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*6* ライバルが減るといいね


娯楽室でのお茶会の翌日から通常授業が開始された。殆どのクラスで六人と一緒だった。

それから数週間、特別なイベントには遭遇せずに同じような日々が過ぎて行った。

夕食時に食堂で会えば一緒にテーブルを囲んだし、ヨハン様に誘われれば談話室にも行った。六人全員が揃うのは、だんだん少なくなっていった。


わたしはモブとして、一読者として、六人を見守っていた。まだティナの気持ちがはっきりしない中、キューピットにもなれないので、みんなの頭の中は読まないことにした。特に今のところ、四人組とはわたしが仲良くなる必要もないので、ティナとばかり話していた。


放課後の課外授業はバラバラのようだった。

わたしは園芸のクラスを取っていたので、図書館の裏庭で種まきをしていた。ようやく暖かくなってきたので、一週間前に花壇を耕して肥料を混ぜていたのだ。今日は楽しみにしていた種まきがやっと出来るようになったのだ。


「やあ、アリッサ。何の種をまいてるの?」


振り向くと公爵家子息のキース様が本を持ってこちらに向かって来ていた。


「こんにちは、キース様。これはラベンダーです」

「君が好きなフレーバーの?」

「そうなんです、だから、今日から自分だけで挑戦しようと思って」

「種から育てるのは大変なのかい?」

「どうでしょう?家では庭師のお手伝いしかしていないので」

「楽しみだね。僕も手伝っていい?」

「え?でも、これは課外授業ですし…」

「僕はまだ課外授業を決めてなかったから。君さえよければいいかな?」

「はい、じゃあ、先生の許可があれば、ご一緒にしましょう」

「ああ、ぜひ、二人でラベンダーを育てたいよ」

「はい、ではよろしくお願いします」

「早速、僕は先生に課外授業の届けを出してくるよ」

「いってらっしゃい。わたしは先に進めてますね」


キース様も園芸に興味を持っていたとは知らなかった。園芸はあまり人気がないらしく、他に取っている生徒がいるか見たことがなかった。

残念ながらティナは園芸に興味がないからここには来ないのだけど、いいのかな?課外授業も一緒だと勘違いしてない?あの子は乗馬のクラスなんだけど…


しばらくしたら、わたしのようにエプロンと長靴姿のキース様がやって来た。


「園芸用の長靴は乗馬用とは違うね」

「そうですね。でも、お似合いですよ」

「そうかい?」

「ええ、キース様は何を着てもお似合いですよ、きっと」

「!?いや…アリッサこそ、どんな格好でも可愛らしいよ」

「お世辞、ありがとうございます。そうそう、乗馬用といえば、ティナは乗馬なんですよ」

「そうなんだ。ヨンとジョセフも乗馬だったな」

「課外授業はみなさん、バラバラなんですね」

「ああ、どれを取るか分からなかったから…」

「ん?どれを取るか決められなかったんですか?」

「いや、こっちの話。ドルトンはフェンシングだよ」

「アビゲイル様もフェンシングですよ、確か」

「あの二人はなんだか気が合っているみたいだよ」

「そうなんですか?」

「そうだといい…よね?」


ふふふ。ライバルが減るといいですもんね。

種まきを終わらせ、ホースで水やりをした。水やりをしながら虹が見えたので、なんだかとっても幸せな気分になった。今日はいい日だな。


「虹ですね!キレイ」

「ああ、とっても綺麗だ…」


キース様も嬉しそうだった。

いつも四人組の中では最後の一言が担当だったので、あまり多く話をしないのだと思っていたけど、とても話しやすい人だった。キース様ならティナにおススメできそう。

他の三人はどうかしら?


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