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海軍王女アンネの異世界探検航海  作者: 海の向こうからのエレジー
チャプター5~ギーアル半島での外交
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5-APPENDIX(3) 自由港クルジリオン(地図付き)

セルフェンギーア聖樹七国同盟の南西にある、テュークリム共和国。その経済を支えているのは自由港クルジリオン。百年前はまだなにもない荒れ地だが、半島西部の復興とともに急激に発展した新興都市。ギーアル半島南部の貿易センターにして、東海貿易三角形の一角。異常なほど広大な敷地に大規模のスラムと歓楽街がある、混沌と欲望の街でもある。


テュークリム共和国は中央が議会に、地方が貴族領主に統治される、高度な地方分権の寡頭政治。その中でも自由港であるクルジリオンの立ち位置が特殊。名目上は商業ギルドの自治で運営、街の代表はギルドの支部長だが、共和国の経済の命脈を握っている急所だから、共和国議会が直接干渉しようとすることが多い。ときには中央と地方の対立を引き起こすが、大体の場合はクルジリオン支部長のポストを巡って双方が妥協する。現在の支部長(アインシリーの父)は首都タイルスタ出身ではなく、中央の干渉を排除しようと商業ギルドが選んだ人選だが、カリスラントとの国交成立に大きな貢献をしたので、彼はすでに次期の議会入りが確約された。こんな感じで独立性が高い支部長が選出され、そして影響力が増えると懐柔策として議会での席が与えられる。こんな対立と妥協が繰り返されるのがクルジリオンの政治だ。


市街地を縦断する二つの河川によってクルジリオンは大まかに三つのエリアに分けられる。商業ギルド支部と議事堂などの重要施設がある中心部。ストリュア神聖帝国とムサナシピル両国の大使館があり、外国人が多く住んでいる西区画。そして大きな川の東にあるのは歓楽街、更に東にスラムがある。外国人区画と歓楽街、スラムは人の流動が激しいので、正確な人口統計ができない。中心部の常住人口は48000人ほど。


中心部にクルジリオンの行政と商業の機能が集約されている。クルジリオンの天然港湾条件がよくないので、船着き場は複数の場所に分けられる。その中の半数は中心部南海岸の港にある。船着き場の近くに倉庫や交易所、更に西に商業ギルド支部がある。中心部の港に貨物を下ろすのが便利だから、他の船着き場を利用するのは大体中央の港が混雑しているときの一時停泊。もしくは建築資材など特定な目的な貨物を輸送や、密輸など、他のロケーションに用がある場合。クルジリオンには海軍の施設がないが、街の西に少し距離が開くところ(付録の地図の範囲外)にテュークリムの海軍基地があり、その海軍は普段クルジリオンの海上交通を守り、休日はクルジリオンで過ごす。


港より北の広場はクルジリオンの顔のような場所。リフィミシエ・ホテルなど外向けの店や宿泊施設、それと23本松議事堂のような重要施設がある。新興都市だから建物はどれもまだ新しい、観光地としてきれいな町並みを保っている。歓楽街が目当ての観光客でも大体は先にこのあたりを観覧する。


23本松議事堂の西、小池の向こうは有名なクルジリオン露天市場。ギーアル半島と東海の特産品なら、奴隷以外(奴隷貿易はムサナシピルに到底敵わないから)は大体揃ってるとの評判だ。当地の物産は多種の植物油が真っ先に挙げられる。特に有名のはゴマらしき作物からの食用油とクスノキらしい植物からの精油。次点は東のダンジョンからの魔物素材。鉱石もクルジリオンの名産だが商会の大口売買の対象で市場には出回っていない。代わりに鉱山の副産物である石英や宝石クズ石が陳列される。周辺地域からの特産なら、首都タイルスタからは書籍、木製家具、芸術品。フーレレヤには魔物素材を輸出して、加工製品の魔道具や錬金産物を輸入。ムサナシピルからは砂糖、香辛料。南海からの真珠とサンゴも人気商品だ。北の小丘も商業区画だが、乱雑な露天市場とは違い、上品で落ち着いた雰囲気。各商会が拠点を置いて、大口売買や高級品の注文などの商談をする。


西区画は大使館のほかに、ストリュア人のための神殿や、マイナーな外国人向け商品を扱う店がある。神殿なら、クルジリオンから2日ほどの航海で着くフーレレヤに行けばいいと思うストリュア人が多い。わざわざクルジリオンで参拝する信者が少ないため、昔は三つの神の神殿があったがそのうちの二つが撤退して、残ったのは月と知識の守護神レミューシエ=ライミアルの神殿だけ。神殿付属の孤児院はクルジリオンのストリュア人孤児(ほとんどは事故で亡くなった船乗りの子供)を保護している。


ここまでがクルジリオンの表だとすれば、東区画の歓楽街と街外れのスラムは裏に該当する。ここでは行政の権力よりも、義侠団体の力が強い。歓楽街は三つのエリアに分けられる。川沿いの西側は各組織の事務所や関係者の住処。「カラピスケラ・リフレイン」の影響下の北側は高級店が多い。安宿が多い南側を支配していた「イヴェリの牙」が壊滅したことでどのような影響をもたらすかはまだ誰にもわからない。


自由港の決まりによって、クルジリオンに出入り制限がないため、流民やならず者が街外れに住み着いてスラムを形成した。海上交通が便利なクルジリオンだから様々な国から人が流入し、「イヴェリの牙」のような外国人ゴロツキ組織までできた。衛兵がパトロールしても彼らが街に出没するのを完全に防げないので、治安の悪化は街の中心部にまで及ぶ。スラム南東の船着き場に近い空き地はティアバンの飼育スペースとしてクルジリオン支部が予め確保した。


クルジリオンの天然港湾条件がよくないが、周りに多数の資源生産地がある。西の平野は農業に適していて、「シンマイア」(ギーアル半島の代表的穀物、地球のトウモロコシに似ている)の主要産地だと知られている。東の街道を歩行で2時間進むとダンジョン、北東の街道を10時間進むと鉱山に着く。歓楽街に仕事がある人を除けば、スラムの住人の大半は日雇いの運搬役として冒険者とともにダンジョンに入るか、住み込みの短期雇用で鉱山で働く。そんな危険な仕事に従事して日々の糧を得る。



――付録:クルジリオン市街地の地図――

中心部:

A リフィミシエ・ホテル

B とある議員の別荘(探検艦隊上位男性士官の宿泊地)

C 23本松議事堂


D 露天市場

E 商会街


H 中洲の酒場(インスレヤが待機していた場所)

K 商業ギルド支部


西区画:

F ムサナシピル大使館

G レミューシエ=ライミアル神殿


東区画と街外れ:

I 歓楽街

J ティアバンの飼育スペース

L スラム


挿絵(By みてみん)

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