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第一章 動きだす世界(20)


俺たちはあの後結局行けるところもなかったので、そのまま魔王城へと戻ってきた。


「いろいろと大変でしたね」


なんでもないと言うように笑うスフィア。


「そ、そうっじゃな」


先ほどまで放心状態だったルーシーは、今は起きている。気を失う前のことを思い出したのか顔を真っ赤に染めている。

今、俺たちはいつも過ごしているルーシー部屋にいる。

ここで改めて部屋について説明しておく。

ルーシーの部屋は二つの部屋で構成されており、廊下から入ってすぐは応接間のようでもあり、談話室っぽい場所になっている。ちなみに俺が拘束されていたのはここである。そして、もう一つの部屋は寝室になっている。


ここで俺も寝起きをしている。もちろんベッドは別に小さいのが用意されている。代わりと言ってはなんだが、スフィアの部屋は今まで別のところにあったのだが、仲が良くなっていこうルーシーと一緒に寝ている。


「それではご主人様。先ほどの続きをどうぞ」


「「へっ?」」


唐突にそう告げてきたスフィアに対し、当事者二人はそろって抜けた声を漏らす。


「そ、それは…」


 俺は先ほどのことを思い出し取り乱す。


「道の真ん中であんなことしておいて何をおっしゃっているのですか」


 そんな俺をよそに何でもないというふうに言うスフィア。


(でも、なんでそんなにニコニコしてるの? 君にも同じことするよ?)


(あ、こいつは喜ぶからやめよう)


 そんなことを考えているうちに、スフィアに連れられて俺の前に立たされるルーシー。今だに顔は赤い。


「…」


「…」


 再びの沈黙。


 と、そこで俺はあることに思い至る。


(これ、後ろからやればいいんじゃね)


 そう思った俺はルーシーの背中へと回ると、そのまま首飾りをつけてやる。


「どうだ?」


 ルーシーの顔を覗き込みながら聞くと。


「わ、悪くないのじゃ」


 そう照れながら言うルーシーを見ると、俺までまた恥ずかしくなってしまう。


「むぅ」


 すると俺の行動に不満を持ったのか、すこしむくれているスフィア。なので、俺は先ほどと同じように

スフィアの後ろに素早く回り込むと、店で買ったもう一つの首飾りをつけてやる。


「なっ。こ、これは」


 その行動は予想していなかったのか、不意打ちを食らい赤面するスフィア。


「まぁ、お前もこういうの好きだろ」


「はい…」


 そのまま下を向いてしまうスフィア。すると、さっきまで固まっていたルーシーがこちらへとくる。


「なんじゃ、お主。いつもいろんなこと言っておいて、生娘のようになりおって」


「い、いえ。これは…」


 ルーシーに対し何も言えないスフィア。


(それはお前もでは)


 そう思う俺だったが、なんか言っちゃいけない気がしたので言わない。

 その後、メイド三人衆が来たので俺は一旦その場から逃げることにした。


(だからなんでサナさんはそんなこっち見てくるの? こわいよ)


 後日、俺は別の首飾りを買いサナさんにプレゼントしたことは言うまでもない。






最後まで読んでいただけるだけで感謝です。


前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。

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