第三篇:勇者篇 第一章 再会(1)
森の木々が燦燦と降り注ぐ夏の太陽の光を浴びながら、大空に手を伸ばしている。その下を三人の男女が歩いていく。
そして、自然の簾を抜けると目に光の眩しさが染みわたる。数秒後、視界が色を取り戻し懐かしい光景が瞳に映し出された。
「「「「おかえりなさいませ」」」」
どうやら砦からこの森の出口まで迎えに来てくれたようだ。
「ここまで来ずともよいというたであろうに」
ルーシーは部下たちを煩わしそうにそんな言葉をかけるが、照れ隠しであることはみんな分かっていることなので可愛いとしか思えない。
それがわかっているからか、ほかのみんなもほほえましそうな顔をしている。それを感じ取ったのか、ルーシーは「はよせい」と先に歩き出してしまったので俺たちも後ろをついていき、久々の砦への帰還を果たすのだった。
砦へ戻り、いろいろと後処理をした後部屋のベッドへとダイブした。そして、今頃何しているのだろうと遠い国に思いをはせる。
(本当に事短い間にいろいろあったよなぁ)
ふと、俺は窓の外に視線をやる。やることが多かったためか太陽は既に沈み暗闇が世界をつつみ、天の光と街の明かりだけが浮かび上がっていた。
(エリス達もこの同じ空を見ているのだろうか)
そんなことを思っていると『コンコン』とドアがたたかれた。俺は体を起こし、ベッドに腰を下ろす形になってから「どうぞ」と返事をした。
「失礼します」
そういって部屋に入ってきたのはサナさんであった。
「サナさん?」
予想外の来訪者に思わず座っていたベッドから立ち上がる。
「いいえ、サナよ」
そういって不敵な笑みを浮かべながらこちらに近ずいて来る。「サナ」といったことと、敬語が抜けていることから、今は仕事外というアピールなのだろう。なので俺もそれに合わせる。
「どうしたの、サナ。そっちから部屋に来ることなんて初めてだね」
近づいて来るサナにそう言葉をかけても口を開かず、ただ黙ってこちらにむかってくる。そんな彼女を不審に思い思わず一歩二歩と後ろにあとずさろうとしのだが…。
『ズサッ』
後ろにベッドがあったために、つまずいて先ほどのようにベッドに腰を掛ける形となってしまった。だが、その間にもサナはこちらに近づいてきていて、そして…。
「さn…」
『バサッ』
気が付くと俺は、サナに抱き締められながらベッドに横たわっていた。
最後まで読んでいただけるだけで感謝です。
前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。




