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安定の八 残念賞即死モード付き

もしもし

もしもし


どこからともなく聞こえる老人の声。


これは俺の脳に直接話しかけてる?


「いい加減グルメの話はいいから次に行かんか! 」


訳の分からない爺が現れた。


はあ何を言ってるんだ?


ここは無視、無視。



もしもし

もしもし


「なあ何か言ったかリザ? 」


ううん。私じゃない。私そんな声じゃない」


「まあそうだな。俺ももっといい声してるよ。これは爺の声」


「真昼間から現れた幽霊さん? 」


「ははは! そんなはずないだろ」


怨霊? 化け物? これってホラー?



カサカサ

カサカサ


草が揺れる。


「ああこの風だからね。当然さ」


「何だ。ビックリしちゃった。ふふふ…… 」


「ははは! 」


「いい加減気づかんかい! 」


「何っすか? 」


「紙をくれ」


「ヘイヘイ」


紙は無いのでその辺の草をまとめる。これで何とかなるだろう。



「おお助かったぞ。儂は神じゃ」


「師匠。お久しぶりです」


「うん? 覚えておるのか? 」


「はい、先日は結構な…… 仕打ちを頂きまして」


「うん。怒ってないか? 」


「いいから早くルーレット回させてくださいよ」


「ここまで戻ってきたら逃げると言う手もあるがな」


「俺は勇者ですよ」


「いやそれは違う! お主は立派な役立たずじゃ」


「いえいえ勇者ですよ」


「どっちかと言えば愚者じゃな」


「でもこの世界を平和に導く勇者であり主人公」


「まあそう言うことにしといてやるか 」


「師匠早くルーレット」


「まあお前にはチートがあるからな。では回すがよい。


おっとその前にこの女どうにかせんか」


「爺をぶち殺しますか?  二人のデートを邪魔した迷惑爺にお仕置きしますか?


くそッタレ爺さんを滅ぼしますか? 」


「リザ…… 言い過ぎだよ」


「仕方ないのう。ではまた合体してもらおうか」


「ちょっと待って。それだけは…… 」


「済まんな。これも運命。二人は運命共同体なのさ」


リザは例のごとくアプラッチに変えられてしまった。



「おお神よ! 」


「ほほっほ。何じゃ? 」


「慈悲を与えたまえ」


「無慈悲な神で済まんな。これもルールだ」


「ハアもう嫌」


運命のルーレットを回す。


安定の八。


「残念賞です。即死モードにはエスケープをお付けします」


「師匠。要りませんから平和な世界に戻して」


「そう言うな。元々こんなものさ」


「ああそうだ。まだ直してなかったんでしょう? 」

 

ルーレットをどうにかしないと俺の未来は真っ暗だ。



「ホッホホ…… ルーレットに関して重大な欠点が見つかった」


「分かったんですか? 」


「ああ。聞いて驚くな」


もうこの際どうだっていい。


もったいぶらないで早く教えろよなこの爺は。


「実はなこのルーレット自体が壊れていたのではない」


「壊れていない? では操作されていた? 」


「馬鹿ななぜこの神が? 」


「知ってますよ。元神ですよね」


「訂正ありがとう。そんな愚かなことするものか」


「だって師匠。俺が苦しむのが好きなんでしょう? 」


「そんな変態みたいな言い方せんでくれ。儂は身寄りのない年寄り。


これ以上いじめんでくれ。おいおい…… 」


泣きつく爺。いや神様か。いやいや元神様だ。



「またふざけて。それよりも早く教えてくださいよ」


「ホッホホ…… 実はな一つのルーレットしかなかったのだ」


「はあ一つ? 当然じゃないっすか。それが? 」


「いや違う。あのルーレットはな八つ揃ってようやく役に立つ代物なのだ」


「うん? うん? 」


「ホッホホ…… 混乱しているようだな。お前の頭では理解できまい。


いいか考えるのではなく感じるのだ。さあ旅立つがよい。若者よ! 」


いつの間にか爺さんは姿を消した。


まったく肝心なところで姿を消しやがる。あの爺にも心底呆れるぜ。



翌日城へ。


王女の護衛の任務を受ける。


国王挨拶を終え一人なぜか残される。


居残り? あれ宿題でも忘れたっけ?


睨みつける国王。緊急事態発生。


「済みません先生。何ページですか? 」


「何を抜かす! よいかよく聞け! 」


「はは! 」


「魔王の脅威が迫っている。できるだけ早く王子のところへ。


それにはやはり馬車が良いのじゃが我が国も財政難でな。馬車も呼べないのだ」


「ええっ? 貧乏国家? 」


「無礼者! 切り捨てるぞ! 」


「ではまさかこの婚礼は国の為? 」


「ああそうは言いたくないがな。優しい王女だ。


一国の姫。それは大変美しい。我が娘だ」


はあ…… まだ発展途上な気もするが……



ついに王命を受ける。


「もしお前が万が一王子の元に辿り着けたらできれば王子を見定めて欲しい。


我が娘に相応しいか」


「あの…… 相応しくなかった場合は? 」


「その時はお前が実行するのだ! 」


国王は敢えて明言は避けたが汲み取れと言うことらしい。


何だかとっても危険な展開。


                  続く

                  ⑤

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