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第二章 21 〜 式典 〜

式典


『パパパァーー』


空の果てまでも届きそうな甲高いラッパの音が町中に響き渡り、今日という日を祝福する。

エリス達の父親が亡くなってから五日後、エリスの戴冠式がお執り行われることとなり、国中に漂っていた

重く暗い雰囲気は消え去り、祝福ムードが国中を覆い尽くした。


その歓声の中心にたつ城の中では多くの者がせわしなく動き回っていた。

そんな城の様子を、俺はドアの前に立ちあたりを警戒しながら見ていた。俺が立っているこのドアの向こうでは、エリスが戴冠式に向けて着替えなどをしている。


俺は予定通り護衛の任に就いているが、流石に中に入るわけにもいかず外で待機している状態だ。


「しかし、すごい人の数だなぁ」


すぐ近くにあった窓から、城の外の様子を見ながら一人そうこぼす。


「当たり前じゃない。お姉ちゃんはそれだけの人なんだから」


 警戒をおろそかにし、よそ見していたことも相まっていきなり声をかけられたことに驚きながら振り返るとそこには、きれいに着飾ったアリスがいた。


 俺はアリスを見たとたんに目を奪われる。

 肩が大きく開き、小さいながらも形の整った胸を強調するように右胸にお花のブローチがつけられている薄いピンク色のドレスに身を包んでいた。


 その姿は、いつもの荒れた言葉遣いとは正反対の印象を抱かせ何とも言えない不思議な力によって、目を惹きつけられてしまうかのようで、おもわず息を呑む。


 俺が無言で見つめていたので、いぶかしげに思ったアリスが不機嫌そうに声を上げる。


「な、なによ。いきなり黙ったりして…」


 いつもの俺ならその問いかけに対しあたりさわりのない返しをするのだが、呆けてしまっていた今の俺は、自然ととんでもないことを口にしていた。


「いや、キレイだなと…」


「なっ!」


 俺がそう言った瞬間、アリスは「ボンッ」という謎の音がしたかと思うと一気に顔を紅くする。


「な、何言ってんのよあんたわ! 刺し殺すわよ」


 そして、そんなことを言いながら両手をわたわたとして暴れだした。


「す、すまん。無意識で、その、忘れてくれ」


 かくいう俺も、無意識に口にしていたことに気が付き慌てて弁解をする。

 そんなことをしていると、エリスがいる部屋の扉が開いた。


最後まで読んでいただけるだけで感謝です。


前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。

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