第二章 王国篇 (15)
現在分かっているのは、五人いる大臣のうち関与しているのは五人いる大臣のうち四人であること。その中に軍務大臣がいるため、最悪クーデターを起こされる可能性もあるということ。その他下の方にも人がいるらしいが、未だ全容が明らかではなく証拠もほとんどつかめていないため表立って動くことができないこと。
「でも、上さえわかっていたら手下の輩が動いたとしてもあまり影響がないのでは?」
「確かにそうなのですが、もしこちらから味方だと思っていたところに指示を出して情報が漏れてしまっては意味がありませんから、大まかな把握が必要なんですよ」
そんな返しをされ、「なるほど」と納得すると同時に先行きが不透明な今の状況に不安を抱かずにはい
られなかった。
そうこうしているうちに、城の裏口が見えてきた。
「もう着いちゃいますね。今後も何かあったら私を通してお伝えいたしますが、どこに私たちの敵がいるかわかりませんのでくれぐれもお気を付けください」
「は、はい」
「荷物お持ちいただいてありがとうございました。では、また」
ミリアさんはニコッとえがおっを向けそう言い残すと、俺から食材を受け取り、城の中へと入って行ってしまった。
(しかし、困ったな。こういう頭使うの苦手なんだよなぁ)
俺はミリアさんが入っていったドアを見つめながらそんなことを思うのだった。
ミリアさんが入ってからしばらくして俺も城の中へと入った。これは、普段会っていない二人がいきなり一緒にいるといろいろと探りを入れられる可能性があるためと、道で会ったという偶然を保つためだ。
ドアを通り城内へと入り部屋へと戻った。
部屋に入るとちょうど頭の中に聞き覚えのある声が響いてきた。
『…と。…いと。海斗っ。聞こえておるか…』
『その声はルーシーか』
俺は声の主が誰だかわかると驚きを隠せなかった。なぜなら、彼女のこの魔法はある程度の距離内に対象がいないと使うことができないためだ。
(まさか、この近くに来ているのか)
俺はそんな心配をしていたのだが、理由はすぐに分かることができた。
『そうじゃ。魔方陣を構築し、スフィアに魔力供給をしてもらいながらお主に連絡しておる』
『そんなことができるのか』
『まぁ、魔王じゃからな』
その言葉に、ない胸を張るルーシーの姿が頭に浮かび微笑が零れてしまう。
(なんか懐かしく感じるな、この感じ)
『って、そんなことはよいのじゃ。お主、今どこで何をしておるのじゃ』
そこで、何かを思い出したように慌てた声でこちらに問いかけてくる。
『あぁ、すまん。いろいろあってな、今人間の国にいるんだ』
俺がそう答えると、なぜかあちらからの音が聞こえなくなる。
『あれ、おーい。聞こえてるかぁ』
もしかしてトラブルでも起きたのかと思っていると。
『なんじゃとぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーー』
ルーシーのけたたましい叫びが頭に響いてた。
最後まで読んでいただけるだけで感謝です。
前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。
最近、更新がずれてすみません。




