での調査も試みていた。

 ナスタルディアは生きている。それならば、何を頼りにどうやって生きているかと考えたのだ。

 

 インヴォルベート子爵家は攻撃魔法に優れていた。ならば魔法を頼りに生活しているかもしれない。調査の過程で、当時の子爵領の地方紙を見つけた。ナスタルディアはかつて、子爵領で催された魔法競技会で年齢にそぐわぬ炎の魔法を披露したと記されていた。

 そうして調査を進めていくうちに、赤い髪の炎の魔法の使い手、Aランク冒険者のフレスフィアがインヴォルベート子爵家の令嬢である可能性に気づいたのだった。

 

 だが、一致するのは年齢と赤い髪、そして優れた炎の魔法だけだ。それらだけでは人物の特定にまでは至らない。

 フレスフィアとしては、たとえ子爵令嬢ナスタルティアだったと指摘されても、知らぬ存ぜぬでしらを切ることもできた。そうされたらシィンセリアも諦めるしかなかっただろう。

 だが、シィンセリアは来た。人に任せず、貴族がわざわざ自分の目で確かめに来たのだ。フレスフィアはその心意気に感じ入り、シィンセリアにその出自を明かしたのだ。

 

 シィンセリアはその際、自身の事情について話した。

 フレスフィアにとって、10年前の婚約者の記憶は既に朧なものになっていた。それでも、かつての婚約者が10年間想いを持ち続けたことについては心動かされるものがあった。


 だが『白い結婚』についての話に及ぶと、フレスフィアは憤慨した。

 よりにもよって初夜の場で『白い結婚』を申し出るなど、許せることではなかった。フレスフィアはアンウィーズの顔すら見たくなくなってしまったのだ。

 

 フレスフィアには共に冒険を繰り広げた仲間がいる。磨き上げた炎の魔法の技術がある。積み上げてきた実績がある。彼女は冒険者としての人生を愛していた。それを捨てて貴族の令嬢に戻り、ましてやアンウィーズの伴侶となるなど考えられなかった。

 

 だから子爵令嬢ナスタルディア・インヴォルベートは死んだと伝えることにした。アンウィーズには気の毒な話ではある。だが、下手に未練を持たせるのはかえって残酷だ。きっぱりと死んだことにするのが一番だとフレスフィアは決めたのだ。

 

 今日は不測の事態に備え、念のためにこの町に来ていた。熟練の冒険者であるフレスフィアは慎重で用心深かった。

 だが、アンウィーズは無事、彼女が死んだと信じたという報告を聞いた。これ以上とどまれば逆にトラブルを招きかねない。だから明日の朝には町を離れるつもりなのだ。

 この件については一段落ついた。そこでフレスフィアは、心に引っかかっていた疑問を口にした。


「伯爵子息が必死になって探すのはまあ理解できる。初夜に『白い結婚』を申し込むなんてひどい男だと思うが、そこまでする想いだけは本物だったんだろうさ。

 だがあんたはなんだ? まさか貴族のご婦人が自分の目で確かめに来るなんて、さすがのあたしも驚いたよ。あんたにはそこまでの理由は無かったはずだ。なぜそこまでする?」

 

 確信はなかったはずだ。子爵家の忘れ形見が冒険者として活躍しているなんてことは、合理を積み重ねてたどり着けることではない。確証もなく貴族の娘が自ら足を運ぶのも異常と言える。

 そこまでするのは狂気に似た執念が無くてはできないことだ。だが話を聞いた限り、シィンセリアにそこまでの理由はないはずだった。フレスフィアはそこが疑問に思えて仕方なかったのだ。

 

 シィンセリアは視線を落とし、深く、重く息を吐いた。


「わたしは、ただ……かなうかどうかわからない片思い。それに全てを尽くすのを、愚かなことだと思いたくなかったのです」


 シィンセリアは胸元に手をぎゅっと当てた。

 悲し気な声だった。今にも泣き出しそうな苦し気な顔だった。

 そんな彼女の姿を見て、フレスフィアはため息を吐いた。


「……そうか。あんたも何か抱え込んでるみたいだな。なら、これ以上は聞かない。あんたもあたしの秘密を守ってくれるんだ。なら、こちらも踏み込まない。それが礼儀ってものだからな」

