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モノリスレコード  作者: 東城 涼
ウォーデン王国編
4/10

3話:未明領域

移動陣の効果によって真っ白になった視界が開けると、そこはまだダンジョンの中だった。

 辺りを見回しても、後ろの壁と前方の通路しか道がなかった。

 本来はダンジョンの出口で、草や木が生い茂っているはずなのにその痕跡すらも見えなかった。

 不測の事態に対処できず四人が動揺していると、足元の赤く光っていた魔法陣が消えた。

「嘘だろ、どうなってんだ。」

「何でまだダンジョンの中なのよ。」

「とりあえず出口を探すでござる。」

 突然の出来事と移動陣の消失により、パーティー内に焦りや不安が満ちる。

 ソニアは足元の消えた魔法陣の痕跡を調べるため、地面を必死に調べる。

 カイルとオウカは他に出口や手掛かりがないか後ろの壁や通路の壁を調べていく。

その中でレイドは一つの単語が浮かび上がり、

「未明領域。」

とポツンと呟いた。

 その言葉を聞いた他の三人は各自の行動を止め、レイドのもとに集まった。

 未明領域。ダンジョン探索前に講義で出てきた単語の一つで、未だ解明されていないダンジョンの不思議の一つ。場所も行き方も分からず、行ったことがある人でもそこで魔獣と遭遇したことしか覚えていないことからダンジョンの神隠しと言われることもある。

 自分たちの居場所が分かり、冷静さを取り戻した四人は今後の方針を立てるために話し合う。

「にしても、厄介なことになったな。」

「さっき見た限りだと出口はなさそうね。」

「頼みの移動陣も消えたし。」

「つまりは進むしかないってことでござるな。」

そう言って、予め用意されたような道を進んでいく。

通路の天井や壁には魔石が埋め込まれていて、思いのほか明るかった。

しばらく通路を歩いていると、壁に絵が描かれ始めた。

その絵には翼のような物を生やした人のような者がたくさんいて、何かを創り出している様子が描かれていた。

「何だ、この絵は。」

「何かを生み出しているみたいわね。」

「あっ、あそこの絵を見るでござる。」

「あれは、海か。」

 そこには何体かの翼を生やした者たちが輪になって集まり、大きな水溜まりを創り出していた。

「まるで神暦みたいだな。」

「神暦ってあの、神様が地上を作ったていう。」

「言われてみれば、確かに。海以外にも空や大地のようなものを創っている絵があるわ。」

「じゃあ、あの翼を生やしているのは神様ってことでござるか。」

「そうなるわね。このまま進めば、もしかしたら歴史の真実がわかるかもよ。」

 謎の壁画に対してテンションが上がり興奮している中、

「うーん。」

 カイルが一人唸っていた。

「どうしたんだカイル。」

「いや、なんかこの絵を見たことがあるような気がして。まぁいいや、覚えてないってことは大したことじゃないんだろうし。」

 そう言ってカイルも会話に参加し、壁画を見ながら通路を進んでいく。

 壁画は神らしき者が地上を創り上げ、翼のない者を創り始めた。

「今度は何だ。翼がないってことは人か。」

「神暦通りだとそうなるわね。」

「ついに人が誕生するでござるか。」

 壁画は伝えられている神暦通りに進み、人の次に色々な動物が創り出される様子を描いていた。

 神のような者の他、人や動物たちも増えた様子が描かれたところで壁画が終わり、目の前に石造りの扉が現れた。

「なぁ、これってやっぱり。」

「ええ、ボス部屋ね。」

「こんなところにもあるでござるか。」

 後ろには何もなかった、先に進むためには

「行こう。それしか道が無い。」

 レイドは決意を決め、一歩踏み出す。

「まぁ、当然よね。」

「行くでござるか。」

「準備はいつでも。」

 三人もレイドに並び、扉を開けた。

 ボス部屋は直径二十メートルくらいの円形で、中央に何かが蹲っていた。

 四人が部屋に入ると、灯りが点きだした。

 灯りが全部点くと中央に蹲っていたものが動き出した。

 それは三メートルを超える巨体で岩の塊、ゴーレムだった。

 ゴーレムは眼と胸の魔石を赤く光らせレイドたちを睨み、威圧するように吼える。

 ゴーレムの咆哮で四人は武器を構える。

 こうして未明領域でレイドたちの初の戦闘が始まった。

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