魔王との死闘
魔王と一対一のサシの勝負を挑む。
もちろんその間に仲間には雑魚の始末をしてもらう。
「ふふふ…… この魔王様に勝てるかな」
「喰らえ! 魔王! 」
相手は武器も手にしてないがこの際ルール無用。
「うわああ! 止めろ! 」
ゴールドソードで魔王を切り刻む。
あれ…… 手応えがない。
「ふふふ…… どうした俺様を倒すんじゃなかったのか? 」
まさか不死身なのか? ただの鈍感なのか?
「師匠どうしましょう? 」
「知るか! 儂が知るものか! 」
爺は予想外の展開に逃げの一手。
「ほう。もう降参か? ではこちらからやらせてもらうぞ」
そう言うといつの間にか手に剣が。魔王の剣・魔剣を手に切りかかる。
「うわああ! 止めてくれ! 俺が悪かった!
サーマでも誰でも差し出すから命だけはお助け下さい」
つい命乞いをする。
「何をしておる。戦わんか! お主はベビーモード。恐れずに立ち向かえ! 」
根性論の爺。古くて困る。
「でも師匠。どうすれば…… 」
戦意を喪失。
「フン! サーマ姫さえ手に入れればお前らに用など無い! 」
魔王は見逃してくれるそう。
「ではお言葉に甘えまして…… 」
ここは一旦退くのも作戦。勇気ある撤退だ。
「馬鹿者! 何をしてるか! チートを使え! 使用を許可する」
爺のアドバイスでどうにか精神を保っていられるがもうそれも限界だ。
取り敢えずアネモネで気分転換。
「おいこいつ本当に大丈夫か? 」
魔王にまで心配されてしまう。
「ほら掛って来い! 」
「もっと鮮やかに。笑って。へへへ…… 」
「ダメだなこいつは。ではサーマ姫はもらって行くぞ! 」
「きゃあ止めて! アモ助けて! 」
サーマ危機一髪。
「うるさい! 着いて来るんだ。場所を変えて改めて誓いのキスだ! 」
このままだとサーマは連れて行かれてしまう。
「お願いアモ! 」
「もっと…… うーん気持ちいい」
「何をしてる? 戦わんか! 」
爺の言葉はもう届かない。
「いい加減にしなさい! 」
リザから拳をもらう。
「あれ俺は一体…… 」
「何をしておる! サーマが連れ去られるぞ! 」
「アモ―クス。しっかりしろ! 」
ウエスティンもここぞとばかりに声を張り上げる。
「よし復活だ! 」
ゴールドソードを向ける。
魔王が魔剣で対抗。
「魔王様よ。もう手下は片付けた。お前一人で何が出来る? 」
魔王に脅しをかける。
「ふふふ…… 俺様一人で何とでもなるさ。心配無用だ」
「ならばこれはどうかな? 師匠お願いします! 」
「待っておったぞ。その言葉」
ジャスラ人形。
「ふふふ…… これがどうした? 」
ジャスラ人形からジャスラが召喚される訳でもなくただ取り出しただけ。
「やせ我慢はよい。お主もこれが怖いのであろう? 」
「黙れ! そんな人形など切り刻んでやるわ! 」
魔王の様子がおかしい。苦しそうだ。
「今じゃ! ゴールドソードを突きさせ! 」
爺からのアドバイス。
「行くぞ! 」
「待て! 俺様が何をした? この者さらったと言うならそれは大きな勘違いだ。
我々は元々結ばれる運命。決して悪意などありはせんのだ」
見苦しい言い訳。命乞いをする訳でもなく中途半端な魔王。
「見損なったぞ魔王! これで終わりだ! 」
ゴールドソードを突きさす。
「うおおお! 何をする…… 」
抵抗虚しくその場に倒れ込む魔王。
これで世界は救われたか?