「はい、ありがとうございます……」


 フレスフィアはジョッキを一気に飲み干した。


「さ、しけた話はおしまいだ! 飲み直そう! おおい、エールもう一杯頼む!」


 フレスフィアは明るい声で給仕に呼び掛けた。

 シィンセリアは胸をなでおろした。フレスフィアとは様々な事情を明かし合った。それでもなお、シィンセリアが胸に秘めた想いだけは、語るわけにはいかなかったのだ。




 あれから数か月が過ぎた。

 シィンセリアは補償によって得た領地を訪れていた。領地検分という名目だった。

 入手した領地の大部分を占めるオルダシェントの森の中。彼女は一人、馬で散策していた。連れてきた供の者たちは森の外で待たせてある。

 かつてはシィンセリアの子爵家が所有していた土地だ。勝手はよく知っている。なにかトラブルがあれば魔法で合図して、すぐさま供の者たちが助けに来ることになっている。だが彼女は、誰を呼ぶ気もなかった。

 

 馬を進め、シィンセリアは道を外れ森の中へと馬を進めた。やがて森の一角の開けた場所に着いた。そこには5メートルほどの岩がある。自然にできたものではない。建築に造詣の深いものが見れば、それがかつてここにあった城の残骸であると気づいたかもしれない。

 

 その岩の上には一人の少年が腰かけていた。

 さらりとしたプラチナブロンドの髪。涼やかなアイスブルーの瞳。凛とした美しい少年だった。身にまとうのは王族が着るような豪華にして上品な装いだった。

 そんな彼が誰も訪れない森の中、岩の上に腰かけているのは、まるでおとぎ話の一場面のようであり、幻想的ですらあった。

 彼は幻想の住民であると言えるのかもしれない。下から見上げると、その身は透けて青い空と白い雲が見える。彼は生者ではない。この地に留まるゴーストなのだ。

 

 シィンセリアが来るのに気づくと、少年はニコリとほほ笑んだ。

 

「やあ、シィンセリア。久しぶりに来てくれたね」

「はい、ご無沙汰しております。ネヴァレデート王子」


 普段のシィンセリアは感情をあまり表に出さない。しかし今、彼女は華やいだ笑顔を見せた。それは恋する乙女の顔だった。




 遠い昔。この地にはひとつの王国があった。

 かつては栄華を誇った王国だったが、魔物との激しい戦いの末、滅亡した。最後に生き残ったネヴァレデート王子は、ただ一人この地にその魂を縛られ、ゴーストとなった。

 もはやかつての王国は無い。王都だった場所は朽ち果てて、やがて森になった。王城のみが辛うじてのこっていたが、それも長い年月にすり減っていき、今では一つの岩塊しか残っていない。

 ここに王国があったことを伝えるのは、この岩と王子のゴーストの存在だけとなっていた。

 

 シィンセリアが王子と出会ったのは10年以上前のことだった。近くの避暑地を訪れた時のことだった。急な仕事によって両親は王都へと向かい、シィンセリアは執事たちに連れられて屋敷へ帰ることになった。

 オルダシェントの森を通り抜けようとしたとき、馬車は不幸にも事故に遭ってしまった。ただ一人生き残ったシィンセリアは、森の中を彷徨った。

 本来なら、獣に襲われるか、あるいは空腹と飢餓により、幼い命を散らしていたことだろう。

 

 だがそこで、シィンセリアはゴーストのネヴァレデート王子と出会った。

 不安に震える彼女に対し、王子は明るく気さくに声をかけてくれた。そして人里までの道を行きながら、かつて滅んだ王国の楽しい話をいくつもしてくれた。

 絵本の中のような出来事だった。そして彼女はおとぎ話の姫君のように、ネヴァレデート王子に恋したのだった。

 そしてシィンセリアは、休みになるたびに足しげく王子の元を訪れるようになった。

 

 このことは誰にも話したことはない。

 ゴーストは生者に仇成す存在だ。家でも学校でも、ゴーストを見つけたら教会に知らせるよう教えられている。

 もし教会が王子のことを知ったら、きっと僧侶や聖女を派遣して王子を祓ってしまうことだろう。シィンセリアはそうなることを恐れた。

 だから王子のことを誰にも話さないことにした。恋心も秘めることに決めた。心の中の想いを漏らさないために、普段は感情を表に出さない少女となっていった。

 

 シィンセリアが15歳になった頃、彼女のノンリワルド子爵家は少々経済的に厳しい状態となった。そのために、領地の一部を切り崩した。そこには王子のいるオルダシェントの森も含まれていた。

 父に領地を手放さないように訴えた。王子のことを話すわけにはいかず、当時のシィンセリアには有効な手立てもなかった。領地はなすすべもなくフォルヘアート伯爵家の物となってしまった。



