釜めしだ! 第三世界クリア
サーマと勝利のハグ。
ウエスティンと爺は勝利のハク。
余裕だ。死線を切り抜けた勝者の余裕。
「あれあの人は? 」
サーマのドライブテクニックで命拾いした。
感謝してもしきれない。さすがは我が姫。何でもこなす器用なお方。
「さあ知らない。崖下にでもいるんじゃないか? 」
「もうアモも人が悪い」
「いやでもそれしか説明がつかないよ」
ははは!
なぜか笑い合う。
「どう見える? 」
「うーん」
下を覗くが暗くてよく見えない。と言うより見てる振り。
恐ろしすぎてこれ以上は近寄れない。俺たちまで巻き込まれないよう気をつける。
あと三メートルで道が無くなっていた。随分ギリギリだったようだ。
半分車が外に出てる状態がベストだがまあ現実的にはこれが限界。
さすがはサーマと言ったところか。
「やっぱり無理みたいだ…… 」
「残念ね」
「うむ。残念じゃ」
「残念ですね」
奴は勢い余って転落したらしい。
いい気味とは言わないがたぶん助からないだろう。
交通ルールを守らない彼らではいつかこうなることは目に見えていた。
調子に乗らず早くストップしてれば助かった。本当に馬鹿としか言いようがない。
まあ完全な自業自得だが。やはりちょっとだけ残念だ。
勝因はどうやら先にブレーキを踏んだに尽きる。
だが奴だってほぼ同時だったはず。何がこうまで分けたか?
それは神のみぞ知る。
「では神様お教えください」
「儂か? いや儂は今回脱糞してただけで…… あれ待てよ」
何か思いついたらしい。
「儂らの勝因は的確な判断によるもの。相手はどうしても負けたくなかった。
だから儂らよりも早くストップできんかった。そのせいで判断が一歩遅れた。
要するにじゃ。ノースピードノーライフ。
哀れなスピード狂。同情を禁じ得ん」
適当なこと抜かす爺が突如光り輝く。
これが後光が差すと言うこと?
いや違った。陽が昇る。夜明けの瞬間。
「ただその差はほとんどなかったはず。調査しなければ詳しくは分からんがな。
運よく儂らの車の方が整備されていた。
チキンレースに心を奪われて整備…… いや安全を疎かにした。
結局はこれに尽きる。
そして一番はモータの大きさかの。これでスピードの出方も変わってくる。
儂らのはいわゆる古いタイプの車。旧式じゃな。
お洒落なクラシックカーに見受けられるモーター。
現代の車とは目的が違う。
現代の車はスピードに拘るからの。
「はいはい。それでもう少し分かりやすく言えない? 」
サーマからクレームが入る。
「であればこういうこと。これは正確ではないが例えだと思って聞いてくれ。
こっちはスモールモーター。
奴のはビックモーター。
安全性に天と地の差がある。
良く分からずに選んでしまったがそれが正解だったのであろう」
結論。
スモールモーターは安全。
ビックモーターは危険。
「ありゃありゃ」
「どうしました師匠? 」
「この無残に切られた痕を見よ」
大木がいとも簡単に切られておるわ。草だってこの辺りはまばら。
どうやらこの木は丈夫で落ちないように最後の盾となっていたのだろうが……
無理矢理伐採したのが祟ったのかの。
いくらチキンレースに邪魔だとしても切っていいはずがないし環境にも良くない。
もしかするとこの辺り一帯に除草剤を撒いたやもしれん。
何とも身勝手な奴ら。これでは本当に自殺行為。
結局は身から出た錆。車だけに」
チキンレースに参加していた者はいつの間にか姿を消していた。
まさか仲間を見捨てるとは情けない。
まあ奴らにとって仲間とはこんなものか。
ただ騒げればいい。そんな存在。
車を棄て近くの食堂へ。
峠の釜めしにようやくありつける。
「では勝利を祝して! 」
爺は朝っぱらからビールをあおる。
俺たちは無難にお茶。
ほくほくの釜めしを掻きこむ。
「もう汚いわね。もう少しゆっくり食べたら? 」
「だってうまいんだもん…… 」
ウエスティンは酔いの影響でパス。
サーマはゆっくり鳥の釜めしをナイフとフォークを使って食す。
大変お上品に。
俺は二杯目に突入。
ふう食った食った。
こうして峠の釜めしを制覇した。
「さあそろそろ行くとするか」
食べてすぐ行こうとするドライでせっかちな爺。
腹ごしらえも終えたことだし次の世界に行くとしよう。
クソまみれのルーレットも回収済み。
もうこの世界に用はない。
ついに三つ目のルーレットだ。
これで残るルーレットは四つ。
さあ俄然やる気が湧いてきたぞ。
第三世界コンプリート。
第四世界へ旅立つ。
次の世界で待ち受けてるものとは?
第四世界は予想では難解で新たな定理に挑戦?
続く
⑤