「よくやったアモ! さすが我が弟子! 」
爺からお褒めに与る。
いい気分だ。
「よし止めだ! 」
つい調子に乗ってしまう。
「あの教会を壊さないでください」
神父からのお願い。
魔王も倒したしこれ以上の戦闘もないだろう。
「心配無用。儂らを信じよ! 」
「そうですよ。もう決着はつきました」
ゆっくり近づく。
あと一発で息の根を止められるはずだ。
「アモ気を付けて! 」
サーマが異変に気付いたようだ。
「ははは…… 大丈夫だってサーマ」
「ふふふ…… どうした? この魔王様を倒すんじゃなかったのか? 」
不死身の魔王が立ち上がる。
「なぜじゃ? 確かに貫いたはず」
爺はあり得ないと現実逃避を始める。
「ふふふ…… さあどうする? 」
魔王の弱点を聞いておくんだった。これでは間違いなく俺たちはやられてしまう。
そうなれば恐怖と絶望の世界を作り上げるだろう。
数年前よりも力をつけて来たのは間違いない。
噂ではもう魔王はさほどの力を持っていないとも聞く。
どちらが正しいにしろ俺たちは助からない。
無念だ。無念すぎる。
「ほれ恐怖しろ! うわははは! 」
完全に勝利に酔いしれている。
もしかすると今がチャンスなのかもしれない。
「おい! 道具をすべて出さんか! 」
爺の的確な指示。
「よしこれを使え! 」
武器の交換で劣勢を跳ね返す。
金の斧を装備。
「無駄なことを。さあ大人しくしてもらおう」
魔王の圧力。笑っている。だがその存在感に圧倒され言葉も出ない。
爺の思い付きの金の斧は果たして役に立つのか?
「お前も良くやったぞ。褒めてやろう。最後に名前を聞こうか」
魔王のせめてもの情け。
「俺はアモ―クス! お前など俺が捻り潰してやる! 」
「ふふふ…… 威勢がいいな。だが俺様には勝てない。
なぜなら俺様は不死身だからな。残念だったな。ははは! 」
「お願い! 弱点を教えて! 」
サーマが、あの高貴なサーマ姫が命乞いをする。
「馬鹿め! 狂ったか? それに俺様に弱点などない! 」
興奮し己を見失いつつある魔王。これは危険な兆候だ。
ただこれほど否定するのは決定的な弱点があるに違いない。
魔王の弱点? どこだ? 果たしてこの短い間に見つけられるのか?
「よし一か八かだ! 」
金の斧を投げようとするが神父が止めに入る。
「待ってくれ! これ以上教会を壊さないでくれ。お願いだ! 」
俺たちが絶体絶命なのに対して神父も教会を守るのに必死。
これ以上は耐えられないとのこと。
「よし外に出るぞ! 」
「ふん! 好きにしろ! 」
魔王は余裕の表情。よもや負けるなどと思ってもいないのだろう。
仕切り直しても結局は魔王の圧倒的な強さの前にひれ伏すしかない。
「ははは…… どうした? 恐怖で足がすくむか? 」
「ふざけるな! 俺の力を見せてやる! 」
つい勢いで金の斧を投げ飛ばしてしまう。
金の斧は魔王の肩をかすめ飛んで行ってしまった。
そして噴水の中へ。
これで貴重な武器をすべて失う。あと残ってるのはロイヤルブレットのみ。
もうあきらめるしかない。
「うん? 爺何をやっている? 」
爺の異変に気が付いた魔王。
「つい緊張してな。脱糞中じゃ」
「うぐぐぐ! 鼻がやられる」
下品な爺に上品な魔王。
「俺様はデリケートなんだ! 」
ついには背を向ける。
「どうしよう? どうしよう? 」
アモークスのピンチにウエスティンは慌てるばかり。
「うるさい! 少しは落ち着きなさいよ」
リザでもどうにもならない。それは分かり切っていること。
ただ見守るしかない。
「あれ何か光ってるよ」
ウエスティンが噴水の異常に気付く。
「眩しい。目が! 目が! 」
噴水から女神様が現れた。
最終回前編に続く