ウエスティン対マッチョウサギ お婆さんの耳は……
マッチョウサギはもうお婆さん。人間で言うところの八十歳は超えている。
ただ自分が主張しているだけなので実際のところは分からない。
ウエスティンの通訳。
信用も当てにもならないがとりあえずやらせてみるか。
「どうしてお婆さんのお耳は大きいの? 」
またどうでも良い質問。
爺でなくても怒りたくなる。
これがウエスティン。まあいいさ。好きにすればいい。
「それはねお前の声が良く聞こえるようにさ」
どうやらお年を召しているのか耳が遠いらしい。
だから何度も聞き返す。
本当に大変だ。これなら爺とも気が合うかな。
どうせ爺のことだからどっちが若いかで張り合うのだろう。
そしてお婆さんの方がと言えば傷つき泣きついてくる。
今はサーマだけでなくリザもいるから厄介だし正直者のウエスティンも侮れない。
「どうしてお婆さんは筋肉質なの? 」
また余計などうでも良い質問。
人間と違って常に戦場。日頃から体を鍛え己を磨き上げている。
逃げ足が速いにはそれなりの訳がある。
早く泉の場所を教えてもらえっての。
「それはね…… お前の態度を正す為さ。最近の若者はなってないからね」
意外にも物申すタイプのお婆さんらしい。
昔堅気のお婆さんかな?
「ウエスティン早く聞かんか! まったく困った奴じゃ! 」
従者の非は主人の非。
従者の暴走を止められないことに嘆いてる様子。
暴走は言い過ぎかもしれないがウエスティンが思ったように機能しない。
これでは時間だけが無駄に過ぎていく。
「お婆さんはどうしてそんなに鼻をひくひくさせてるの? 」
ダメだこれは。もう強引に引っ張っていくしかないか。
「それはね…… お前の臭いを感じたいからさ」
どうも鼻も利かなくなってるらしい。
うーん。かわいそうに爺のおくそでも嗅いだか?
こうしてひたすらどうでも良い質問をする困ったウエスティン。
いつまでやる気だよ。早くしてくれないかな。
イライラが止らない。
「お婆さんはどうしてそんなに涎を垂らしてるの? 」
「ふん。お前だって同じじゃないか」
ウエスティンも同じ、いやそれ以上に垂らしてる。
「もう汚い! 」
リザが不快感を露わにする。
それにしても涎ってそんなに出るものか?
二人じゃなかった…… 二匹とも異常体質のようだ。
「ほれ早く終わらせんか! 」
埒が明かないと見た爺は強制終了させようとする。
「では最後の質問です。お婆さんのその歯は何でそんなに鋭いの? 」
確かにそうだ。もういい歳なのだから歯だって抜けていくはず。
それを保っていてなおかつ鋭さは失われていない。
これが奇跡と言わずに何を奇跡と言えばいいのか。
「それはね…… お前を食べるためさ! 」
ついに正体を現したマッチョウサギ。
ウエスティンを喰らおうと大きな口を開ける。
うわああ!
ウエスティンは後退り。
「ファイアー! 」
すかさず爺の攻撃魔法で黒焦げに。
こうしてまどろっこしい交渉は失敗に終わった。
「危なかった…… 」
ウエスティンの額から大量の汗がでる。どうやらこれは冷や汗に違いない。
ウエスティンに迫る脅威は去った。
こうして第三の泉探しへ。
クンクン
クンクン
「水の匂いがしない? 」
異常に臭いに敏感なリザが水の臭いを手掛かりに泉を探し当てる。
ようやくリザが役に立った。
初めは足を引っ張てたがそう言えば爺と出会った時も相当臭いを気にしてたな。
これがリザの特技。臭いを嗅ぎ分ける癖がついてるようだ。
「こっちよ! ついてきて! 」
リザを信じて後に続く。
「師匠本当に大丈夫? 」
「儂には分からん。前回は元神としての力があったからな。
今は魔法使い。全然感覚が違う」
やはり爺は当てにならないか。
「師匠この辺に見覚えは? 」
「うーむ。あるような無いような」
やはり曖昧か。
新手。
正体不明の爺もどきが現れた。
爺もどきはご自慢の歌声を披露。
耳を塞ぎたくなるような破壊力。
しかもかなりの音痴だ。
聞いてるとおかしくなりそうだ。
ここはサーマ姫の本領発揮。
村々で披露した歌声を披露する。
美声対音痴。
勝つのはもちろんサーマ姫。一目瞭然。
「参った! 」
爺もどきはお手上げで立ち去る。
爺もどきは地図を落としていった。
「うむ。これは詳細な地図。第三の泉が分かりそうだぞ」
地図とリザの嗅覚でついに第三の泉を発見。
さあこれですべて解決か?
ようやく目的地へ。
第三の泉が目の前に。
続く
③




