ペガサス
どうやら異世界大学は皆の知られているとこらしい。
「僕もいつかは…… 」
まったく話を聞いてなかったのかウエスティンが憧れる。
「止めておきなさい。あんなところ行かない方がいい。
ただのおバカさんの集合体よ」
えらい言われよう。そこまでなのか?
サーマはパーティーでこの手の男たちに言い寄られることがあるそうだ。
まあ確かにウエスティンはマッドサイエンシストって柄じゃないな。
どちらかと言えばそれ以外のおバカさんの方があってる。
俺も人のことは言えないが……
ただそれも印象だけ。彼も立派なマッドサイエンシストになれるかもしれない。
でも…… なって嬉しいか?
「そのマッドサイエンシストさんは完成させたの? 」
「はい。何匹か創造できました。お見せしましょう」
博士らしく口調が穏やかになった。
さすがだ。さっきまでの主人はあくまで仮の姿。
これが本来の彼なのだろう。だとすれば期待がもてる。
「いやあ…… 創造したはいいが想像以上に騒々しかったと」
「ほらこれだもの。レベルが知れると言うもの」
サーマがため息を吐く。これではどっかの爺と変わらない。
「いえこれはただのシャレです」
「分かった分かった。もう良い。早く先に進まんか! 」
爺は我慢ができない。
「分かりました。お詫びの印としていえ友好の証として一匹差し上げましょう」
ついに突破口が開いた。
春まで待つしかなかった絶体絶命の危機。即ちゲームオーバーの未来。
すぐにでも遠い遠い一番端まで一っ跳びだってあり得る。
もはやただの願望ではない。
「では好きなのをどうぞ」
カラフルなモンスターエッグが並べられている。
「きれい…… 」
サーマが見とれる。
「うむ。うまそうじゃな。婆さんや目玉焼きにしてくれんか」
「はいはいお爺さん。お昼にしましょうね…… って何言わすのよ! 」
サーマがキレる。
「婆さんや…… 」
「だから誰が婆さんなのよ? 私はサーマ姫! 一国の姫よ」
「まあまあサミーも堪えて堪えて。師匠もふざけないで」
プライド高きお姫様を宥めるのは大変。
「うむ。ほんのちょっぴりふざけただけなのに…… 」
しょんぼりする爺。まったく世話が焼ける。
「よしこれじゃ! これが良かろう」
「ちょっと! 」
爺が相談もせずに勝手に決めてしまう。
「師匠。もう少し慎重に。我々の未来がかかってるんですから」
「大丈夫じゃ。この手のことは専門家。任せるがよい」
ペガサスの卵をゲット。
ふ化に一日かかるそうだ。
こうして閉ざされた道に光が差した。
果たしてタイムリミットに間に合うか?
「では一泊していただき明日にでも旅立ってください」
もちろん宿泊費は取らないそうだ。
随分と素直な亭主。反省して心を入れ替えたのだろう。
翌日。
ふ化したペガサスのお世話をする。
やることは三時間おきにお食事させるだけ。
博士指定のドリンク剤でペガサスは一日も経たないうちに立派に成長した。
「博士? 」
「うーん。健康に問題ない。よしペガサスの利用を許可する。
いくら博士で専門家だとしても許可を与える立場なのが納得できない。
この世界に来てずいぶん経つ気がする。ついにペガサスの旅が始まる。
今はその練習。
ギャア
ギャア
「ほらゆっくり飛ぶから」
ペガサスの調教に挑戦するのはサミー。
小さいころから動物好きでウサギなどの小動物にタカやワシのお世話も。
肉食獣から草食動物までの面倒をよく見ていたと言い張るので任せることに。
さすがは一国の姫様。出会った頃の記憶がなければただのガサツな女の子。
やはり過酷な冒険が人を変えるのか?
元からで本性を隠していたのか?
これだったらリザの方が……
「何か言った? 」
「いやそろそろ餌の時間だろ」
食べ物はその辺の草でいいのだが成長期のペガサスの食う量は半端ない。
今ウエスティンがかき集めている。
師匠も手伝ってくれると助かるんだが腰が痛いと嘘を吐く。
まったく本当に困った爺さんだ。
神が腰を痛めるはずがない。
「おーい! 」
従者ウエスティンは役目を果たす。
まあ俺たちはここでのんびりとしていればいい。
それから一日をかけてついにペガサスを乗りこなすようになる。
「うーんそろそろ良いだろう。よし明日にでも向かうといい」
ついに博士のお墨付きをもらう。
予定よりも一日遅れとなってしまったがその分ペガサスとの関係も深まった。
「邪魔したの」
「ではまた。ああそうだ。ペガサスは家で寝かせてくださいね」
ペガサスは大空へ。
こうしてアモークス一行は旅立った。
続く
⑤




