第二世界クリア
翌朝長老の部屋。
「ホホホ…… また野ぐそを垂れたそうで。何事かと思いましたがあなた様とは」
長老は体調が優れないのか寝込んだまま。いいと言うのに無理に起きようとする。
村人の助けを借り体を起こす。
「ではこれをお忘れになったと? 」
「うむ。前回もここで似たような騒動があって同じように野ぐそを垂れたわ。
その時ついうっかりルーレットを置きっぱなしに。
いやはやまさかここにあったとはな。済まんが返してはもらえんか」
「はい。お困りのようですのでお返しいたします」
何も考えず即決。だがそれをよしとしない者が声を荒げる。
「待ってください長老! 」
ナンバーツーだ。
せっかく上手く行きかけていたところに邪魔が入る。
やはりそう簡単に取り戻すことはできないか。
「置き忘れたか何だか知らないがこれは村の象徴。
今さら持って帰られては俺たちの村はやっていけない! 」
どうやらルーレットは村のシンボルらしく簡単には応じてもらえない。
「馬鹿者! これは運命。落としたのも戻って来られたのも運命。
二度も神様と遭遇するなどあり余る光栄だとは思わぬのか? 」
「しかし…… 」
三者共に頑固で。引き下がろうにもそのタイミングを失っている。
「済まんな。どうしても取り戻さねばならない事情が出来た。
このままここに置いておきたいが事情が事情。
神の我がままだと思い言うことを聞いてくれ」
いつになく真剣な爺。
復活して人が変わった? いや野ぐそしてたからそんなこともないか。
「あの…… 代わりにシンボルになるようなものを渡しては? 」
サミーが解決策を提案する。
「誰じゃこの女子は! 神の御前で無礼であろう! 」
なぜかキレだす爺。さすがに調子に乗り過ぎ。
「だから一国の姫。それにあなたは元神ね。そして今は魔法使い」
「ほほほ…… 言い過ぎですよお嬢さん」
長老に説き伏せられる。
「代わりか…… それぐらいなら用意できるがの」
爺の表情がいつになく硬い。どうしたのだろう?
まさか持ち前のギャグを封印した? まあこうでないと困るが。
「分かりました。これは村のシンボルとして宝として不可欠なものです。
神様のお気持ちに長老も同意してる以上文句はありません。
ですが出来ればそれと同等、いえそこまでは申しません。
代わりになるものを頂ければ私どももお譲りいたします」
ついにナンバーツーも折れる。
この村では長老は絶対。衰えてるとはいえ長老は長老。誰であれ従うしかない。
通常ここでナンバースリーや影の支配者が登場しそうだがその気配はない。
「ふふふ…… こ奴の魂胆などお見通し。ただ観光客を呼び込む為であろう? 」
長老が吠える。
「長老! それはいくらなんでも言い過ぎです。ただ村の発展の為に少しは……」
「まったく神様がこれほど頼んでいると言うのにお前と言う奴は」
「しかし長老…… 」
「何? 刃向かうつもりか! 」
だんだん雲行きが怪しくなってきた。
再び混乱に巻き込まれるか?
「まあ良いではないか。俗な考えも悪くはないぞ」
なぜか上から。頼む方だと言うのに困った爺だ。
「ははあ! 有難き幸せ! 」
長老は礼を尽くす。
仕方なくこちらもそれ相応のものを。
「ではこのペガサスはどうだ? 」
爺は厄介払いするつもりらしい。だがまさかペガサス?
村を恐怖に陥れたペガサスに良い印象は抱かないだろう。
「これを我が村のシンボルにと? 」
「そうじゃ! 有難く受け取るがいい! 」
「ははあ! 」
「その代わりこちらのルーレットは返してもらう。いいな? 」
「ははあ! 仰せのままに」
こうしてペガサスを押し付けた。
ついに二つ目のルーレットを回収する。
これで残り五つ。
「しかしもったいなくないっすか師匠? 」
「いやこの世界のものはこの世界でしか使えない。だから連れて行く意味はない」
計算できる爺。これは抜け目がない。それとも覚醒したか?
「ねえもう本当に大丈夫? 」
「うむ。心配をかけたな婆さんや」
「もうやっぱりまだ治ってないじゃない! 」
「冗談じゃ冗談。さあ行くぞ皆! 」
おう!
こうしてルーレットを取り戻した一行は新たな世界に旅立つ。
神がもたらせしペガサス。果たして人類の希望となり得るか?
はたまた争いの種になるのか?
第二世界クリア。
新たな扉を開く。
続く
⑤




