4話:ゴーレム戦
すみません、かなり更新が遅くなりました。
未明領域第一ボス部屋でゴーレムが吼え、戦闘が始まった。
戦闘が始まると同時にレイド、カイル、オウカの三人はゴーレムに急接近し、ソニアが後ろから銃で援護をする。
ウルガロードと戦った時と同じ戦法で、前衛の三人が入れ替わるように動きゴーレムを翻弄する。
実際ゴーレムと戦うのは初めてで、自分たちより大きく力の強い相手と戦うにはこの戦法が向いている。
ゴーレムの注意が前衛の三人に向いているうちにソニアは早撃ちで、二丁合わせて八発の銃弾をゴーレムの顔に打ち込む。
「うそっ...。」
ゴーレムに当たった銃弾は全てカキンと音を立てて傷を一つ付けることなく弾かれた。
先のゴブリン戦でも弾かれることはあっても鉄の盾に傷を付けることができたのに、それすらできないことにソニアは驚愕する。
その様子を見た前衛の三人はゴーレムの硬さを考慮し関節部に攻撃することを決める。
ゴーレムは動き回る三人のうちレイドに狙いを定め、右拳で正面から殴った。
レイドは自分に攻撃が来ることを事前に察知し、槍を両手で持ちゴーレムの拳を受け流そうとして、
「ぐッ...。」
想定外の力に受け流せず、槍の柄で受け止めることになった。
なんとか受け止められている状況だがギシギシと槍の軋む音がしだす。
ヤバいと直感が危険を感じ取り、とっさの判断で後ろに飛び、威力を軽減させるようにそのまま後ろに吹き飛ばされる。
吹き飛ばされながら壁にぶつからないように槍を地面に突き立て、体勢を立て直す。
カイルとオウカは、レイドを攻撃したことで無防備になったゴーレムの右膝と右肩に戦棍と刀で攻撃するが、ソニアと同じようにカキンと音を立てて武器が弾かれ少しの傷しか付けることができなかった。
武器が弾かれるのと同時にゴーレムはカイルとオウカ薙ぎ払うかのように右腕を振り回した。
それを二人は後方に飛び避け、ゴーレムとの距離を取る。
その後、すぐに四人で集まった。
「マジかよ、今の攻防であれしか傷ついていないのかよ。」
集まった直後、ゴーレムを見たカイルが先ほど自分たちが与えたダメージの少なさに愚痴をこぼす。
「確かに、あの硬さは厄介でござるな。攻撃が通りにくいでござるし。」
「ソニア、弾はどれくらいある?」
「残りは拳銃が二百発程度で、とっておきが一発。」
正直あとどれくらい戦うのか分からないし、これから戦う魔獣も強くなるから弾等の消耗はなるべく避けたい。
なら、狙うは短期決戦。
「みんな、魔闘法で一気に決着をつけるぞ。」
「承知でござる。」
「よっしゃ、任せろ。」
「了解。」
レイドの提案に三人も賛成し
「「「「魔闘法。」」」」
と呪文を唱えた。
呪文を唱えると、四人の全身は魔力を纏い、うっすらと白く輝いていた。
「反撃だ。」
レイドの掛け声に合わせて、レイド、カイル、オウカの三人が一斉に駆け出した。
ソニアは灰色と銀色の二色に塗られた弾倉に変え、黒色の銃口制退器を取り付け、ゴーレムに狙いを定める。
ゴーレムはソニアを無視し、突撃する三人のうちカイルに狙いを定め迎撃の体勢をとった。
自分を脅威と見ないで無視するゴーレムにソニアは
「いい加減こっちを見ろっての。」
と怒鳴りながら、ゴーレムの顔に銃弾を撃った。
銃弾は先ほどよりも速い速度で進み、顔に当たった瞬間に爆発し、無防備だったゴーレムの体勢を崩した。
ゴーレムはなんとかその場に踏みとどまるも、突撃してきた三人に追撃を食らい膝を地面につける。
いけるさっきより攻撃が効いてる、この調子で一気に攻める。
攻撃の手ごたえを感じ、ゴーレムにさらなる追撃を仕掛ける。
カイルとオウカが左、レイドと上がってきたソニアが右から攻める。
ゴーレムは二方向から攻めてくる相手に対し自身にとって右側のレイドとソニアの二人に狙いを定め、腕を振り下ろす。
「それはもう見切った。」
レイドが槍の柄の部分で滑らすように攻撃を受け流し、
「今度はちゃんとこっちを見たわね。」
ソニアが嬉しそうな顔をしながら、地面に叩きつけられた腕を駆け上がってゴーレムの左肩をさっきと同じ爆発弾で撃ち抜く。
爆発に伴い、ゴーレムの左肩から下が地面に崩れ落ちる。
ゴーレムの注意がソニアに向いた瞬間にカイルがゴーレムの右膝を戦棍で打ち抜き、前側に体勢を崩させる。
カイルに続いてオウカが刀を上段に構え、
「八重桜流剣術断頭。」
ゴーレムの上腕に振り下ろし、切り落とした。
間髪入れずにレイドが両腕を失ったゴーレムに近づき、胸のところにある赤い魔石に槍を突き立てる。
それに対し、ゴーレムは最後の抵抗として腕のない体で暴れレイドを振り払う。
そこに離れるレイドと入れ替わるようにカイルが接近して、レイドの槍の石突に戦棍を振り下ろし、
「人力パイルバンカー。」
勢いで柄が折れつつも、穂が完全に魔石を貫きゴーレムが動かなくなった。
「勝った。」
最後にとどめを刺したカイルが叫び、魔闘法を解きゴーレムの前に集まる。
「いやー、疲れた。」
「中々の難敵であったでござるな。」
「ていうか硬すぎ。」
「あっ、悪いレイド。槍折っちまった。」
ピ、ピ、ピ、ピ、ピ。
「いいよ、まだアイテムポーチに予備が何本かあるし。」
「よかったー。」
「早く魔石を回収しましょ。」
「そうでござるな、槍の穂も抜かないといけないでござるし。」
ピ、ピ、ピ、ピ、ピ。
「ところでさっきから何の音でござるか。」
オウカが先程からなり続ける音に疑問を持ちその方向を見ると、ゴーレムの赤い目が点滅していた。
「おい、まさか。」
「嘘でしょ。」
「こんなベタな展開はないでござる。」
「逃げるぞ。」
これから起こるであろう未来、爆発に対しレイドたちは直ぐに魔闘法を起動させ、後ろにある来た扉に向かって全力で走り出す。
「誰か魔石回収した。」
「そんな時間ないって。」
「どこまで走ればいいでござるか。」
「わかんない、けどできるだけ遠く。」
扉を抜けて走り続けて三分くらいした時に後ろから爆発音が聞こえた。
レイドは即座にアイテムポーチから槍を取り出し床に突き立て、オウカも同じ様に刀を突き立て飛ばされないようにする。
カイルはレイドの足、ソニアはオウカの足を掴み、爆発に備える。
覚悟をした瞬間、一気に爆風と砂塵に襲われる。
その中で、四人の上を飛んでいく扉が見えた。
はぁー、うっそだろ。
ヤバい、一歩間違えれば確実に死んでた。
命の恐怖を感じながら、床に突き立てた槍と刀が抜け飛ばされていく。
このダンジョン作ったやつバカだろ。
爆風の中、四人はこの思いを胸に抱き来た道へ戻っていく。