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最終回後編 それぞれの未来へ

魔王消滅。


「勝った! 勝ったんだ! 」


雄たけびを上げる。


「よくやったアモ―クス。さすがは我が弟子」


一番最初に抱き着いてきたのは手を洗っていない元神の爺。


「師匠やりました。やりましたよ! 」


抱き合う。


「ほれ儂はこれくらいで後がつっかえてるようじゃ」


いつになく物分かりの良い爺。少しは成長した?


 

「アモ―クス! 僕は君が勝つって信じてた! 」


同郷のウエスティンと握手を交わして喜びを分かち合う。


「アモ! 私…… 」


今度はリザだ。


バチン!


つい癖で手が出るリザ。


「もうリザ何でだよ? 俺が何をしたって言うんだよ? 」


「ごめんつい。私別に元々暴力キャラじゃなかった。


でも…… アモがいつもふざけるから」


祝福のビンタの次は溜まりに溜まった不満。爆発させる。


今はめでたい場。もう少し抑えてくれるといいんだけど。


バチン!

 

「私を舐めてるでしょう? 」


リザは超能力でもあるのか俺の思ってることを感じ取る。


「リザ…… 」


「もう知らない! 」


プラスに解釈しよう。


リザはわざと怒っているのだ。俺たちが気兼ねなく喜んでもらえるようにと。


もうリザも人が悪いんだから。



「あの…… 」


「サミー! 」


「アモ! 」


もう二人に立ち塞がる障害は無くなった。


今こそ二人の愛を確かめ合う時。


サーマが駆け寄ると抱き着いてきた。


もちろん全力で応える。


強く強く抱きしめる。


「サミー! 」


「アモ! 」


こうしていつまでも二人は抱きしめ合う。


運命によって二人が分かつ時まで。いつまでも。いつまでも。



「ほれ行くぞ二人とも」


そう分かつ時は迫っていた。


最後の町・アンデルセントール。


ほぼウエスト王国の領土。



夕方にアンデルセントールに到着。


サーマを偽サーマ姫に預けウエスティンと二人でいつものところへ。


そこには執行官と追放官の姿が。


「あれ師匠は? 」


「さっきまで一緒だったんだけどどこかに行ったみたい」


まあいいか。うるさくなくて助かる。


「良くやったお前たち。姫を最後まで守り抜いてくれたな。


国王様より褒美を与える」


護衛隊は二人を残して全滅。


それでもサーマ姫を無事に送り届けたのだから成功と言える。


もはやサーマ姫を狙う魔王はいない。危険はなくなったのだ。


それにもうここはウエスト王国の領土と言っても過言ではない。


彼らのプライドに賭けてもウエスト王国まで指一本触れさせないはずだ。


それほどの厳重警戒ならばもう任務は完了したも同然。



「ありがたき幸せ! 」


「うん。二人ともよくやってくれた。


明日一番に届けるように頼みたいのだがもう脅威もあるまい。


どちらか一人で良かろう」


気を利かせたつもりだろうがどちらか一方がいけないことになる。


「俺が行きます! 」


「僕が行きます! 」


結局どちらも引かない。


「まったく困った奴らだ。一人だ。二人も行けばウエスト王子にまで迷惑が掛る。


どっちかにしろ! 」


執行官は呆れる。


「仕方がない。お前らで戦え! 勝った方が行くでよかろう」


執行官の提案に乗ることに。


「よし勝負だ! 」


「戦うの? 僕不利じゃないか」


こうしてサーマ姫最後の護衛を賭けた戦いが始まった。



「行くぞ! 」


「オウ! 」


本来だったら力の差は歴然。


刀も特別な物でもなくただのナマクラ刀。


うおおお!


