違法型
皆を幸せに導く夢の国。
うーん。
レストランで話を聞く。
「ほらお爺さん零さないの」
焦って食べるものだから口から零れ落ちる。
「フンちょっとぐらい良かろう! 」
「まったくマナーのなってない爺さんなんだから」
サーマ姫の元神への当たりが強い。地が出ている模様。
腹ごしらえを終えさっそく話を聞く。
「ああ、私は行ったことないけど楽しいらしいよ」
「どこですか? 」
「それはちょっと…… 」
客にも店員にも聞いて回るが肝心の場所を教えてくれない。
秘密の場所。ますます怪しくなってきた。
どこぞの王子が現れた。
王子と言っても愛称であり有名な会社の御曹司。
ずいぶん派手に遊んでいる印象。
会社の金を横領しているとの噂も。
「今日も勝つぞ! 」
どうも試合か何からしい。
「知りたいか? 」
「はいお願いします」
「貧乏人に教える義理はないね。金を増やして出直して来いってんだ! 」
やはり教えてはくれないか。秘密の場所。
この町ぐるみで隠している印象。
いくら話を聞いても埒が明かない。
ついに日が暮れた。手掛かりは今のところなし。
とりあえず昨日行けなかった場所に足を向ける。
「こっちじゃろ」
爺さんの勘に頼る。
煌々と照らされたネオン。派手な装飾が浮かび上がる。
ここはまさか…… カジノ?
二階に上がる。
中から大音量が流れてくる。
「何じゃここは? 」
「さあ…… でもたぶんここにいると思うわ」
「大丈夫かなあ…… 」
ウエスティンはすでに大量の汗をかいている。
「ようこそお越しくださいました。レディアンドジェントルマン」
「あらやだ本当に来ちゃったのね」
案内所の婆ちゃんが声をかけてきた。
「大きい声じゃ言えないけどここは本当は違法なのさ」
「ええっ? 国王様の許可を得てないんですか? 」
違法型IR
ルーレットがあった。
これは幸先がいい。ひとまず賭ける。
適当にベットする三人。
大当たり。
何というツキ。ビギナーズラックだ。
では続いて。
一時間後。
「大当たり! 」
とんでもない額の払戻金。これは使いきれない。
再びベットする。
これ以上勝つとこのカジノでは払いきれない程に膨れ上がった。
「これも神の力。儂を信じれば救われる」
「あんたは力を失ったでしょう? だからルーレットが一回も当たらない」
ことごとくルーレットに見放される元神の爺さん。
「年寄りをいじめんでくれサミーさん」
「ちょっと人聞きの悪いこと言わないでよ! 」
周りの目が気になるが興奮した客は爺の芝居などには興味を示さない。
これは相当やばいところに来てしまった。
「まあ今回は彼のおかげ。感謝しなさい」
「ウエスティンか? 」
「そう、運に見放されたような見た目に反して強いんだから。
しかも相手にはその実力が測れない。どう見ても弱そう。
何ゲームかやっているうちに思い知るけどその時にはもう遅い。
舐めてっかった代償を払わされる」
「ホッホホ…… お嬢さん。惚れたな? 」
「馬鹿言わないで! 私の理想の相手とはかけ離れている」
「ではやはりあの王子と」
過去の記憶を抉る無神経な元神の爺さん。
「私は自分で選んで自分で決めるの! 誰の指図も受けない! でも…… 」
「ほう。見上げた根性だ。その心意気じゃ」
「分かってくれたのね? 」
「それでじゃが…… 儂のようなダンディーは? 」
「ただの爺さんでしょう。もう冗談はおやめください神様」
こんな時だけ神様と言ってくぎを刺す。
「これは敵わんの。まあ良い。長話もこれくらいで散るぞ」
仲間だと思われるのは得策ではない。三人は離れて行動。
たまにこうして情報交換しているが今のところ暗号解読には至っていない。
ウエスティンが大汗を掻きベット。
そして大勝負に出る。
セブンに全額ベット。
ルーレットは周り球が転がり続ける。
数字を行ったり来たりを繰り返しお目当てのセブンに行きつく。
これで億万長者だ。
ざわざわ
ざわざわ
雲行きが怪しくなってきた。
「おいお前! いかさましてるだろ! 」
支払いができないので難癖をつける怖いお方たち。
これが彼らのやり方。
「待て! あのお客様…… 」
オーナーの男が挨拶にやって来た。
「これはこれは。幸運に恵まれて何よりです」
「いえそれほどでも…… 」
「できましたらここででディーラーとさしで勝負していただけないでしょうか」
「フン望むところ。誰も止められはしないさ」
ひと汗流し答える従者ウエスティン。
ウエスティンは初めてで舞い上がり己を見失い調子に乗る。
ここからが落とし穴。
更に一時間後。顔面蒼白のウエスティン。大量の汗を流す。
全額回収の憂き目にあったウエスティン。
ただ収穫は確実にあった。
続く
⑤




