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介護士の小話

酸っぱいぶどうじゃなかった

作者: HOT-T

 ウチの施設で若くてかわいい女性が居た。

 今でこそ30代だが私が出会った当時は20代中頃。

 独身男性職員から人気があり、アイドル的存在だった。

 おば様職員達からも好かれており『きっと上へ行く娘』ともてはやされていた。


 さて、私も独身男性であるが彼女に対してはと言うと……本気でウマが合わなかった。

 別に喧嘩をして仲が悪いというワケではない。

 何というか考え、価値観が相容れない。そしてその行動を見ていると良くイライラしたものだった。

 大抵の事ではイライラしない。人それぞれ価値観も違うのだしというのが私の考え。

 だが、彼女に対しては違って。ピンポイントで私の気に障る行動をとるのだ。


 価値観で言えば彼女は『お年寄りが好き』と言っていたが見ていて思ったのは『お年寄りに優しく世話を焼いている自分が好き』なんだろうなという事だ。

 基本、手のかからないお年寄りや自分が気に入らないお年寄りには塩対応なのだ。


 さて、彼女に恋人が出来たとわかった時、男性職員は皆がっかりした。

 『茶葉さんもそうでしょ?』と年配の女性職人に言われたが申し訳ない。私は彼女とは考えが合わないのだ。

 その事を伝えると『本当かなぁ、酸っぱいぶどうなんじゃない?』と言われた。

 イソップ寓話のひとつで自己の能力の低さを正当化や擁護するために、対象を貶めたり、価値の無いものだと主張する負け惜しみの事だ。

 そうなのだろうかと思いつつ時が過ぎていった。


 今、彼女はとても有名だ。

 何せ元上司との不倫が噂されている。というか確定している。

 

 その元上司は4児の父親なのだが色々と相談に乗っているウチにそういう関係になってしまったということだ。

 私は元々彼女が彼の事を好きだったのは何となくわかっていた。

 昔からちょっと怪しくないかなという場面はあったし、彼は若い子が好きだった。

 彼女は結構依存していてあらゆる介護に関する考えが元上司と同じものだった。

 まるでコピペの様に同じ言葉が返って来る。議論の余地もないくらいに同じ。

 

 そして行きついた先がこれである。

 今、彼がまとめている部署はこの件を含め色々あって地獄の様相を呈している。


 やはり思った通りだった。

 酸っぱいぶどうでは無かったのだ。


 彼女からLINEが来た。

 『相談したいことがあります』。

 私は静かにブロックさせてもらった。



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