威勢のいいウエスティン。だが隙だらけ。


ただその隙をつけるほどの体力は残っていない。


魔王との死闘が尾を引いている。


体力充分のウエスティンともはや限界の俺とでは勝負にならない。


「参った! 」


ついに負けを認める。


こうしてサーマ姫の護衛をウエスティンに託す。


問題は王子が評判通り最低だった場合王命を果たす必要がある。


「ウエスティン負けたよ。これを持って行ってくれ! 」


「アモ―クス。これは? 」


「王命だ。国王から密かにお借りした物。


ロイヤルブレットだ。もし王子がその器になければこの剣を使うといい」


「アモ―クス。ありがとう」


こうしてウエスティンにすべてを任せることにした。



「待てい! 」


爺が割り込む。


「師匠どこに? 」


「そんなことはどうでも良い。ウエスティン。お主に話しておきたいことがある」


いつになく真剣な爺。


「実はな…… 」


ウエスティンの出生の秘密を打ち明ける。


「嘘? 僕がウエスト王国の王子? 冗談でしょ? 」


ウエスティンはまともに取り合わない。


「良いか従者よ。お主は立派な王子。


じゃが陰謀により幼き頃に狙われ行方不明となった。


それがウエスティンお主と言う訳じゃ」


「師匠ダメです。固まっています」


ウエスティンはあまりのことに我を失っている。



汗が大量に噴き出るウエスティン。


「うむ。その汗がお主が王子である証拠。


お主を陥れた第二王子派。と言っても第二王子に罪はない。


話によるとお主が生まれた翌年に出来た子。


もちろん母違いの子ではあるがな。


産まれてすぐに第二王子のご懐妊が判明したそうな。


第二王子も大変な汗掻きと聞く。


さあこれですべて理解したであろう」


爺が強引に話をまとめる。



「まさか…… 」


動揺を隠せないウエスティン。


「復讐するも良かろう。寛大な心で許すも良かろう。後はお主次第じゃ」


ウエスティンに王子としての自覚を持ってもらう。


「アモ―クス? 」


「自分で決めろ! どの道俺はついて行けない」


ウエスティンを突き放す。


「うん。一晩考えてみるよ」


「それが良かろう。従者よ好きにするがいい」


もうここまで来れば秘密にしておく必要もない。


後は本人次第。



翌朝。


「行くがいいウエスティン! サーマ姫を頼んだぞ! 」


アンデルセントールの皆に見送られ旅立つウエスティン。


「皆さん。行ってきます! 」


「サーマ姫は任せたからな」


「アモ―クスも元気で」


「ほれもう少し王子らしくせんか従者が! 」


爺が無茶を言う。


「ですが…… 」


「ほれ言って見ろ。サンキューと」


「師匠。抑えて抑えて。ウエスティン頑張れ!


第二王子が気に入らなければあのロイヤルブレットを使うといい」


「ああ、ありがとうアモ―クス」


「おいそこの爺! 邪魔をするでない! 」


執行官が早く行くように促す。


「最後にリザさんに…… 」


「愛の告白か? 止めておけ。朝は弱く不機嫌。噛みつくぞ」


爺があることないこと吹き込む。



「ではそろそろ行きます」


「ああ行くが良い従者よ! 」


「サーマ姫を頼んだ! 」


「皆さんありがとう…… 」


「ウエスティン! 」


「サンキュー! 」


こうしてウエスティンはサーマ姫と共にウエスト王国へ。



「サンキュー! 」


「まだ言ってるよウエスティンの奴」


「気に入ったのじゃろ。言わせておけ」


「師匠これからどうしましょう? 」


「知るか! 好きにするがいい。


ここに留まるも良し。国王に報告と褒美をもらいに行くも良し。


故郷のイシコロ村に帰るも良し。新たに旅立つも良し」


「うーん迷うな」


選択肢が多すぎる。どれもそれなりに面倒だ。


「あのちなみにベビーモード? 」


「馬鹿者! そんなはずあるか! 」


「うーん…… 」


「私はアモと一緒にここで暮らしたい」


リザが右肩に寄りかかって来る。


重いんですけどリザさん。


「故郷に帰らなくていいの? 」


「ここは都会に近い。ヨークだって一日で行ける」


リザによるとここは理想的だと。



「いや俺はまだここに留まるとは一言も…… 」


「まさかサーマ姫が気になる訳? だったらわざと負ける必要なかったじゃない」


「何だ気づいてたのか? 俺だってさ…… 」


リザが最後まで言わせない。


「最後に私を選んでくれてありがとうアモ。今までのことはすべて水に流すわ。


爺の暴言もすべてね」


「ええ許してくれるの? 」


意外な展開。何か勘違いしてる気もするけど。


「当然。もう二人に障害はないわ」


それは確かサーマに使った気が……



「リザ…… 」


「ふふふ…… あの子もかわいそうに。結局運命には逆らえなかった。


姫なんて皆にちやほやされても自由はなかった」


「リザ? 」


「だってサーマは…… 」


なぜか涙を流しているリザ。


ただの意地悪な幼馴染ではなかったようだ。



「リザ。大丈夫さ。きっとサーマなら大丈夫」


「ふふふ…… アモかわいそう。慰めてあげる」


「取り込み中に済まんがお二人さん。


サーマはもう遠くだろうが改めてお別れを言おうではないか」


いくら爺でも最後ぐらいは真面目に行こうとしてる?


