表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/115

レベルアップ

復活。


ええっと冷たいなあ。何か息も苦しいしどうしちまったのだろう俺?


原因不明の奇病にでもかかったか?


医者だ医者を呼べ!


ブクブク

ブクブク


あれ俺太っちまったのか?


嫌だなあ。でも俺んち貧しいから有り得ないんだけど。おかしいな……


ブクブク

ブクブク


ええっ? 水の中じゃないか。ああ安心した。


いやそんな落ち着いてられない。とりあえず立ち上がる。


周りでは同様に橋から落ちた者が立ち上がろうともがいている。


あれここは?


橋が見えた。


そうか姫を護衛してる最中。


何らかの理由で橋が崩れた。


俺たちはそれに巻き込まれ今に至るという訳だ。



「おい大丈夫か? 」


巻き込まれずに済んだ者が懸命に呼びかける。


ミュウ

ミュウ


もう見た目も声もおかしな奴が紛れ込む。


俺ら(他の奴ら)がいくらアホだからってそれは無理がある。


あれ? 誰も指摘しない。とんでもないな。


任務に戻る。



「大丈夫でしたか? 」


稀に見る良い奴。ひげを蓄えている男。


厚着をした彼の名前はフーゴ。


俺たちの村からはかけ離れた雪と氷の世界の住民。


何でも器用にこなす彼がなぜこのような落ちこぼれ部隊に?


話を聞くと兄が深く関係しているらしい。


何でもお兄さんは騎士を目指し特訓を重ねたそうだ。


悲しいことにある夏の日に雪崩に巻き込まれ命を落としたのだとか。


彼が言う話はいまいち信用ならないが死んだ兄の代わりに参加したらしい。



「なあどう思う? 」


ウエスティンはあり得ないと言う。


「だって夏山だよ。雪があるなんて信じられない。それは冬山の間違いでは? 」


「ははは! 馬鹿だな夏にだって雪は残ってるさ。


それに巻き込まれたって話なら俺のおやじも経験したぞ。


まあおやじが言うには夏の方が軽装備で警戒もしてないので危険だって話だ」


マットが割り込んできた。彼も有能な人材。ここに居ていい奴じゃない。


まったく物好きもいたもんだ。俺なんか半分騙されてきたようなもの。



「ほらそこ私語を慎め! 」


最年長の大男が隊を仕切っている。


彼は近づく者を容赦なく切りつける単細胞で敬われてはいないが恐れられている。


彼にくっつくように姫が歩く。


「エーテ姫。俺が! 俺が! 」


歩き始めたばかりで疲れてはいないだろうが橋が落ちたショックを隠せない様子。


やはり馬車にしておけばよかったのに。国王は何を考えておられるのだろう。



「おい何をする! 」


先頭から声が飛んだ。


「うぎゃああ! 」


狼か何かと思っていたらとんでもないものが襲って来た。


キングドッグだ。


キングドッグは名前の通り犬のような見た目。


大きさは大型犬ぐらい。鋭い牙と爪がある。


ただキングドッグはこの辺りには生息していない。


もっと森の奥洞窟近くを縄張りにしている。ここに居るのはなぜか?


キングドッグは冷静さを取り戻した。


そうキングドッグは魔王に操られていたのだ。


キングドッグは尻尾を撒いて逃げて行った。



レベルアップ。


アモ―クスはレベル3になった。


力が1上がった。


速さが1上がった。


知能が1上がった。


思いやりが1下がった。


予算が1増えた。



そう俺が何もしなくてもレベルアップしてしまう。


逆に俺が倒しても他の奴がレベルアップすることもある。


団体行動のメリットの一つ。


強くなったのだ。剣だってこんなに早く振れる。速さと力が上がった証拠。


ウーン楽していい気分。


ただ気をつけないと万能感で傲慢になってしまう。


多少謙虚さを持つほうが良いだろう。ただ謙虚の意味は知らないが……


それから実際に戦っていないので経験値は伸びない。


経験不足で実戦になると危険極まりない。



問題はお金が自由に使えないこと。


戦えば戦うほど金は入ってくるが管理を算数のできる奴に任せっきり。


今どれぐらいあるのかは知らない。


お小遣い制を採用しているので多少は増えるが不満は残る。


金、金とばかり言っていると浅ましい人間に思われるので口にはしない。


俺はケチでも浪費家でもない。


ただできるならもうちょっとお小遣いを上げてくれると助かる。


主人公なのだから。


これが最大のデメリット。


もちろん武器や防具にアイテムと言ったものは必要に応じて買っていい。


少々息苦しいがまあ慣れればこの生活も悪くない。


俺には自称神もついているのだから。


できたらもうちょっとでもチートを増やしてくれたらなあ。


愚痴ってるうちに目的地のアイネ村にたどり着いた。


              続く

              ⑤

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