新たな旅立ち
化け物をかわしワープを抜け追放ゲームを逃げ切った。
俺たちの勝利だ。
ここはどこだ? 俺たち本当に助かったのか?
声が聞こえる。姫だ。サーマ姫。
どうやら助かったらしい。
この手でサーマ姫をお守りできた。
自信にも繋がるし上手く行けば国王から褒美を頂けるかもしれない。
えへへへ…… 何がいいかな…… まさかサーマ姫?
「ねえ起きて。早く! 」
ついに夢が叶った。姫の膝枕で眠る。
これほどの幸せはあるだろうか?
勇者冥利に尽きる。
このままサーマ姫の膝で眠り続けたい。
永遠の別れとなるまで。
「ほらいつまで寝てるの! 」
目の前に姫の姿。
いや照れる。本当に照れる。
これではリザが嫉妬しかねない。
うーん。モテる男の宿命。
ごめんなリザ。結局はリザとはただの幼馴染。
勇者にとっていや男にとって一国の姫と結ばれることはこの上ない幸せ。
うん…… 幸せはいいが目の前になぜ居る?
前には姫。膝枕も姫?
あれおかしいな? 姫は膝枕をしてくれているはず。
しかし確かに彼女の姿が目の前に。まあ細かいことはどうでも良いか。
いや…… これはどういうこと?
覚醒。
「ほら起きんか! いつまで寝ておる! 」
「うおおお! 」
膝枕は確かにされていた。だがそれは爺さんの膝枕だ。
これは最悪。悪夢でしかない。
夢なのだからもう一度寝るか。
「ホッホホ…… どうじゃ儂の膝枕は? 」
師匠が寝かしてくれない。
「最悪です」
「ホッホホ…… まだまだお主は甘いの」
「おい爺! 」
ついに自分を抑えきれずにキレてしまう。相手は恐れ多くも元神。
日頃の恨みがあるとは言え逆らってはいけない。落ち着け自分。
「その発言は何だ! 仮にも神であるぞ」
「そうですが師匠。俺…… 」
「泣くでない。神の膝枕などレア中のレアだぞ」
「そうか…… って騙されませんよ! 」
「まあ良い。さあこ奴を起こさぬか! 」
ウエスティンがまだ眠っている。
これ以上余計なのが混ざると話が……
「ホレ早く起こさぬか! 」
「俺がですか? 」
「疲れが溜まっているのだろう。寝かしてやりたいがそれでは話が進まん」
滅茶苦茶な爺さんだ。
「お前。今儂の悪口を思ったろ」
「そんな師匠…… 心にもないことで」
「黙れ! 神は何でもお見通しだ」
逆らわずに従うのがいい。
「水を! 」
塩水をぶっかける荒っぽい神。
「うわああ! 」
「起きんか起きんか! 」
「ええっ? ここはどこ私は誰? 」
「ここは黄泉の国じゃ。お前の罪は見ておったぞ」
「ひえええ! 」
ただでさえ汗っかきなのにもう冷や汗が尋常ではない。
「ホッホホ…… 冗談冗談」
こうして勇者は揃った。
「師匠。これで出発できますね」
「愚か者め! あと一人足りぬわ! 」
「ではすぐに調達して参ります」
「ねえあなたはダメなの? 」
サーマ姫が爺に迫る。
「いやしかし…… 儂は何と言っても神であるからその…… 」
「話を聞いたらあなたが落としたんでしょう? 全部あなたの責任でしょう? 」
「うぐぐぐ…… 何も言い返せんわ」
「ならこの四人で行きましょう」
「待て! 待ってくれ! 」
「言い訳は見苦しいわよ」
「そうではない。儂にはどうしても行けない理由があるのだ」
「足でも痛いの? 」
「いや」
「腰をやられた? 」
「いやいや」
「疲れた? 」
「爺扱いするな! 」
「ならいいでしょう。ハイ決定」
姫はのびのびと楽しそうだ。
ようやく解放されたのだ。
家の為国の為と自分を抑え続けてきたサーマ姫。
完全な自由を得て高揚している。
そうだよな。王子なんかのとこに行くよりこっちの方が楽しいに決まってる。
姫であることを忘れはしゃぎにはしゃいでいる。
もうこうなったら俺が全力でお守りするしかない。
ウエスティンではまったく当てにならないし師匠では荷が重い。
姫を守るのは俺しかいない。
「しかしのう…… 」
「師匠。諦めが肝心ですよ」
「だがこれには最大の欠点が…… 」
「さあ行きましょう。そこの爺さんを連れてきて」
「おい止めろ! 止めてくれ! 」
「師匠。我がままはいけません」
「いいかよく聞け! 儂がパーティーの一員になったら儂の力が…… 」
「はいはい。四倍になるのね。それでどこへ? 」
「こっちじゃ。その扉を開けば新たな世界に行ける」
「よし行きましょう」
「うわ! 止せ! 早まるな! 」
「師匠行きますよ」
新たな冒険の扉を開ける。
アモ―クス。
ウエスティン。
サーマ姫。
元神。
四人は旅立った。
新章へ。
続く
次回から新章突入。
ルーレット探し編が始まります。
⑤




