二人の女神
「そうですか。我を呼ぶのに随分苦労したようですね。
あなた方を勘違いしていました。てっきりこの泉を狙う極悪人かと」
話し方が柔らかくおっとりしている。まさしく女神様。第一の女神とは大違い。
リザと比べても意味がないのでサーマと比較してみる。
二人とも上品と言うか優しく語りかけるので心地よい。
さすがは両方とも女神様だけのことはある。
彼女は第二の女神様でサーマは俺の女神様だ。
こんなこと言ったらまたリザがむくれるだろうな。
分かっていてもどうしても言いたくなる。
もちろんリザにだっていいところがある。
でもここ最近リザは神経質になってちょっとのことでイライラする。
俺に対してだけでなくサーマにも爺にも突っかかる始末。
大人しいウエスティンは今のところ無事だがそれでもいつターゲットにされるか。
リザどうしてしまったんだ……
一緒に旅をするようになり長所だけでなく欠点も見えてくる。
しかも症状はどんどん悪化している。このままではまずい。
もはやリザの存在はこのパーティーを危険に陥れるリスクでしかない。
正直に言えばもうリザに心を動かされることはない。
まずいまずい。つい本音が……
リザを見るがさすがに気づいてない。ふう一安心。
まあ当然か。超能力者でもないのだから。
ただの田舎の幼馴染。それが俺とリザの関係。
元々特別な感情はない。悪いなリザ。
「どうしたのアモ? 」
やはり睨んでますよねリザさん。
「それで皆さんどのようなご用件でしょうか? 」
ついつい見とれてしまい話が先に進まない。
すかさず爺が反応。大丈夫かな?
「おお女神様よ! 儂の願いを叶えたまえ! 」
「お待ちください。話が見えてこないのですが…… 」
困惑する女神様。
「うむ…… 」
爺まで考え込む始末。
前回同様何か重要なことを思いだしたのだろうか。
だがとりあえず女神様が先だ。
できたら怒らせずに話を聞けると助かるんだが。
第一の泉の時に比べれば手応えはある。
「叶えたいのは山々。ただ力がないのです…… 」
女神だと言うのに自分に自信が持てないのか声も小さい。
「済みません。済みません」
なぜか謝り始める女神様。理解に苦しむ。どうしたと言うのだろう?
「ふむ。やはりそうじゃったか! 」
爺はすべてを悟ったのか悔しそうに下を向く。
爺には珍しい。一体何が?
「師匠? 」
「この女神はな善の女神。決して毒されることはない究極の女神。
ただすべてが優れているかと言ったらそうではない。
もちろん他の女神様に比べれた場合じゃがな」
「それで結局どう言うこと? 」
堪らずにリザが遮る。
「こやつは実に良い女神。ただそれだけに中身は空っぽ。
怒ることも悲しむこともない代わりに笑うことも喜ぶこともない。
もちろん微笑むがこれはただの反応に過ぎん。
そんなつまらない女神。だからただの役立たずじゃ」
爺が断定する。
「そこまで言うことないじゃない! 」
サーマが擁護に回る。
女神が応援されるようになってはお終い。
「ははは…… そう我はただ泉を守るだけの存在。否定はしません」
「ほらな。時間がもったいない。他を当たるぞ」
第二の泉は我々を助けられない。
ただ見守る。
それが彼女の役目で何一つ間違ってない。
我々が求めるのは体を元に戻すこととルーレットを見つけること。
だがこの第二の女神にはどちらの力も備わっていない。
「第三の女神について何か知っておるか? 」
「そうですね。では特別にお教えしましょう」
協力を得る。
「第三の泉はここからさほど遠くありません。
地図はないですが方角さえ合えば簡単に行けます。ですから心配なさらないで」
「うむ。ありがたい。だがそれだけなのか? 」
もっと情報を寄越せと迫る爺。図々しいにも程がある。
「分かりました特別に第三の女神の呼び出し方をお教えしましょう。
泉に何かを投げれば反応すると思いでしょうがそれは無意味です。
我のように慈悲深いか第一の女神のように攻撃的でなければ相手などしません。
時間の無駄ですからこれだけでも覚えていてください」
具体的なアドバイス。なかなかやるな。だがやはりそれだけでは当てにならない。
「いいですか。両手を広げて出来るだけ強く響くように手を叩いて。
それも一回ではなく三回でもなくきっちり四回叩いてください。
一分以内が勝負の分かれ目。
一分で四回叩く。それだけでいいんです」
貴重な情報とアドバイスを得る。
ここまで教えてもらえれば十分。
続く
③




