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第三篇:勇者篇 第二章 誰が妻でしょう(3)


あの後、協会側の動きや戦力の確認など難しい話をした後会議は解散となった。

 解散した後は、ご飯を一緒に取った後各々お風呂に入ったりなど思い思いのことをしていた。


 俺はというと、戦闘により汗をかいてしまったのでお風呂に入った後は部屋で未久と再びいろいろと話をしていた。しかし、旅の疲れもあったのか未久はすぐにうとうととしてしまい、今は俺のベッドの上で寝息を立てている。


 俺は、未久を寝かしつけた後はある部屋へと向かっていた。そして、部屋の前まで来るとドアを三回叩き確認をする。


 すると、「はい、どうぞ」という声が返ってきたので部屋の中へと踏み込んだ。

 四畳ほどの狭い部屋の主は俺の存在に気が付くと慌てて座っていた椅子から立ち軽く頭を下げた。


「サナ、急にごめん」


 俺は名前の呼び方で今がプライベートであることを知らせる。そして、それを聞いたサナは頭を上げる。しかし、顔はこちらを向いてはくれない。視線は床と俺の斜め後ろを交互に行き来していた。


「ど、どうしたの」


 サナは冷静を装いながらそう口にする。

 俺はその様子を見て一瞬迷いが生じたがそれを振り払って口を開く。


「この間の事なんだけど…」


 俺がそういうとサナの方がビクッとなっていたので何の話をしようとしているのか理解していると思ったので、そのまま俺は「ごめん」と頭を下げた。


「えっ」


「俺、実はあの日の夜の記憶があんまりなくて。それで、朝の状況から判断するしかなくて。そんで、もし本当にその、そういうことをしてしまったなら本当にすまない。責任は取るつもりだ。焼くなり煮るなり何でもしてくれて構わない…」


 俺はどんなことをされても仕方がないと思いながら謝罪を述べ、そのままサナの言葉を待った。

 だが、少しの静寂の後サナから帰ってきた言葉は予想もしないものだった。


「ごめんなさい」


 そう言ってサナも頭を下げてきたのだ。


「へっ?」


 俺は抜けた声を出しながら顔を上げる。

 そして、サナも顔を上げると悲しげな顔を見せる。


「実は、あの日海斗と私の間には何もなかったの」


「それってどういう」


 俺がそういうと目をつぶって、すこし考えるそぶりをした後意を決した瞳でこちらを向く。


「海斗。あなたは間違えてお酒を飲んでしまい、酔っぱらってしまったあなたを私は、私がそのように見

えるように服を脱がしたりしたの…」


「…」


 俺はない頭を必死に働かせ言葉の意味を考える。


(え、脱がす? 俺を。なんで? …うん。わからん)


 まったく頭が追い付かないで、ポカンとしてしまう。

 だから、俺はそのまま疑問を口にする。


「どうして、そんなことを…」


「そ、それはその…」


 俺の質問に、顔を赤らめ、下を向いてしまうサナ。

 そして、手をもじもじといじりチラッと俺の方を見るとまた下を向く。それを何回か繰り返した後、バッと顔を上げる。




――― それは、私が海斗のことをあい「旦那様ぁ~」 ―――




いきなりスフィアが入ってきた。

スフィアは入ってくると俺たちを交互に見て、「もしかしてお取込み中でしたか」とわざとらしくそういって、苦笑いをこぼした。


「ノックぐらいしろよ」


 先ほどまで緊張の糸が張り詰めていたということもあり、いきなりドアが開いたことに少し驚いてしまったので少し強めにそういう。


「し、失礼いたしました」


 俺の言葉に姿勢を正し礼儀正しく腰を折る。


「えっと、サナさん。話の続きなんですけど…」


「あ、あぁ。えっと。…秘密です!」


 サナさんは一瞬悩んだようなそぶりを見せたが、そういって笑顔をこちらに向けてくれた。

 俺はその笑顔が、とても素敵で思わずその秘密について聞き返すのを忘れてしまうほどだった。


「そ、そうか」


「はい。ところでスフィア様は何か御用があったのでは」


 俺がぼぉっとしてしまっていると、思い出したようにサナさんがスフィアに声をかける。すると、

「あ、そうでした」と言ってルーシーが俺を呼ぶように言われたためここへ来たらしい。


 なので、俺はサナさんに軽く挨拶をして部屋を後にしたのだった。

 俺は、ルーシーがいるであろう部屋へと向かった。しかし、部屋に入るとそこにルーシーの姿はなくサエさんが掃除を行っていた。


「どうしたんですかにゃ」


 俺の存在に気が付くとそう声をかけてくる。

 なので、俺はスフィアに呼ばれたことを伝えるとそんなことは言ってなかったといわれたので、とりあえず訝しげに思いながらも自室へと戻った。


 自室に戻ると、未久がいなくなっていたが多分興味本位で散歩でもしているのだろう。


 そう思った俺は、ベッドに倒れこむ。すると、戦闘もあったためか身体の疲れがどっと沸いてくる。そして、そのまま夢の世界へといざなわれるのであった。




最後まで読んでいただけるだけで感謝です。


前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。

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