第四世界 山奥で人探し
第四世界。
第三世界を終えた俺たちはついに未知の世界へ。
ちょっとだけ眠くなるような。頭が痛くなるような。
予想だとか定理だとかいわゆる理系。
算数。いや数学の世界。
どれだけ恐ろしいか想像しただけでも寒気がしてくる。
爺の指示で道を決める。もちろん適当だ。
これこそ神の感覚。研ぎ澄まされた感覚で世界を切り開いていく。
今ここは人里離れた山の奥。
「さあ探すぞ! 」
爺の号令で第四のルーレット探し開始。それにはまずその持ち主探しから。
「ふぁああい」
皆やる気が出ない。爺だけが元気一杯。騒がしい。
気合いを入れて探すと決心したところでやる気を失う。
人がいないのだ。
人っ子一人いないそんな状況。
第一村人は愚か動物さえ姿を見せない。
さあ果たしてこんなところに本当にルーレットが?
「たぶんこっちじゃ。ほほほ…… 」
適当抜かす爺。
「師匠本当にこっちすか? 」
「おう。前の世界が強烈だったこともあって随分思い出してきたわ。
たぶんこの世界では奴の家に行けばよい。お世話になったからな。
いや儂がお世話したんじゃった」
「しかし師匠。歩き続けるのも限界ですよ」
そうかれこれ二時間は歩いてる。
サーマは疲れたせいか言葉が少なめ。
さっきまで文句を言っていたが大人しい。
ウエスティンに至っては荷物のせいもありへばって遠く後方にいる。
これ以上酷使すれば役に立たなくなってしまう。
爺では酷使しかねないので俺が保護する。
「そうか。じゃが冒険者にとって歩くことは何でもないこと。違うか? 」
「いや限度がありますって」
「まあそう言うでない。儂はほれぴんぴんしている」
爺のやせ我慢かは分からないがこれでは老人の冷や水になりかねない。
それにしても元気だ。一人だけハイ。逆に怖い。まさか再びペガサス症候群に?
それだけは勘弁してもらいたい。
「師匠。魔法を使いましょう。もう疲れた」
「愚か者! 攻撃魔法しかないと言ってるであろう。
頼むならサーマじゃが。機嫌が悪いし勧めんぞ」
魔法は結局ほとんど役に立ってない。
「そうじゃ。ここに来てお主に渡すものがあった。
新たなチートじゃ。嬉しかろう? 」
「はい。やった! チートだチートだ! 」
子供のように大声ではしゃぐ。
サーマの冷たい視線を感じる。
「ふうう…… 」
サーマはため息で返す。
「どうしたのサミー? 」
「いいから話しかけないで! 暑苦しい」
なぜか機嫌がすこぶる悪い。疲れからイライラしてるのが分かる。
俺も疲れてるんだけどな……
相変わらず爺の適当なルーレット探し。
せめて地図でもあればいいが用意が悪い。
ああペガサスが懐かしい。
あれさえあったらどこにでも一っ跳び。
でも爺さんは考えもしない。
それにそんなお助けアイテムがあると簡単にクリアして物語がしらけるそうだ。
「どうした皆の者。もっと喜ばぬか! 」
新チートとは一体?
エスケープは一時的に使えるようにしたが通常時は使えない。
それでは不便と言うことで新しいチートを授けるそうだ。
「ではそこまで急ぐぞ」
どうやらこれから訪ねるところにチートは存在するらしい。
チートを餌に付き合わされる。
本来なら爺一人で回収すべきだが巧みな話術で巻き込む。
何が即死モード回避旅だよ。
何がルーレット回収作戦だよ。
俺たちは本当はただの被害者。
パーティーを組んで辛い思いも嫌な思いもすることない。
今からでも遅くない。
爺一人で責任を持って回収してもらいたい。
そんな気持ちにさせるハードな旅。
爺の口車に乗って再び過酷な旅を続ける。
一時間が経過。
ようやく人の気配がする。
小さな集落が見えて来た。
「ここのどこかに目的の家があるのだが…… 」
どうやらここに来て物忘れが発生。
「ちょっと早くしてよね! 」
「そうっすよ師匠。こっちは重いんですから」
ウエスティンが意識を失ったので背負っている。
荷物は各自が持つ羽目に。
回復魔法は使えずに道具も空っぽ。
危うく路頭に迷うところだったがどうにか集落を見つけた。
「この家だったかの…… 」
行ったり来たりを繰り返す。
あの当時は新築だった家も今は薄汚れているそうでどこか不明らしい。
大した特徴もないとかで探すのに苦労してるようだ。
あの日は…… と長話を始めようとするのでサーマが止める。
「うーんここだったと思うんじゃが…… 」
だが草木はボーボー。
目的の家はあるにはあったが果たして?
さすがにここに人は住んでいないだろう。
ドンドン
ドンドン
とりあえずドアを叩く。
しかし案の定反応がない。
やはり爺の勘違いか?
もうこれ以上一歩だって歩きたくない。
続く
④




