第二章 王国篇 (28)
意識がだんだんと薄れていくのがわかる。
どうあやら俺の人生もここでおしまいらしい。この世界に転生して、いきなり戦えとか言われて。でも、みんなと過ごした日々は前世よりも楽しくて、帰る場所とも言えるところができて…。
あぁ、本当に終わりなんだな…。
もう、ルーシーの声まで聞こえる気がする。
「なにをやっておるんじゃ…」
「えっ」
俺が、死を間際にしてこれまでのことを思い出しているとそんな声が光の中から聞こえてきた。そしてそれが晴れると…。
――― ルーシーの姿があった ―――
俺は今目の前で起こっているありえない事態に目を白黒させてしまう。
「なにを惚けておるのじゃ、しっかりせい」
ルーシーはそう言いながら回復魔法をかけ、同時に魔力の融通をしてくれる。
その間になんとか平静を取り戻した俺は周りを見渡し状況を確認する。すると、転移したはずのエリスが未だ状況が理解できないと言う面持ちで佇んでいた。
そして、よく見るとここにきたのはルーシーだけではなく、スフィアもすぐ近くで待機していた。
(ん? 待機してるよな。俺の方を見ながら息を荒くしている気がするが気のせいだよな。うん、そうに
違いない)
「あ、ありがとう」
俺は治療が終わったのを確認し、礼を言う。そして、とにかく疑問に思っていることを一番に質問した。
「なんでここにいるんだ」
「そんなもの魔法できたに決まっておるじゃろう」
ルーシーはさも当然のように答える。
「でも、あの魔法は特殊な機械というか魔法陣が必要なんじゃ」
「それならあるじゃろ、そこに」
そう言ってあるところを見る。俺もその視線を追っていくとそこには、先ほどまで光を放っていたあのお札があった。
「お主に渡した時、安全な場所といったがの、それは我のところだったんじゃよ。それには、それともう一つついになるものがあっての、両方から転移できるようになっとるんじゃ」
そういうと、俺が持っていたものと同じものをルーシーは取り出した。
そこまで言われ、俺はここに来れた理屈は理解したがなぜタイミングよくくることができたのかがわからなかった。
なので、そのことについて聞こうとしたところでさっきまで動転していたエリスが「ちょっといいだろうか」と声をあげた。
「あなたはもしかすると、ゾヴィーア大国の魔王ではないか?」
ルーシーはエリスの方に向き直ると、これまたない胸を張りながら答える。
最後まで読んでいただけるだけで感謝です。
前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。




