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第七世界 まさかのイシコロ村

第七世界。


ついに第七世界までやって来た。


残るルーレットは一つ。


最後のルーレットを見つけ出せばついに完成する。


神のルーレット。


今まで八しか出ずに即死モードに甘んじていた。


だがこれでベビーモードも夢じゃない。


それに元神の爺はなるべく良い目が出るよう約束してくれた。


仮に悪い目が出ても何度だってやり直せる。


ベビーモードの未来がもう間もなく。


さあ気を引き締めて行こう。



デジャヴ。


第七世界には見覚えがある。


そして妙に懐かしい感じがする。


初めての世界のはずなのになぜ?


あれここは? まさか…… イシコロ村?


「ほう。どうやら気付いたようじゃな。さすがは我が弟子。


そうここが第七世界でありお主の故郷でもある」


確かに…… ここは間違いなくイシコロ村。


俺の故郷イシコロ村だ。



「これはどう言うことですか師匠? また間違えたんですか? 」


「うむ。アモ―クスお前には難しかろう。だが実に単純な話。


儂との出会いを思い出してみよ」


爺との出会い?


野ぐそをする爺に話しかけられたのが最初の出会いだった。


「まさかあの時…… 」


「そうじゃ。あそこでもルーレットを忘れたわ」


何の自慢にもならない。なぜそんなに堂々としていられるのだろう?



ここは一つ追及してみるか。


「爺さん何やってんだよ! 困るよ」


「済まぬ息子。儂もついうっかりじゃ」


「父一人子一人なんだから迷惑かけないでくれよな爺さん! 」


「ううう…… 許してくれ息子よ! 儂が悪かった…… って何を言わす? 」


「師匠がふざけたこと抜かすから。本来サーマかリザに叱ってもらえれば…… 」


つい二人のことが蘇る。


「サーマ! リザ! 」


「まったく自分で言って傷つくとは世話ないわ。ほれ荷物を持たんか従者よ! 」


「だから俺は勇者アモ―クス。従者はウエスティンだって! 何度言えば? 」


「いやはや従者も出してやらんと忘れてしまうであろう」


滅茶苦茶だがこれも爺なりの優しさ。


ごめんウエスティン。忘れてた。



「では急ぎましょう。こっちです」


どこに何があるかすべて把握している。


「しかしのう。変だとは思わんか? 」


無駄に慎重な爺。


そんなことはどうでも良い。細かいこと。


あの日は隣村のお祭りに二人でこっそり参加しようとしていた。


リザがどうしてもって言うから。


つい幼馴染のリザとの思い出が蘇ってくる。


あの日この爺と出会ってなければリザが姿を消すことは無かった。


リザ……


サンドイッチを食べてる時に話しかけられたんだよな。



「リザ! リザ! 」


神様はおっしゃった。仲間は元の世界に戻っていると。


だとすればリザはこの近くにいるはず。


「愚か者! ここにおるか! 」


爺は何か知ってるのか?


「ではどこにいると言うんですか? 」


「じゃからお前の…… 合体したであろう? 」


そうだった。肝心のリザが姿を現さないのはそう言うことか。


「お主が姫を守り王子の元に届けて任務が完了すれば元の姿に戻るはずじゃ」


断定を避ける爺。不確かだがなと述べるにとどまる。


さあとにかく任務を遂行しなければ。



「それで師匠。最後のルーレットは見つかりましたか? 」


「うーむ。どうやらここではなさそうだ」


出会った場所から動かされている?


とにかくルーレットを探さなければ。


「詳しい者から話を聞くぞ! 」


「はい…… あれ師匠も動くんですか? 」


「ああ。ここはあくまで第七世界。元の世界とは違う」


俺たちは元の世界に戻って来たのではない。


元の世界に近い第七世界を生きている。



イシコロ村。


勇者帰還する。


俺の家は…… あれ川なんですけど?


目の前には川。確か俺の家のはずだが…… おかしいな。


「どうした懐かしいか? 」


目の前には家一つない。


そう言えば幼い頃に引っ越したって話を聞いたことがある。


そうすると生まれたかその前ぐらいのイシコロ村と言うことになる。


懐かしい。何となくだけど懐かしい気がする。


「師匠これはどう言うことでしょうか? 」


「儂にも良く分からんが恐らく第七世界と言うことであろう。


なぜ過去に遡ったのかは良く分からんがそれなりの意味があるはず」



とりあえず動くしかない。


大声で呼びかける。


「誰かいませんか? 」


叫び続けること五分ついに反応が。


「あれ何か聞こえませんでしたか? 」


「済まん。儂のオナラじゃ」


「うわああ…… 師匠酷いよ。臭いよ」


「我慢せい! これも何やら関係あるのかもしれん」


だが目の前には相変わらず川が流れているだけ。


途方に暮れる。


                 続く

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