レースの結果
いつの間にかチキンレースをさせられる羽目に。
爺さんが我慢できずに挑発に乗るから…… これもやはり即死モードの影響か。
チーム・ブルーの紹介。
ドライバーは何でもこなせる我が姫・サーマ。
補助と言うか助手席で泡を吹いてるのはウエスティン。
俺たち二人は狭い後部座席から指示を送る。
「よし覚悟を決めよう! 」
チキンレースは先にスピードを緩めた方が負け。
どちらが情けないチキン野郎かを決める。
もちろん崖下に転落しても失格にはならないが生還できない。
結果として負けになる。だから勝利するにはいかにギリギリで止めるかが大事。
車後方を残し止められたら理想的。
寸止めが求められる。ちょっと下品かな。
命がけのレースでアドレナリン全開。
「おいどうした爺さん? ノロノロ走ってるんじゃねいよ! 」
思いっ切り煽る。交通意識低い系。
まあチキンレースをやってる時点でいかれてるのは間違いない。
こんな風に毎夜峠ドライバーをけしかけて楽しんでるのだろう。
悪趣味極まりない。
「ガキが! 舐めおって! 行け! 飛ばすのじゃ! 」
冷静さを失った爺はもう止まらない。
「ちょっと師匠! ああダメだよサミーも! 」
煽りに煽られ続けた結果加速してしまう。
チキンレースはあくまで団体競技。
チームが出来上がっていればそれを崩すのは容易ではない。
特にまだ夜明け前のこの状況では不利。
こっちは少数。
戦い方はあちらの思うまま。
挑戦者をどう嵌めるかがこのゲームの見どころ。
恐怖でスピードを緩めさせるやり方と逆に煽り続けて最後まで走らせる方法。
どうやら今回は煽る方に力を置いてるようだ。
ついに先頭を捉えた。
後はこいつらの気分次第。
一対多数の超不利なハンデ戦。
ついに登りに突入。
後五分もしないうちに道が無くなる。
それは命がけのサバイバル。
時速は百マイルを突破。激しさが増していくのが分かる。
もう少しで百六十キロに到着だ。
「おいシートベルトを締めよ! 」
「師匠。どうやるの? 」
「儂に頼るな! 自分で何とかせよ! 」
シートベルトは二人で一つ。
なぜならこのタイプは二人乗りだから。
後部座席の者は勝手に取り付けるしかない。
だがこれは自分の車ではない。
あるのは一つ。
基本は二人乗りで後ろに乗ることも想定して一つだけある。
だが一つ問題が。シートベルトを締める時に汚物が邪魔をする。
シートベルトは運転手のサーマと助手席のウエスティンが。
後部座席の二人は結局使えず。運を天に任せる。
だがうんはここにある上ここには天の代わりの元神がいる。
最悪の展開だが生還する可能性は十分にある。
地獄のチキンレースは最終盤に差し掛かる。
奴等が勝ってもこっちが勝ってもただでは済まない。
過酷なレース。
元はと言えば爺が二つ返事でレースに参加したからだ。
いくら煽られたからと言って勝負する馬鹿がどこにいる。
まあ今さら後悔しても遅い。もう腹を決めるしかない。
少なくてどちらかが犠牲になる。
名誉を取るか命を取るかだ。
どうしてこうなったんだろう? あーあやってられない。
ただルーレットの所在が判明したのだからやった甲斐があると言うもの。
もし関わらなければ気付くことはなかっただろう。
そう言う意味では良かったのかもしれないが……
さあ運命の時だ。
擦る。
左右が狭まり吸い込まれそうな勢い。
ここで一番の走り屋でリーダー。
奴が乗った車と一騎打ちとなる。
さっきからそうなのだが後ろから執拗に煽ってきやがる。
ついには禁断の攻撃。
奴が掟破りの幅寄せを始める。
最低な奴だ。
だが怯んでブレーキは掛けられない。
代わりにこっちもお返しとばかりに車をぶつける。
戦意を喪失したかと思いきや興奮した男が対抗する。
これでは突っ込む前に崖下へ一直線。
そんな危険でイカレタ展開。
アドレナリン全開。
もう道がない。
さあそろそろチキンレースのフィナーレ。
どちらがブレーキを掛けるか。
どちらが天国へ。
「もうダメ! 」
サーマがブレーキを掛ける。
「うわああ! 」
すぐに相手も急ブレーキ。
さすがにいくらチキンレースでも命は惜しい。
手前で止まる。
負けたかと思ったが運よく勝利する。
「ふう。ようやくストップしたわ」
「おえええ! 」
ウエスティンは意識を取り戻すと爺と共にそのまま茂みに。
それほど過酷なレースであった。
「アモ! 」
サーマと喜びの抱擁を交わす。
続く
⑤




