悪質な嫌がらせ
次の台へ。
次はカード。
カードとはトランプのこと。
今はポーカーが盛り上がりを見せている。
さっきから人だかりができて足の踏み場もない。
常連と思しき金ぴか男が連勝を重ねている。強運の持ち主。
気分を良くしている。とてもじゃないがどけと言える雰囲気ではない。
一体彼にどこまで強運を呼ぶ力があるのか?
またはどのように人々を欺いているのか?
からくりあるいはトリックを見破る必要がある。
このトリックを見破らなければ近寄れない。
どうする? もうあまり時間がない。
近寄れなければ目的を達成できない。
いつまでもぐずぐずもしてられない。
いくらギャグでもアモ―クスが心配だ。
即死モードはウエスティンに引き継がれもう大丈夫かと思っていた。
だがウエスティンと共にする者にまで及ぶのかもしれない。
またはまだ完全には即死モードから抜け切れてないのかもしれない。
残酷な結末が待ってなければいいが。急がなくては。
きゃあ!
きゃあ!
女性からの熱烈な応援に手を振り応える余裕を見せる金ぴか男。ツキは本物だ。
「さあどうします? これで降りますか? 」
相手はスリーカードなので強気。他の者は降りた。
「いやまさか。ここはベットだ」
葉巻を咥え洋酒をがぶ飲み。
勢いをつけ勝負に出る男。
「勝負! 」
「スリーカード」
「フルハウス」
うおおお!
またしても勝利。今日は本当についてる?
ここで水を差すのが空気を読めない爺。
「済まんがそこを代わってくれんか? 」
爺が迫る。
「ふざけるな! 勝ってる最中に抜けられる訳ないだろう」
「確かにもっとも。優先席は通用しないとしてうーむ」
男の耳元でささやく。
そうすると男は仕方ねえなと理解を示しあっさりその場を去る。
「ちょっと済まんの。うんこれが強運の持ち主のオーラか」
ベタベタ触り椅子の下まで隈なく探す。
「うむ。これは凄い。儂もツキが回ってきそうじゃ」
爺が場を掻きまわす。
ざわざわ
ざわざわ
「あら私も! 」
「俺も頼むよ」
「なら僕だって! 」
座っていた椅子や台ではなく直接強運の男に群がる客たち。
混乱する前に逃げ出す。
はあはあ
はあはあ
喧騒を逃れ不人気のマシーンに避難。
「あったぞ! 」
「それでこそ神様」
「あの…… どうやって? 」
「簡単じゃ。奴にサクラかとささやいた。図星だったようで素直に従ったわ。
まあギャンブルなどこんなもの」
次。
最後は厚化粧のおば様二人組。
「一人を剥がしてももう一人が立ちはだかるから無理なんです」
言い訳に終始するウエスティン。
「ふぉふぉふぉ。良かろう神の力を見せてやろう」
爺対おば様二人組。
「済まぬがそこを検めさせてはくれんか」
「馬鹿言ってんじゃないよ! こっちはいくら負けてると思ってんだい!
あんたが何とかしてくれるのかい。ああん? 」
凄むおば様たち。その形相に怯んでしまう。
「うぐぐぐ…… 」
「ほら黙った。邪魔だからあっちに行ってな爺さん! 」
「この神を? まさか邪魔者扱いとは許せぬ! 」
「どうするつもりですか? 」
「ウエスティンよ。儂が神であればもうすでに天罰を与えていただろう。
しかし今はただの魔法使い。技は使えん。
モンスター以外に使えば儂にだって天罰が下る」
「それは大変ですね」
「ああだからこそ儂をメンバーに加えるべきではなかった。
神の忠告を聞かぬ愚か者たちよ」
「それでどうします? 終わるまで待ちますか」
「馬鹿者! 一刻を争う。悠長に待ってなどいられない」
優先席作戦発動。
「あのここはな…… 看板が…… 」
興奮して看板を破壊するおばさま方。もはや黙るしかない。
これ以上近づいては血を見る。
「ほれウエスティンお前のミスだ。ここは例のモノを持ってくるのだ」
「例のモノですか? あれ本当に大丈夫ですか? 」
「ふふふ…… 効き目は間違いなくある。ぐずぐずせずに従うのだ。
従えこの愚か者が! 従者の癖に口答えするでない! 」
「そこまで言いますかね…… 」
ウエスティンは渋々モノを調達する。
「あらどうしたの二人とも? 」
「サーマ姫ご心配なく。この爺がすべて解決にお導き致しましょう」
ナイトを気取る元神。少々情けない。
ウエスティンが鼻を押さえ例のブツをつまむ。
「これは何かしら? 」
サーマ姫は一瞬でその正体を見破った。
「うむそれでこそ姫。これは神聖なるもの。
ではウエスティン君。あのおば様方の元へ届けるのだ」
完全に悪乗りする爺。
「ねえちょっと臭くありませんか」
「私じゃないわ! 」
「だってそちらから…… 」
「ダメもう限界! 」
おば様方二人は耐えきれずにその場を離れる。
神の采配が的中。
「よし今だ! 中を調べろ! 」
ウエスティンをこき使う。
「あああ…… 」
「どうしたあったか? 」
「いえ後ろ後ろ」
爺は気づかなかった。
鬼の形相の男たち。お怒りになっておられるようで。
「おいお前ら何をやっている! 」
フロアスタッフが現れた。
続く
⑤




