第一章 動きだす世界(6)
十五分後。
「さすが、サラ・サナ・サエなのじゃ」
「「「ありがとうございます」」」
どうやらこの料理はこの三人が作っていたらしい。
ちなみにこの三人は全員獣人族で、一人目から猫耳、ウサギ耳、虎耳である。おそらく、それぞれの種族の特性を生かすためだろう。ウサギだったら耳がいいというように。まぁ、あとはルーシーが信用しているからだと思うが。
ついでに言うと、全員とても美人である。そして、思わず胸らへんへと視線が吸い込まれてしまう。
「っ…」
そんなことを思っていたら、ウサギ族のサナさんが満面の笑みをこちらに向けてきた。
(うん。やばい。気を付けよう)
そこで、部屋のドアがたたかれる。 どうやら魔王の仕事らしく、ルーシーはセバスさんと一緒に部屋を後にした。
「なんじゃ、このような時間に」とぼやいていたが。
今日はいろいろとありすぎて疲れていたので、俺は何となく隣の部屋に併設されているベッドにうつぶせに横たわる。
「はぁー」
そして大きなため息が自然とこぼれる。
(今日はいろいろとあったなぁ。いきなり異世界に召喚されたと思ったら、いきなり戦場に立たされて…。
てか、俺の対応力凄くね?)
俺は今日あったことを順々に思い出していく。そして、だんだんと意識が薄れていき静かに寝息を立て始めた。
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「ん…」
朝の光に眩しさを覚えながら目を覚ます。
ベットから感じるふかふか感。鼻孔をくすぶる昨日使った石鹸のにおい。そして、胸のあたりから感じる人のぬくもり…。
(ヒト?)
俺は恐る恐る目線を下に下げる。
そこには不自然に膨らんだかけぶとんと、ちょこんと二本の角が布団のから飛び出ている。
「…」
「…」
「チラ」
ちょっとだけ布団をめくってみる。そして…、もどす。
「…」
もう一回めくる。
「…」
(うん、見間違いじゃないね)
俺はさっきまで寝ていたのは嘘のように意識がはっきりとしている。
状況はこうだ。朝目覚め、布団をめくるとTシャツ? ワンピースみたいなのを着て俺の胸の中で寝息をたてている。
(うん。なぜこうなった)
というか、寝相でも悪かったのかルーシーの服がみだれ白く綺麗なその肌が空気にさらされている。
そして、俺はいけないと思いながらもそのルーシーの寝顔を凝視してしまう。
「かわいいな…」
そうこぼすと、自然と右手をルーシーの頭にのばし撫でていた。
だがしかし、不幸とは突然訪れるものである。
「コンコン」と扉がたたかれ人が中に入ってくる。
「失礼いたします。魔王様、おめざめでsy」
部屋に入ってきたのはセバスさんであった。が、しかし俺たちの姿を見て黙りこむ。俺もそのことに驚き固まってしまう。
「…」
「…」
「失礼いたしました」
しばしの沈黙の後、悟ったような顔をして部屋を出ていこうとするセバスさん。俺は慌てて弁明をすべくセバスさんを呼び止めていた。
最後まで読んでいただけるだけで感謝です。
前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。