表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

111/115

痛みを乗り越えて 全員集合

トイレからごく自然に歩いて来る元神の爺。


その堂々とした姿に戦慄を覚える。



「師匠? 」


「おうアモ―クスか。久しぶりじゃな」


やはり手も洗わずに近づくある意味無敵の爺。


「なぜ師匠が? そもそも参加できるんですか? 」


「おおそうじゃった! 良い報せと悪い報せがあるが聞くか? 」


勝手に話を進める。


「良い報せだけお願いします」


「まあ良かろう。実はリザの件だ。たぶんクリアしても戻っては来ない。


これはただの勘違い。儂の術はもうとっくに解けていた。


だからすぐにこの世界で彷徨っていたリザを元神の力を使い探しだした。


いや何、礼などいらない。儂にも責任の一端があるからな。これはサービスじゃ」


元神の爺はお助けキャラを卒業しついにこの世界で共に戦う決断をした。



「師匠! ありがとうございます」


「何お安い御用じゃ」


「それで悪い報せとは? 」


つい嬉しさのあまり余計なことを聞く。


「お主に女難の相が出ておる。気をつけよ」


まだ占いごっこしてるよ。困った爺だ。ついていけない。


「師匠も人が悪い。俺たちの絆はそんなことでは揺るがない。そうだろサーマ?」


「アモ…… 気を付けて」


「ははは…… サーマが怒りでもしなければ大丈夫だよ。


だってそうだろ俺たちにはもう何の障害もない」


少しだけ格好つけてみた。


爺も来たことだしそろそろ起き上がるとしようかな。



「アモ―クス気をつけろ! 」


ウエスティンにまで心配される始末。


「アモ! 危ない! 」


サーマ。まったく心配症だから困る。


起き上がり後ろを振り返った瞬間。


バッチン!

バッチン!

ドンドッドン!


往復ビンタと腹に一発喰らう。


うう…… なぜ?


リザの姿が。


鬼の形相で睨みつける。


またこのパターン? 何回目だよ?


少しは時と場所を弁えて欲しいものだ。


「リザどうしたの? 」


どうにか取り繕うが……



ドンドッドン!

ドンドン!


今度は蹴りが入る。


決して許してくれそうにないリザさんでした。


「ごめんなさい。ごめんなさい。許してください。


俺が悪かったです。本当に俺が悪かったんです」


土下座しても許してくれそうにない。


「リザ! 」


「フン! 知らない! 」



感動の再会とはいかなかった。


いつもこうだ。誤解だと言うのにちっとも聞いてくれない。


いや聞こうと言う姿勢が見られない。


リザ。君はどうしていつもこうなんだ。


俺が悪いのか? 確かに謝ったけど。


悪くないよね? 


宥めるのに時間がかかるのは間違いない。


あーあやってられない。


こうしてついに五人全員が揃った。



「痛いよ…… 」


「情けない奴じゃ。サーマに現を抜かすからこう言う目に遭うのじゃ。


反省せんか愚か者! 」


爺からの愛の鞭。今回は強烈すぎる。


でもリザに比べたら何てことないけどね。


「さあ出発よ! 」


「オウ! 」


元気よく行こうとしたその時だった。



「助けてくれ! 奇襲だ! サーマ姫が危ない! 」


作戦を知らされていない護衛隊の一人が転がり込んできた。


サーマ姫とはあのおばさん?


応援の要請を受けても困るんだよな。


偽サーマ姫の作戦。俺たちは応援に行くのではなく逃げるべきだ。


「どうするアモ? 」


サーマの気持ちは分かるがやはりここは逃げるべき。それが偽サーマ姫の意思。


「もう分かったよ。助けるしかないだろう。よしサーマはここに残ってくれ」


もちろん言うことは聞かないサーマ姫。我がままで困ってしまう。


「助けに行きましょう! 」


「まったくしょうがないの。よし儂に続け! 」


勝手に爺が話を終わらせる。


爺を先頭に俺、リザ、サーマ。最後にウエスティン。


実はここで守るべきはサーマ姫だけではない。


隠れ王子のウエスティンも守る必要がある。



襲撃に備え先行隊と本隊の二組態勢。


先行隊は囮。もし狙われてもサーマ姫は安全だ。


先行隊が安全を確認した上で本隊は通過する。


これが鉄壁な守り。


ただ隊を二つに分けたことによって戦力は半減。


その上魔王の手下が紛れて余計に手薄になっている。



「やはり仕掛けたわね」


恐れていた事態。サーマは残念そうだ。


分かっていながらみすみす襲撃を喰らう運命。


どうすることもできない。


「当然じゃろ。もうウエスト王国までわずか一日」


一日かければここからでもウエスト王国に着けるだろう。


だから敵は動き出すしかない。


それに最後のチェックポイントにはウエスト王国の目もある。


無闇に攻撃を仕掛けても反撃を喰らうだけ。


このタイミングを逃せば姫を奪うことはできない。


「ああ心配。身代わりをさせなければよかった」


頭を抱えるサーマ。身代わり作戦に最後まで反対の立場。



「よしこっちじゃ! 」


方向音痴の爺に任せて大丈夫かな。


襲撃場所。


激しい戦いがあったようで戦の跡が見られる。


人とモンスターの無残な姿。


動けないものの意識のある者数名。


「連れ去られた…… あっちだ! 」


その一人が手を伸ばし方角を示すと安心したのか意識を失う。


                  続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