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第三篇:勇者篇 第一章 再会(10)


「ドォーン」


 森へと向かい走っていると、突然森の奥の方で爆発音と土煙が上がった。

サナの大体の居場所はサラさんから聞いていたためそこへと向かっている。


(サナ…)


 俺は勇者という未知の存在を前にしながらも、不思議と恐怖心はなかった。あるのはただ、サナに無事に会わねばということだけ。

 そう思いながら走り続ける間にも、爆発音と土煙が上がっている。その様子を見るに、どうやら森を何かしらの方法で切り開いて最短距離で突き進んでいるように見える。

 そして、運の悪いことにその方向にサナがいると思われる場所がある。俺はさらに走る速度を上げる。

 木々が視界の端に流れていく。

 少しでも気を抜いたら、つまずいてしまいそうだ。

 それでも俺は走り続けた。そして…。


「サナっ」


「海斗!」


 森の中に立ち尽くしていたサナを見つけた。


 俺はそのままサナのもとまで駆け寄る、が…。


「危ない」


 駆け寄る俺の後ろから斬撃が飛んできていた。

 その瞬間体が反射的に動きその攻撃を防ぐ。


 そして、サナの前に守るように立ちながら攻撃の飛んできた宝庫王を見ると、四人の男女がこちらを見ていた。


「あれが勇者様御一行てわけか」


 そんなことを思っていると、その中の一人がこちらに向かってきた。


「くそ、話し合いもなしかよ」


 俺は瞬時に剣を構える。

 そして、剣を振り下ろそうとした瞬間、相手の顔が見えた。

 その顔に見覚えがあった俺は、剣を振るのを躊躇してしまう。


 だが、それが命取り。


 次の瞬間には目の前まで迫る。


 そして…。


「お兄ちゃん!」


 そんなことを言われ名がいきなり抱き着かれた。


「み、く?」


 俺は抱き着いてきた彼女の顔をみて、その名前を口にする。ここに居るはずのない、妹の名前を。


「そうだよ、お兄ちゃん。わたし、わだじ…。うぇーん」


 そのまま俺の胸に顔をうずめながら泣き出してしまった。

 だが、そんな兄弟の再開を無視するように後ろにいた男の一人が襲い掛かってきた。


「ヒャッハー。そのまま抑えとけ、俺がぶった切ってやる」


 俺はとっさに対応しようとする。しかし、俺よりお早く反応したものがいた。未久だ。

 未久は瞬時に体を反転させ、その勢いのまま剣を振るう。


 そして、首に当たる直前でそれを止めた。


「っ…」


「何するつもり」


 未久から放たれる殺気に俺も圧倒されそうになる。


「なにって、殺すに決まってんだろうよ。魔族だろそいつは」


「違う。この人が私のお兄ちゃん。お兄ちゃん殺すというならこのままあなたを殺す」


 すると、男は「チッ」と舌打ちしながら剣を下げる。それを確認した未久も剣を下げる。




最後まで読んでいただけるだけで感謝です。


前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。

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