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第三篇:勇者篇 第一章 再会(5) 私の名前はサナ

私はウサギの獣人、サナ。この国の魔王様に仕える直属のメイド。

私には今、想い人がいます。しかし、その方は今行方不明となっています。予定では森へ魔法の練習に行っていたはずだったのに、帰ってくる日に帰ってこなかった。


「どうして、どうしてなんですか海斗。どこに行ってしまったの。なんで…」


私はとりあえず海斗の布団にくるまる。


「あぁ、海斗の匂いがする、海斗に包まれている感じがする、海斗、海斗、海斗ぉ~」


 しかし、今は仕事をしているということになっているのであんまりゆっくりしてはいられない。急いで掃除をしなくてはならない。

海斗の居場所が分かった。どうやら人間の国にいるらしい。でも、あんな野蛮な種族なところに彼がいるなんて、心配で心配で仕方がない。


 私たち種族の仲間がどれだけあの野蛮な種族にひどいめにあわされたか…。

 獣人は、動物の系統によってその動物に特化した部分の身体能力がとても高いが、その他の部分ではほとんどあの忌々しい人間の種族と同じなので、昔からひどい扱いを受けてきた。魔法を使えるのも基本のものがほとんど。しっかりしたものを使えるものは稀。


 もちろん私も魔法を使えない。以前に私も人間にひどい目にあわされそうになった、しかしその時に助けていただいたのが魔王様だった。海斗が人間だと知った時は少し、いや、すごく驚いた。それでもこの気持ちに嘘はつけない。


 海斗がやっと帰ってきてくれた。

 早速仕事を急いで終わらせてから海斗の部屋へといった。


「あぁ、海斗。こんなに近くに海斗を感じられる」


 思わず、抱きしめてしまっていた。私らしくない子供っぽい感じになってしまった。嫌われなかっただろうか。


 その後、私は寝てしまった。しかし、海斗が頭を撫でてくれていたので寝たふりをしたままでいた。すると、セバスさんが入ってきてしまったので撫でるのをやめてしまった。

 だけど、私は寝ていたほうがよかったとその後の会話を聞きながら思った。


「いえ、海斗様はご自分のことを「俺みたいな」とおっしゃいましたが、海斗様に好意をお持ちの方は多いのですよ」


「そ、そうなんですか」


「本当はお気づきなのでしょうが、その中にはもちろんルーシー様もいらっしゃいます…」


『ルーシー様も、やはり…』


 ルーシー様は先の戦いで海斗に助けられたと聞いている。もしかしたらと思っていましたが、実際にこうして耳にするとどうしようもない気持ちになりますね。


 しかし、私は魔王様に助けられた身、御恩もある。加えて私は一仕様人、海斗は形式上はルーシー様の召喚獣だが、魔王様に近い戦闘力を持ち幹部のような立場となっている。今ではこの国の者たちも認め始めている。 


 そんなことを思っていたら、お姫様抱っこでベッドに運ばれてしまった。


「わ、私初めてだけど、だ、だいじょうぶよ、私はできるわ」


 しかし、海斗は何もせずに布団をかけてくれた。


「本当にやさしい人」


「…」


「私は、どうしたら…」



最後まで読んでいただけるだけで感謝です。


前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。

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