第一章 動きだす世界(2) ~ 魔王ディベリア ~
ティグロフスキア国魔王城・玉座の間
「ドンッ」
「どういうことだっ!」
魔王ディベリアは怒りに震えていた。
「い、いえ。なんといいますか、こちらの魔獣が謎の攻撃で一気に前衛が倒されてしまい…」
「そんな言い訳はいらん! ならば、なぜ撤退なぞと腑抜けた行動をしたのだ。この間抜けが」
伝令は青ざめた顔で首を垂れる。
「申し訳ありません」
そして、ディベリアの怒りの要因はそれだけではない。
(くっ。あのクソガキが。どんな手を使ったんだ)
(こうなったら…)
「魔王様。いかがいたしますか」
「叩きのめすに決まってるだろうが」
「はっ。かしこまりました。いつでも動かせるように準備をしておきます」
彼女は魔王ディベリアの秘書であり、魔王の次にこの国では強さをもっている。
名はスフィアといい、翼人族の彼女の背中からは白色の大きな羽が付いており、身長は平均女性よりも高めであり胸も平均よりも上である。にもかかわらず、スマートな体系をしており魔族の男どもからは崇拝に近いものとなっている。
ただ、魔王ディベリアは権力と強さにしか興味がなく、その点においても彼女が心置きなく力を発揮できている要因といえるだろう。
彼女は、その容姿に劣らず、強さもそうだが物資、経費の管理にも冴えており国の中枢をさせている。
そして、今回のこの出来事は、このあとの世界を大きく動かしていくことになる。
最後まで読んでいただけるだけで感謝です。
話の都合上、二つに分けさせていただきます。