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お助けキャラ登場

「どうした旅の者? 」


随分と生意気そうな男が姿を現した。


背広にネクタイ。きっちりとこなすハイセンスのダンディーなおじさま。


この世界にはおよそ相応しくないタイプ。


「それが乗せてくれないって」


「金払わない奴を乗せられるか! 」


最もな意見。これではこちらが悪いみたいだが…… 実際そうだから仕方がない。


ここは思い切って開き直るしかない。


「よろしい。では私と一緒にいかがです」


全員分の支払いを引き受ける男。


「お主は一体? 」


「ただの小国の大統領ですよ。ご心配なく」


「それはすごい! 」


本当かよ。


「ほれお主らも煽てんか」


爺はおごりと聞いて興奮してるが本当に信用できるのか?


「ここは国王制なんだけど」


サーマが身も蓋もないことを言う。


「知っとるわ。あの変わり者の気が変わらないうちに」


何となく嫌な感じだが金欠では頼らざるを得ない。


「よっ大統領! 」


「あら素敵」


サーマも仕方なく続く。


「いやはや…… 参ったな。では参りましょうか皆さん」


男は褒められ満更でもない様子。


ラッキーなことに変わった奴に助けられた。


ロープウェイに乗り空の旅を楽しむ。



出発!


ロープウェイは上昇を始める。


「良い景色ですね」


男がサーマに気安く話しかけやがる。


やっぱり…… まったく油断も隙も無い野郎だ。


恥ずかしくないのか? その見境の無い態度。


これは部類の女好きと見た。


まさかポケットから花束を出す気じゃないだろうな。


爺やウエスティンがライバルだったから楽勝だったがまさかこの金持ち。


しかも大統領だと抜かすイカレ野郎。


さっきからどうも様子がおかしいぞ。


今か今かとタイミングを見計らっている感じ。


だから俺はそんな得体の知れないエリート金持ちを見張ることに。



「サーマさんと言うんですか。素敵ですね」


乗ってすぐに自己紹介。


「もう大統領ったら…… お名前は? 」


「すみません。お教えできないんです。一国の大統領ですから。


下手に名前を教えて巻き込まれでもしたら迷惑をかけることになる」


そうこの手の詐欺師が使う常套句。


やはり大統領発言は男の出任せ。


元神の爺よりも信用ならない男。


たぶんこの手で何人もの女性を騙してるに違いない。


勝手に妄想が膨らんでいく。



「どうしたアモ―クス? 睨むでない。せっかくの親切をまったく…… 」


「師匠…… 」


ダメだ爺は取り込まれてる。これではサーマだって……


「その服本当にお似合いですね」


キザなセリフで格好つけ褒めちぎる。


どっかの王子みたいだ。


ただこれはサーマは苦手なタイプのはず。問題ないか。



「お主。大統領と言ったな? 」


「はいこの辺り一帯を治めている者です」


「大統領とは具体的にどのような? 」


興味津々の爺。それに対して面倒くさそうに答える男。


「電気を売ったり賭け事をしてます」


無茶苦茶適当に流している。


「これからどこに向かっておるのだ? 」


「実は教えられないんですよ」


またこの手を使うのか? いい加減無理のある設定は止めろよな。


「そうかそうか。儂らは人探しで隣の村に向かっておる」


「ほうそうですか。ではゆっくりと」


「いやいや。旅は時間との戦い。ゆっくりなどしてられん」


「これは失礼しました」



「一つ聞くがお主と儂ではどちらがえらい? 」


現大統領と元神。


判定はウエスティンに。


「ええっと…… それはもちろん大統領の方が上かと。


現役の神でしたらもちろん話になりませんが」


つまらんと言って跳ね返す。


「サーマに任せた」


「ええ私? 元でも神の方がえらいでしょう。


どこの国の大統領だって元神には及ばないはず」


どうやら優劣がはっきりついたようだ。



「それでお主は何してる人? 」


「さっき…… 」


大統領は絶句する。


「済みません。家のお爺ちゃん。ちょっとほほほ…… 」


サーマがフォローする。


「はあ。ええっと機密文書を持ち出したり議会に乱入したりですかね」


「ほうほう。それは愉快愉快。ではお主の家族についてだが…… 」


とにかくしつこく聞く。もはやどっかの勧誘爺だ。


「息子は政治に興味を持たずに猟師をしてます」


これ以上余計なことを聞いたらまずそうだ。


何とか話を終わらせる。


「そうだ暇だからカードでも。俺お気に入りの…… 」


「いえ遠慮します。景色を楽しみますのでお構いなく」


「それで趣味は? 」


なぜか興味を持ち続ける爺。


質問攻めにする。敢えてやっているようには見えないのが凄いところ。


爺が質問を続けるので男は窓の外を眺め気分転換。



ロープウェイは目的地に到着。


三十分の長旅もあっと言う間。


「では私はこれで」


防弾作用の黒塗りが待ち構えていた。


ここらで別れるのが賢明。


お助けキャラ大統領は静かに退場。


                  続く

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