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ツン騎士シリーズ

侯爵家令嬢の秘密

作者: たかやす

 ご機嫌様。私、ハワード伯爵家令嬢、セレストと申します。お見知り置きを。

 こんなところに呼び出して申し訳なく思っておりますの。ただ大切なお話がございまして……。ええ、ええ、そうです。バーバラ様のことです。バーバラ様の身内の方から内々に貴方様にお伝えしてほしいことがあると言われまして……。お名前を言うのは控えさせて下さいませね。目立つことが好きではない方ですの。

 私バーバラ様とは身分は違いますが、学園がご一緒で仲良くしていますのよ。……あの方、なんというのか、とても……、こんなことをいうのは気がひけるのですが、誤解をうける性格でしょう?これまで何回か婚約破棄をされておりますの。ここだけの話になさってね。私、貴方様がバーバラ様のことを大切に思っているのは知っているのよ。……あら、隠さなくてもいいのよ。こんなところ他の人に見られては大変ですもの。ですから手早くお話してしまいますわね?

 庶民の方には面白おかしい噂話として聞こえてきているのかもしれませんね。誤解のないようにいっておきますが、バーバラ様には婚約破棄の過失は一切ありませんの。

 まず1人目は同じ侯爵家の嫡男の方ですわ。あの皇太子殿下の金魚のなんとかですわね。元々幼い頃からの許婚でしたの。それはそれは仲睦まじいことで噂が持ちきりでしたのよ?その頃のことは私もよくは存じ上げないのですが、バーバラ様は手酷く裏切られた様ですの。これはバーバラ様のお兄様やお姉様達から聞いたお話なんですが……。見ていられないほどの落ち込み様だったとか。その後は社交界にも顔を出せなくなってしまったとお聞きしましたわ……。お労しい限りですわ。

 その後はご存知かもしれませんが、今の皇太子殿下ですわね。これは内々に婚約破棄になるというのは最初から決まっていたとバーバラ様から伺ってましたわ。その頃の皇太子殿下には厄介な方からの婚約の申し出があったようですわね。それを円満に解決するためのものだったようですわ。相手方から恨まれてしまって、呪いの込められたお手紙や襲撃があって大変だったと伺いました。呪い除けや反呪をかけたり、浄化したり大変だったといってましたの。まぁ、まぁ、そんなお怒りにならないで下さいまし。バーバラ様はその当時は少し落ち込んでいたり、学園も休みがちで私達も心配したものですが、良い経験になったと今では笑い話になっているんですのよ。それに皇太子殿下は誠実で真面目な方で気持ちよく婚約破棄もできたといっておりましたわ。

 問題なのが三人目の方ですわね。この方は結論から言いますと屑の中の屑、バーバラ様のお兄様やお姉様方に報復されて今では外もおちおち歩けなくなってしまったようですのよ。いい気味ですわ。……私、呪いの手紙しかお渡しできませんでしたの。残念でなりませんわ。私の他にも何人かのご令嬢が呪いを練り上げて贈り物にして差し上げたようですのよ。私もそのようにしてあげればよかったと……、あら、話がそれてしまいましたわね。そう、かの方は、ここでは屑様と申し上げておきましょう。バーバラ様は既にお二人からの婚約破棄を言い渡されておりまして、悪い評判も多くなり心ない噂に胸を痛める日も多くなりましたの。………社交界にも参加することま少なくなってしまって…………。皇太子殿下からの婚約破棄に関しましては大々的に、バーバラ様に過失なしと告知はされたのですが……。皆様、噂ばかり気にされて……。心が弱っておりましたのね。そこに付け入られて屑様がバーバラ様と少し親密な関係になられましたの。社交界のパートナー、授業に一緒にでたりするようになってバーバラ様も少しずつ心を許し始めましたの。その矢先のことですわ。少しずつ顔や身体が殴られたかのような酷い痣を作るようになって……。転んだ、とか、魔法の失敗、とか理由をいうようになったのでおかしいと思いましたの。バーバラ様のお兄様やお姉様方にご相談して発覚しましたのがその屑様に暴力を……。……ここでは言えませんが、ひどい言葉も言われて…………。誰にも言えなくて苦しんでいたようなんですの。バーバラ様が一番苦しい時に支えることができずに友人などとおこがましいと何度も思いましたのよ。


 色んな噂がバーバラ様には多いのは仕方のないことですが、どうか貴方様にはバーバラ様のありのままのお姿を見ていただきたくお時間を頂きました。あのご容姿と性格ですから誤解されることも多いのですが、忌憚のない意見をいうのであれば、バーバラ様は可愛らしく素直な方と私は思いますの。中身はどうであれ、三回の婚約破棄はバーバラ様を傷つけ、これからも傷を作り続ける出来事になると思いますの。ですから、バーバラ様のご両親をはじめ、お兄様やお姉様方は大変甘やかしてしまうのでしょうね。

 もしバーバラ様に何も思うことがなければ、あの方に必要以上の情けをかけないであげてくださいませ。これ以上傷ついて泣く姿を見ていられませんの。

 もし泣かせるようなことがありましたら、その時は覚悟なさいませ。フォスター侯爵家のイーデン様をお調べなって?どのようになるのかよくわかりましてよ?貴族の令嬢たる者、呪いの一つや二つ、練り上げ、掛け合わせ、組み上げできなくては務まりませんの。



***



「なぁ、フレッド……。貴族の令嬢って呪いが得意なのか?」

「うーん……。貴族さん達の腹の探り合いとか化かしあいに加えるエッセンスみたいなもんだろ?」

「エッセンス……」

「おいおい、クリフ。バーバラ様じゃないご令嬢に呼び出されたと思ったらなんだか目に光が入ってないし、何か怖いもんでもみたのか?」

「いや、そうではないんだが……。そうだな……貴族とは恐ろしいものだと思ったんだ」

「おいおい、呪いくらいでそんなんなってたらお貴族様の護衛は務まらんぞ」

「……そういえば、フレッドはフォスター家のイーデン様を知っている方?」

「フォスター家のイーデン様だって!?おいおいおいおいおい!……クリフ、その話題はしちゃいけないな」

「そうなのか?」

「生きた呪いがかけられている。興味を向けようなら喰われるぞ」

「……そうか」

「それだけじゃないが、ここでは話せない。それだけ危険なものだ。どこで聞いたは知らないが、知りたいなら場を整えなきゃ話せない」

「……わかった。それなら聞かないでおこう」

「それがいい。興味をもってしまうと飲み込まれる災害みたいなもんだ」

「……そろそろ訓練所に行ってくる」

「おうよ。バーバラ様によろしくな」

「ああ。色々とすまなかった」

「いいってことよ。俺はしばらく休憩しとくよ」

「じゃあな」



「……フォスター家のイーデンなんて機密中の機密なのにどこで聞いてきたんだか……困ったもんだ」

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