第三編 勇者編 第一章 再開 (8)
短めです。
その後、お昼までみっちり特訓を行なった。サラさんは仕事の方へと行き、俺はルーシーの部屋へと向かった。ちなみにお昼もというか、朝昼晩と一緒に食べている。もちろんその中にはスフィアもいる。
俺は、部屋の前で一旦立ち止まり再び決心を固めてからドアノブに手をかけた。
「おつかれ」
「お疲れなのじゃ」
「お疲れ様です」
部屋に入り挨拶をすると、二人ともいつも通りに挨拶を返してくれる。メイド達に目をやれば軽くこちらに会釈をしてくれていた。
しかし、その中にサナさんの姿が見当たらなかった。
「ルーシー、サナさんは?」
俺は席につきながらたずねる。
「あぁ、サナじゃったらいろいろ草やらなんやらがないとかいうのでな、森に言っておると思うぞ」
「森に? 一人でか」
「うむ。まぁ、あそこらへんはこの前の帰りに強い魔物は狩ったしの、我の結界も貼ってある。そこまで心配
せんでも大丈夫じゃろうて」
そう言って、既に話は終わったとばかりに目の前に置かれた料理を今か今かとと待ちわびている。
「それなら、いいんだけど…」
俺はいわれもしれぬ謎の不安感と、また話すことができなかったという喪失感を感じつつ目の前の料理を口に運んだ。
(うまい…)
だが、俺は忘れていた。こういう謎の違和感を感じる時というのは必ず何かおころということを…。
食事も既に終わり、食後、一時の休息をしていると何者かが走って部屋に近づいてきた。そして、乱暴にノックをしてドアを開けるとそこにはコウモリの翼を背中に携えた男が膝まつきながら大声でとんでもないことを言い放った。
――― 西から勇者出現。第一次防衛線が突破され、森の方へ侵入されました ―――
俺は、それを聞いた瞬間立てかけてあった剣だけを持ち森へと向かって駆け出していた。
最後まで読んでいただけるだけで感謝です。
前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。




