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チキンレース おお神よ!

バイクを集団で走らせる迷惑な方々から土下座と制裁で逃れたと言うのに。


今度は改造車等を近所の迷惑にも関わらず爆音で走る困った方々に遭遇。


これもウエスティンの即死モードによるもの?


夜明けはまだまだ遠い。



「おい爺さん! チキンレースやらねえか? 」


からかい半分の生意気な若造が絡んでくる。


「ほほう。儂に挑戦するとは愚かしい。良かろう受けて立つ! 」


感情的になっては敵の思う壺。だがいくら言っても爺には通じない。


「よっしゃ! ルールは簡単だ。この峠を登ったとこに釜めし屋があるだろ? 」


「おお! 若者よ。気が利くではないか」


ついに幻の峠の釜めしに辿り着けたか?


「ほお。爺さんもあそこに用があるのか。なら賭けはこうだ。釜めし人数分だ」


「うむ。それで何をすればいい? 」


「だからチキンレースと言ったろ。聞いてなかったのかよ爺さん。


釜めし屋からは下りになってる。そこからどちらが先にブレーキかけるかの勝負」


「ふん。それで儂の車は? 」


「一台貸してやるよ」


「一応念のためにお前の車も見たいがいいか? 」


「ほう。疑り深いな。よしいいだろう。好きなだけ見な! 」


「どれどれ」


特におかしな点はない。細工の跡があっても誰も詳しくないし暗いので見えない。


「さあ早くやるぞ! 」


「うむうむ」


青色の高級車に乗る。



「ちょっと何で私たちまで? 」


「しょうがなかろう。これも運命。ルーレットの為じゃ」


「もう信じられない! 」


サーマは納得いかない様子。


「よいか皆の者。奴等はイカレテいる。死をも恐れていない。


ただスリルを欲し、戦いを求めている。我々が求めるのは…… 伝説の釜めし」


「師匠。展開が見えません。本当に勝てるんでしょうか? 」


「いや済まんな。儂も今回だけはどうにもならん」


弱気な発言の爺。さっき成敗されたのが堪えたか?


「そんな! どうすれば? 」


「祈りじゃ! 祈りを捧げればよかろう! 」


「そんな! 師匠…… 」


「落ち着け! ウエスティンを見ろ。大人しいものじゃ」


「僕はその…… とっくに諦めてますから」


即死モードのウエスティンに死角なし。

 


間もなくチキンレースが始まる。


奴らが大騒ぎするから耳が痛くて堪らない。


それだけではなく常時爆音のせいで話もロクにできない。


奴等の仲間がフラッグを振ったら出発の合図。


上手く行けば勝てる。


最悪崖下に真っ逆さま。


大丈夫だ。俺たちなら絶対できる! 俺たちなら絶対勝てる!


ポジティブに行こう。


運命の瞬間。



「うん…… 」


「どうしたの? 」


「うわ臭い! ちょっとこれ何? 」


「脱糞してしもうた」


「元神ですよね? 師匠本気ですか? 」


「神だって脱糞ぐらいする! 」


「いや開き直られても師匠。どうするんですか? 」


「うむ懐かしいぞ。ホホホ…… 」


爺が漏らして笑っている。これは危険なサイン。


「どういうことでしょうか? 」


まったくついていけない。



元神は当時を振り返る。


たまたまこの辺りに用があった儂は歩くのに疲れ果て困っていた。


そこで思い切ってタクシーを捕まえることに。


だがそのタクシーは流しのタクシーであった。


「乗っていくかいお客さん」


「おお、それは親切にどうも」


愛想がよかったが次第に異変を感じるように。最初に音楽で気づくべきだった。


「ちょっと流すよ」


運転手お気に入りのラップ。しかもものすごい速さ。


これはさすがの儂もついていけなかった。


だがもう乗ってしまった。それに目的地まで歩くのは無謀すぎる。


だが今思えばこのタクシーに乗ったことが無謀だったと今なら分かる。


自分の選択ミスに嫌気が差す。


神の選択が間違うなどあり得ない。


そんな常識はどこ吹く風。もはや地獄と化す車内。



「へいへい! 」


乗りに乗っておる若い運転手。


「おいお主。若いの」


「ふあああ? 聞こえません」


当然じゃな。ラップを耳にし口ずさむ。


いや大声で叫び続けてる運転手。


こ奴の神経を疑った。


「おいお若いの。免許は本当に持ってるのだろうな? 」


確認。当然持ってるに決まってるが一応は念の為。これはもはや常識だ。


「ヘイヘイ。これを」


奴はどうしたと思う?


これと言って見せたのは自転車免許だ。


確かにこの世界では自転車の免許が証明書代わりになるとかで皆取得している。


だがまさかこれでいいと思ってるのが凄い。ワイルドだ。ワイルドだろ?


そう今決定した死へのロード。


まあヘブンズドライブって奴か。



「あの…… 儂はもっとこうお洒落な曲の方が…… 」


だがちっとも聞いてくれない。


雨上がりの虹のかかった大地を疾走する青のタクシー。


気分を良くしたのかボリュームを上げる。


そして得体の知れない容器から真っ白な粉を舐める。


余計に興奮した彼はスピードを上げる。


いくら元神とは言えこれには耐えられえない。



「おいどこに向かってる? 」


反応が返ってくる。


「天国さ! 」


こ奴が何を言ってるのかまったく分からない。


悪い冗談なら覚めて。


「オオ! 神よ! 」


つい数日前に会った神に助けを求める。


これは一体どこに向かってるやら。


                続く

                ⑤

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