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第二章 王国篇 (6)

 エリにどれくらい離れているのかと聞くと、その国までは結構離れているらしい。ここまでは来るには馬できたが、魔獣に襲われたときにどこかへ逃げてしまったらしい。


 しかし、こればかりはどうしようもないので歩いて向かうことにした。


「そう言えば海斗はずっと歩いてきたのか」


「あ、あぁ。旅をしている感じだからな」


 そこで強化魔法を思い出し、少しでも疲れなどが出にくいように「コンソライデート」をエリの足にかけてやる。


「ほう、急に足が軽くなったぞ」


「簡単な強化魔法ですよ」


「これは便利だな。だが、その魔法を物ではなく人にかけるとは興味深い」


「え、普通はかけないんですか」


(てっきりあのくそ野郎が使ってたから普通にこういう使い方をするもんだと思ってたんだが。サナさんとかも特に何も言わなかったし…)


「少なくとも私は初めて見たな。その、立場上いろいろと魔法について知りうる環境にあるのだが見たこ

とはなかった」


 もしかしたら、人間界の方では魔法の研究が魔族側よりも進んでいないのかもしれない。それならば、

戦争で押されているということも理解できた。

 その後、一週間以上、野宿を繰り返した。食料は途中途中で襲ってきた魔獣を倒して確保した。

 時々、見た目がかなりグロテスクな魔獣が出てきたりして食べれるかどうかドキドキしながら二人で食事を繰り返した。


 エリは途中から俺に紙の束をもらい「魔獣肉ノート」なるものを作って、食べていった魔獣の肉につい

て詳細に記録していた。


 結構歩いたので足が持つかと心配していたが、魔法のおかげか思っていたよりも疲労は少ない。

 街道のような場所に出た後は、途中の宿で休もうと思ったのだが。


「海斗よ。私はあの男たちに追われたせいでお金は持っておらんが持っておるか」


「いや、俺もだ」


「…」


「…」


 二人とも一文無しだったので、結局野宿することとなった。

 そして、今日。人間界最前線国スレべニア国首都、要塞都市バティークへとたどり着いた。

 ちなみになぜいきなり首都なのかというと、エリが頑なに途中にある関所を通るのを拒否したため監視の目をかいくぐってきたためだ。


 かなり森の奥を通ったためか気付かれずに国内に入ることができた。

 「これで最前線なのか」と思ってしまうような監視だったが俺にはどうでもいいことなので運がよかったと思うことにした。


 今はというと、長い長い首都へと入る門の列に並んでいる。


「すごいな。すごく立派な城壁だ」


「まぁ、これでも人族最前線国の首都だからな」


 ちなみにエリは深緑色の外套をかぶり姿・顔を隠している。

 理由を聞いてみたが、適当にはぐらかされてしまった。


「というか、いつもこんなに人がいるのか?」


 俺は背伸びをして前の方を見ようとしてみるが、ものすごい列だ。


「いや、普段はこんなに並びはしない。おそらく入るための検査が厳しくなっているためだろう」


「そうなのか。検査が厳しくなっているってことは何かあったのか」


「…そうなのだろう」


 俺はエリの返しに違和感を覚えたが、すぐに確認することでもないと思ったので気にしないことにした。



最後まで読んでいただけるだけで感謝です。


前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。

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