旅立ちの時
一番下の数字は一日の数。
最初は五話連続投稿。⑤
連続投稿をどれくらい続けるかは未定。
基本的には一日一話。
やる気次第。
『お姫様護衛大作戦 』
イシコロ村。
護衛も楽じゃない。
魔王に狙われたお姫様の護衛の任に就く。
「ええっ? 俺にはできないっすよ」
「口答えをするな! これは命令だ! 」
「俺が? 本当に? 」
辺りには誰もいない。
「お前しかいないんだよ」
「そんな…… 俺がそんなに優れていたなんて知らなかった」
「まあそう言うことだな。ハハハ…… 頑張んな」
「でも剣の腕も未熟だし力も弱い。それからそれから魔法も使えないし…… 」
「頭も悪いし。根性もないし。あれ? いいところが無いぞ? 」
「こらお前ら! 」
近所のクソガキが絡んできやがった。
俺よりも一つ下の三人組。生意気でしょうがない。
もう少し先輩を敬えば少しはかわいいのだが親がえらいとかで態度がデカい。
「ほら行けよ! 目障りなんだよお前ら! 」
三人集まると手が付けられない。少しでも甘い顔をするとつけあがるから困る。
「夜に一人になったところを襲ってやってもいいんだぞ? ふふふ…… 」
「またこいつ笑ってやがる。行こうぜ! 」
三人組はどこかへ姿を消す。
さあ邪魔者を退治した。雑魚だったが少しはレベルアップしただろうか?
なんて冗談言ってる時ではない。訳の分からない面倒ごとに巻き込まれている。
「あの…… 考え直してくださいよ。俺この村を離れる訳にはいかないんだ! 」
「ダメだ! 決定事項の変更は認めない。村で決めた事に大人しく従いなさい」
「だって俺強くない。しかも役に立たない。集団行動もロクに出来ないし…… 」
言ってて虚しくなる。もう言い訳なんかしたくない。
「そうだ。あの三人組はどうですか? あの若さであれだけの動きができる。
俺なんかよりもよっぽど…… 」
どんどん虚しくなっていく。
「彼らは無理だ。まだ若い」
「一つしか違わないって! それに若い方がいいでしょう? ねえ、頼みますよ」
「ダメだ! 彼らは使える」
「俺は? 」
「いや。済まない。村の為に頑張って来てくれ」
「俺はどうなの? 」
「本当に済まない。決定事項だ。村の為に頑張ってくれ勇者」
男はそそくさとどこかに行ってしまった。
くそ! なんで俺なんだ? 抜擢されるなんてありえない。
嵌めた? 嵌められた?
しかしなぜ? 意味が分からない。
「おーい! 」
うん? 誰か来る。
忘れていた。これから出かけるんだった。もう面倒だ。隠れちまうか。
辺りを見回す。しかし広場には隠れる場所など存在しない。
「おーい! おーい」
やばい。見つかった。
「アモ―クス! アモ! アモ! 」
恥ずかしいなあもう。いちいち大声で叫んでるんじゃねえよ。
そう俺の名前はアモ―クス。アモとかアモンって呼ばれている。
「アモ! 返事してよ! 」
この女お隣のリザ。
昔から世話になってる。まあ幼馴染ってとこかな。
俺は女はどうも…… それにいつもしつこくしてくるから嫌いだ。
「ほら行こう! 」
「ああ。しょうがなねえな。分かったよ」
後ろにつく。だがそれをリザは許さない。
「手をつなぐの! 」
まあそれぐらいはいいか。
歩いて三十分。
見えてきました。隣村。
今夜ここでお祭りが行われるそうだ。
俺ら子供は参加できない決まりになっている。だって隣村だもん。
まあ毎年一回は俺らの村の祭りもあるのでどうでも良いのだが。
リザはお隣の祭りに興味があるらしく。隠れて参加するらしい。
リザに付き合うことになった。
うーん。疲れた。いったん休憩。
リザが軽食を用意してくれた。何と気前のいいこと。感心するな。
「ほらアモ! 口を開けて! 」
もぐもぐ
ぱくぱく
「うまいな! 何だこれ? 」
「サンドイッチ」
「ああ。あの白い奴ね」
初めて食べる訳ではない。だが肉以外に興味が無いので覚えられない。
「肉! 肉は無いのか? 」
「中にハムがあるでしょう」
「あーあ。このうっすいのか。本当にこれが肉なのか? 」
「もうアモったら」
リザが笑った。
俺もついつい合わせてしまう。
「なあ今度はモンスターバーガーを食わせてくれよ」
「それは禁じられているでしょう? 」
「禁じられてる? 初めて聞いたが? 」
「アモったらそんなことも知らないの? 」
「うん。いや知ってた…… うん」
「嘘! アモは嘘を吐くのが下手ね」
「うるさい! 馬鹿にするな! 」
「あらあら子供なんだから」
「くそ! 」
何も言い返せない。
もしもし
もしもし
「何か声がしないか? 」
「ほらお爺さんが呼んでるわよ」
横を見る。
うわっ! いつの間に? 恐ろしく存在感の無い爺だ。
続く
⑤