ギャップ萌え 俺の趣味ヤバ目
拘束された勇者アモ―クス。
敵の女盗賊に気に入られ奇跡の生還を果たせるか?
それとも間抜けにもゲームオーバーとなってしまうのか?
はあはあ
ふうふう
何とか口が利けるようになった。
ついでに目隠しも解いてもらう。特別サービスだと。
随分と余裕だ。この俺を舐めてるのか?
まず大きく深呼吸。
吸って吐いてを五回ほど繰り返し心を落ち着かせる。
そうすると煩悩まで解き放されてしまう。
吸って…… 何を?
吐いて…… 何を?
目の前にはちょうど食べごろのお姉さんが。
さあこのまま彼女を虜にしてしまえ。
「おい何してる! 」
鋭い睨みの渋いおじさま。
格好つけてるのかタバコを吸い始めた。
うんダンディー。
でも俺は興味はない。取引するつもりもない。
奴も俺に興味はない。ただ面倒とばかりに怒鳴る。
「何してると聞いてるんだ! 」
血が上った男は何をするか分からない。
「いやほらこいつの取り調べさ」
「馬鹿なことはよせ! 」
男が必死に止める。
「俺たちはただの見張り。勝手なことしてベガス様にどやされてもしらんぞ」
ベガスとは話しぶりから親玉。そうするとこいつらはただの下っ端か?
「あいついねえんだろ? 好きにさせろや」
口が悪い。顔は可愛い。そのギャップが何とも言えない。
ただ今ギャップにやられてる時ではない。
脱出は無理でも手掛かりぐらい見つけなくちゃ。
「それで君はどうして捕まっちゃたのかな? 」
からかっているのか優しく問いかける女。
ついつい抱き着いてしまいたくなる。
見た目の可愛さもありつい甘えてしまう。
頭が悪いのかただのお遊びなのか。悪くない展開。
ここは一つご挨拶。
「うわあああ! 助けて! 誰か! 殺される! 」
けりが入る。
お構いなしになおも続ける。
「誰か! 助けて! 」
今度はグーパンチ。幻の左が頬に。
手加減を一切しない。これは想定外。
「まだやるかい僕? 」
今度はガキ扱いか。困ったお姉さんだ。
首を振る。
「うんいい子。でも遅いよ。もうちょっと賢くないと」
回し蹴りが。寸止めで難を逃れる。
「ああ、ここ海沿いの倉庫だから叫ぼうが喚こうが聞こえないんじゃない? 」
何だそうならそうと先に言ってくれよな。無駄な体力を使っちまった。
「へへへ…… 」
「ああん? 何を笑ってやがる! 文句あるのか! 」
今度は男の方が絡みだす始末。
これ以上刺激してはまずい。首を振る。
「それで君は? なぜあんなところに? 」
どうやら探ってるようだ。だが余計な情報は与えない。
ペラペラ喋ればそれだけ交渉が不利に働く。
ただ協力的だと思わせるのも時として有効。
だから従う振りをして長引かせるのがいい。
とりあえず自己紹介。
「俺はアモ―クス。お姉さんは? 」
「アモ―クスか。良い名前ね。できれば助けてあげたいんだけど……
でも残念。君の命もあと少し。明日までかな。ハハハ…… 」
「おい余計なことを漏らすな! 」
「からかうぐらいいだろ? ここで大人しく見張れだなんてボスも分かってない」
再び尋問。
二人の会話からここが海沿いの倉庫と判明。
ボスがいるのが分かった。
「それにしても君も運が悪いね。余計なことに首突っ込まなければ今頃ベットさ」
「あのこっちも忙しいんですが」
「話してみな。聞いてやるよ」
これまでのことをさらっとまとめる。
なぜか大人しく聞く二人。暇なんだろう。
笑顔を絶やさないように。フレンドリーにフレンドリーに。
「ははは! 神だとさ。もう完全にいっちまってるよ。
これなら後始末しなくても良くないか? 」
「うるさい! 命令なんだから大人しく従ってろ! 」
女は笑い男はつまらなそうにする。
「おいこれ以上我慢できない! 俺は外を見てくる。
こいつの世話はお前に任せた。聞けるだけ聞いたら後は好きにしろ」
「好きに? いいのかい? 」
「ああ構うことはない。だが殺すなよ。ボスの命令が下ってからだ」
再び二人きりになった。
「どうする? 明日の夜までは暇だからな。とりあえず寝るか? 」
それはまさか……
性格は悪い。見た目は可愛い。
暴力的で下品だ。でもやっぱり可愛い。
蹴りもパンチも半端じゃない。でもやっぱり可愛い。
もしかしてこのまま一緒に朝まで。
いやこれは決して俺の願望ではない。
このお姉さんの気を引き俺の意のままに操れればここから脱出も可能。
すべて計算通り。
覚悟を決めるしかない。
「お姉さんあの…… 」
いきなり服を脱ぎだした。
「なあ良いだろ? せっかくだから楽しいことしようぜ」
もう止まらない興奮状態。
「おおおお! 」
まさかモンスターではなく生身の人間に追い詰められるなんて……
朝まで地獄のお仕置きに耐えられるだろうか?
自分を見失いそうになる。
続く
⑤




