第二章 王国篇 (2)
後日、城の書庫。
「それでは、これまでのことをまとめましょう」
「はい」
デートまがいの翌日、俺とサナはいつも道理の関係へと戻っている。
そして、今。俺たちは俺の妙な力についての研究をしている。
「海斗様の力は外部からの攻撃を受けたときに出すことができ。それ以外は学んだことしかできない、普通の魔法士と同じである。あっていますか」
「はい。まぁ、そんな感じだと思います」
サナさんはしばし顎に手を当て思考する。
「どういうことなんですかね」
「私が考えますに、海斗様の何かを守りたいう思いが力を引き出しているのではないかと」
「何かを守りたい…」
その後もいろいろ話し合ったが、結局それ以上は進展せず時間だけが過ぎていった。
サナさんとの社会勉強と、ルーシー達との戦闘訓練もある程度の成果が出てきたので実践練習をするために俺は今、西の国境の町カラベアへ来ている。
実践練習をするには他の場所でもよかったのだが、いろいろと理由がありこの近くですることになった。
その一つは、人間の国に勇者が現れたという情報がもたらされたからだ。その調査のためと、もし侵略してきたときのための準備と備えとしてルーシーがこちらまで来る必要があるためこの町に来る事になった。
「まったく。はた迷惑な奴らじゃ」
西の砦に用意されている、魔王用の一室で椅子に座り頬杖をしながら悪態をつくルーシー。
「俺はいつも来れない場所に来れて楽しいぞ」
能天気にそう言い放つ俺に対し「はぁ」とため息をつくルーシー。
「お主はいいの、悩みがなくて」
「なんか魔王って、大変なのな」
俺が窓から外をのぞきながら軽い口調でそういうと、俺の真横を閃光がはしった。
「わ、わるい」
「まぁよい。お主らしいのぅ」
「とにかく、そういうわけじゃからしばらくはそこら辺の森で遊んでるがよいぞ」
そういわれて少しげんなりとする俺。
それは先ほどサナさんに渡されたここら辺の魔物の図鑑のようなものに目を通したこと思い出したためだ。
そこには、これまでの勉強の中でとても強いといわれる魔物が多く掲載されていたからだ。
なぜここにこんなにつよい魔物が集まっているのかというと、ここは人間の国と隣接しているために、簡単には攻めてこれないように魔物を放っていたが、その子供がどんどん増えてしまったらしい。
もともとは管理をしていたのだが召喚獣や隷属の魔法は子孫には反映されないため、そのような事態が起きてしまったようだ。
「ま、まぁそれなりに頑張るわ…」
その後、何日か一人で森に行き何とか俺の能力で何とかなったので、宿泊道具を持ち少し遠出することにした。
「海斗よ、これを持っていくがよい」
俺がルーシーの部屋で準備を整えていると、ルーシーが一枚の鉄のようなものでできた札を渡してきた。
「これは?」
「それには特殊な方法で転移陣が組み込まれておる。本来ならいつも使っとる大きな機械が必要なんじゃがの。まぁ、魔王の力というやつじゃな」
「はぁ」
どういう原理化分からないが、これを使うと転移魔法が使えるらしく、俺はそれを受け取る。
「もしも儂がいない時に何か起きたらこれでどこか安全な場所に飛ぶのじゃ。わかったか」
「わかった。ありがとう」
俺はお礼を言うとそれを腰のポーチにしまう。
「一つ注意すると、それは一度行ったとこにしか行けないからの」
「わかった。まぁ、これを使うことがないように祈ってるよ」
「そうじゃな」
荷物をまとめ終え、ルーシー達に挨拶をし終えると城を出た。
最後まで読んでいただけるだけで感謝です。
前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。