「さあ行くぞ! 」


爺の誘いに乗り飛び出す。



「サーマ! 」


「アモは私が幸せにするから! 」


「婆さんや行くでない! 」


やっぱり最後までふざけようとする爺であった。



「サーマ! 」


「ついでにウエスティン! 」


「従者もしっかりせい! 」


こうして最後の挨拶を終える。



エンド……



「あーあ。終わったわね」


切り替えの早いリザ。


「さあ帰りましょう」


「リザ…… 」


「大丈夫。すぐ忘れるって! 」


リザは先を見ている。


俺は後ろ向き。引きずってばかり。



「アモ行こう! 」


リザが右腕を掴む。


「リザ。重いよ」


「ふふふ…… やせ我慢しないで。私を受け入れるの! 」


うぐぐ!


リザに右腕を掴まれ苦しい。


その上今度は左腕まで掴まれる。


「何をするんですか師匠? 」


「儂か? 儂は目の前にいるであろう。うん…… まさか…… 」



「アモ! 」


そう言い抱き着いたのはサーマだった。


「ええ…… サーマ? 何でサーマが? 」


もう何が何だか訳が分からない。


「ちょっと! 私のアモに何をするの! 」


「ふざけないで! 私たちは結ばれてるの! 」


「おいサーマよ。なぜお主がここにいる? 」


爺が代表して聞く。


「嫌だったからお付の者に代わってもらっちゃった」


「サーマ本当なの? 」


「うん。彼女もOKしてくれた。王子様に目がないの彼女」


それで本当にいいのか? 疑問は残るがとりあえず納得するしかない。



「そうするとウエスティンは何の為に? 」


「まあ良かろう。従者とはそう言う運命」


「じゃあ行きましょうアモ! 」


左腕を強く引っ張るサーマ。


「駄目! アモは私と行くの! 」


右腕を負けじと思いっ切り引っ張るリザ。


姫と幼馴染の熾烈なバトルが勃発。


俺はどうしたらいい?


逃げるにも両腕を掴まれてるし。


しかもものすごい力で引っ張られてるんですけど。


「師匠! 」


「儂も! 」


そう言うと爺が後ろから膝を掴む。


「うわああ! 助けて! 」


崩れ落ちる。



これがベビーモードの力?


いや即死モードの威力だろう。


「お主には女難の相が現れている。充分気を付けるように」


「師匠酷いよ! 」



こうして新たな旅立ちまで四人は楽しく過ごしたとさ。


            

                 <完>


この物語はフィクションです。

特にチュンドラーの役満理論はフィクションです。


後記


among asアモングアスが面白そうだなと。テレビでやってたのがキッカケ。

主人公もそこからアモ―クスに。ちなみにリザはもともとはアズ。いつの間にかリザへ。

ついでにサーマ姫も最初はイーテ姫だった。

アモングアスは皆で話し合い追放者を決めるゲーム。

だからこの物語も追放官や執行官に哀れな追放者それを喰らう化け物が登場。

追放しないと自分が追放される心理戦。終わりなきデスゲームと言う訳だ。

ただそれだけだと薄いと感じルーレットの旅。割合は4・6かな。


ウエスティンについて

汗っかきウエスティン。設定ではただのやられキャラで足を引っ張る主人公引き立て役。

ただあまりにもかわいそうなので王子様になってもらいました。

モデルはトリオのOさん。汗っかきなところと最後の言葉ぐらいで後はまったくの別人に。

ただ運が悪くて騙されやすく、従者キャラなとこは意外にも似ているかもしれない。


今回の旅はルーレットに関係する世界を四つほど。

ルーレット、ギャンブル、数学、博士。

ネタ切れしたので女神や聖地に過去の世界。

結局は七つのルーレットを集める旅。D・Bと同じかな。


類似作品。

この作品は文豪シリーズとよく似ている。

特に二期は登場人物が同じと言っても過言ではない。

元神は文豪で。

サーマ姫は夏。

リザは妖精とヒロイン。

アモは…… 忘れた。

ほぼ同じだなと。キャラが被ったと自分でも思う。


ジャンル。

冒険ファンタジーが好きで書いてるんだけど……

うーん。どうもね……

来年は秋頃になっちゃうかな。


最後に一言。

「また来年! 」


同系統作品。

『文豪シリーズ』特に二期。

『ジミート チート神を探して…… 』

『ド・ラボーの地位を得ましたのでさっそく…… 』


来年の予定。

このサイトでは未定。

たぶん春頃になるかと。

ジャンルも未定。

ルーレットで決めようかな。


十二月十五日現在。



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