「どうしたんだい、シィンセリア。なんだか暗い顔をしているよ。なにか悩み事かい?」

「いえ……最近ちょっと立て込んでいたのです。久しぶりにここに来れたので、感極まってしまいました」

「ははっ、そうかい。でも何か悩み事があるなら話してごらん? 何もできないゴーストの僕だけど、悩みを聞くことくらいはできるよ?」

「ふふっ。大丈夫です。王子にお聞かせするほどの悩みではありませんよ」

「そうかい?」


 『白い結婚』をしたなどと、想い人に言えるはずが無かった。

 フォルヘアート伯爵家は、土地の活用のためにオルダシェントの森を切り開く計画を立てていた。開拓が始まれば王子の居場所が見つかってしまう可能性があった。

 ゴーストは駆除の対象だ。王子は祓われてしまうことだろう。かつての城の最後のひとかけらも、ただの邪魔な岩として取り除かれるだろう。

 シィンセリアにとって、そんなことは到底受け入れられなかった。

 

 だからシィンセリアはフォルヘアート伯爵家に嫁いだ。伯爵夫人としてこの土地を管理し、オルダシェントの森の開拓をやめさせるつもりだった。『白い結婚』を申し込まれその計画が断たれても彼女は諦めなかった。逆にそのことを利用し、土地の所有権を得ることを画策した。

 

 シィンセリアの目的は、オルダシェントの森の入手だけだった。補償内容に持参金の返還や鉱山の利権を盛り込んだのは、ただそれらしく見せるためだけのものに過ぎない。

 すべては王子の居場所を守るためのことだったのだ。

 

 胸に秘めた恋心は王子にすら告げたことはない。

 王子はゴーストだ。生者である自分が恋心を告げたところで彼を困らせるだけだ。たとえ受け入れてもらえたとしても、触れ合うことすらできない。この恋は報われることはない。

 シィンセリアはそれでよかった。王子に会って話をするだけで、十分に満たされていた。

 

 シィンセリアが伯爵子息アンウィーズの想い人探しにあそこまで力を入れたのは、彼の境遇が自分の抱えるそれと重なって見えたためだ。

 死者に報われぬ恋心を抱くシィンセリアと、死んだかもしれない想い人への恋心を捨てないアンウィーズ。共に報われぬ片思いを諦めていなかった。だからあそこまで力を尽くしてナスタルディアのことを探したのだ。


「わたしの話をするより、また騎士グレスウォードのお話が聞きたいです」

「ふふっ、君は本当にその話が好きだねえ。いいとも! オルダシェント王国一の騎士、グレスウォードの活躍を聞かせてあげるよ!」


 騎士グレスウォードはオルダシェント王国史上最強の騎士だった。

 かの騎士は戦場においては一騎当千の活躍をし、王国を脅かすドラゴンにたった一人で立ち向かったという。数々の英雄譚はどれも勇壮で素晴らしく、実に聞きごたえのあるものだった。

 

 でもシィンセリアがなにより好きなのは、誇らしげに語るネヴァレデート王子の姿だった。

 今日もそのことを胸に秘めたまま、シィンセリアは王子の話にしあわせそうに聞き入るのだった。



終わり

「初夜に白い結婚を申し出るのは非常識だし、婚約と言う契約の反故になる」

そんなことに今更気がつきました。

契約違反をすれば、補償を求めるのが筋と言うものです。


初夜に白い結婚申し込まれ、すぐさま補償を要求することを思いつく有能な令嬢。

それだけではお話として物足りない気がしたので、ヒロインに「補償を絶対に求めなければならない」という理由をつけることにしました。

そのためにキャラや設定を詰めて言ったらこういう話になりました。


正直どうなることかと思いましたが、なんとかまとまってホッとしました。


2024/5/3 20:10頃

 誤字指摘ありがとうございました! 読み返して気になった細かなところも修正しました。

2024/5/5

 誤字指摘ありがとうございました! 修正しました!

2024/5/7

 誤字指摘ありがとうございました! また、感想でご指摘いただいたところを手直ししました。

2024/5/12

 フレスフィアが冒険者になることを決めた理由について少し手直ししました。ご指摘ありがとうございました!

2024/5/13、2025/6/28

 誤字指摘ありがとうございました! 修正しました!

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[一言] 某エルフ漫画の勇者が彼女へ一生を捧げることでおそらく生涯貞操を守り通したことを揶揄する輩がいますが、あの世界では僧侶が尊敬され敬われているので一途に想いを捧げるために貞節を守り続けることは貴…
[良い点] フレスフィアかっこいいです!色々大変だっただろうな。憧れます。シィンセリアも精神的に強く、魅力的な女性二人で素敵でした。 主人公は3年過ぎたあとも、再婚とか極力したく無いだろうな、王子が自…
[一言] >>>>「初夜に白い結婚を申し出るのは非常識だし、婚約と言う契約の反故になる」 そんなことに今更気がつきました。 契約違反をすれば、補償を求めるのが筋と言うものです。>>> と書かれていら…
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