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第一篇 魔王国  第一章 動きだす世界(1)



「なんじゃと」


「はっ。五千の魔獣と二万の兵とのことです」


「くっ。あの小僧がここまで愚かだったとは思わなんだ」


 会話に耳を傾けていると、何やらいやなけはいがしてくるぞ?

 てか、今更だけど言葉通じるんだな。


「魔王様、いかがなさいますか」


「ふん。もちろん叩きのめしてやるのじゃ。儂自ずから赴いてやるのじゃ」


そこまでいったあと、はっと気付いたように俺に視線を向ける。そして、ニヤッと高角を上げるルーシー。


(え、何その笑顔。チョー嫌な予感しかしないし、てかなんなら今すぐ逃げ出したい)


そんな不毛なことを考えている俺に幼女は告げる。


「よし、海斗。お前がどうにかするがよい」


「‥…」


「はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー」


 俺は思わず叫び声をあげてしまう。


「む、無理だろそんなの!」



――ー一時間後―――



「どうしてこうなった…」


 俺は今、とても広い草原の真ん中に立たされていた。 

 そして、前方の方にはティブロ? ティグロ? 何とか国の魔物部隊が見える。


(…。恐怖しかわかん!)


 それに、周りには大量の魔獣がいる。この魔獣達は、調教されていて俺には危険はないそうだ。


(でも、なんかスゲー涎をたらしながらこっち見てるんだけど。本当に大丈夫だよね?)


『準備はよいかの、海斗とやら』


『あ、あぁ』


 今、このルーシーとの会話は頭の中に響いている。ルーシーの魔法で念話というらしい。少々変な感じだ。理屈はよく分からん。

 ちなみにこの戦場がある場所は先ほどいた場所(首都メリア)とはかなり離れており、城に置いてある転移陣を使ってここまで来た。


『さぁ、そろそろ来るぞ。主の力たんと見せてもらうかの』


 そのルーシーの言葉の後、前方から地響きのような雄叫びが上がった。



 ここは対ティグロフスキア国の要、要塞都市タバタより南に十キロの位置の草原である。そこに、ソヴィア大国軍は前衛に魔獣五千。後衛はおらず要塞都市タバタの城門に魔王ルーシー・ソフィリアがたっている。

 対するティグロフスキア国軍はソヴィア大国軍から一キロ離れたところに前衛を魔獣三千、中衛を左右に分かれて一千ずつ。後衛に魔族二万が控える。

 ティグロフスキア国は魔王ディベリア・ゴールトンが納める国であり、魔王ディベリアは現魔王の中では最も若く、野心家であった。


「ガッハハハハハ。この人族に押されているこの状況を我自ら変えてやるのだ。そのためにもまず、魔族界に国は一つでよい」


 魔王ディベリアは自信の城の玉座に座り高笑う。

 


 俺は魔獣部隊の先頭に、剣を一本と軽い鎧だけつけて迫りくる敵魔獣を見ている。

 こちらも、角笛の音により全身を開始する。


「これ、ほんとに大丈夫かよ」


 あの後、俺の抵抗はないに等しく、あれよあれよという間に前線に送り出された。「儂が召喚したのじゃ、お前には何かあるに違いないのじゃ」みたく追い出された。

 一応、その後哀れに思ったセバスさんが少なからずこの世界について教えてくれた。

 

 この世界には人族、魔族、獣人族が主におり、ほかにもいろいろな種族がいるらしい。そして、魔族には三つの国があり、それぞれ魔王が納めているが今は人族との戦争中のため相互不可侵条約を交わしている。しかし今回攻め込んできたティグロフスキア国は人族の国と接触していないため不満を感じており、今回の蛮行に至った思われる。


「一応剣道と柔道は小学生の頃にやってたけど…。話を聞いた限りとてもかないそうにないな」


 魔獣にもレベルが上・中・下とあり今回出てきているのは上・中レベル。簡単に言うと、俺みたいな凡人が当たると死ぬ。


(うん。オワタ)


 そんなことを考えている間に、もうすでに眼前には敵が迫っていた。


(はぁ。でも、俺は魔王に召喚されたんだしなんか特別な力があるかもしれない。こう、アニメ見たいな

チート的な)


 遠い目…。


(さよなら、俺の人生)


 そんな現実逃避をしながら、俺は剣を思いっきり両手で握って左上から眼前の魔獣に振り下ろした。





――― ドガガガァァァァァァァァァァーーーーン ―――





刹那、とてつもない爆音が戦場に響き渡った。


「…‥‥」


 視界を覆っていた砂煙が晴れる。そして、そこには…。

 前方に放射線状に広がったクレーターが存在していた。


「…」


「…」


「はっ?」


 俺は、目の前で起きたことが理解できずただただ立ち尽くしていた。



『…い…。…と。海斗!』


『あっ、はい』


 呆けていた俺はルーシーの声? 念話で意識を戻す。


『なんじゃ、今のは。敵の正面の魔獣がすべて消え去ったぞ』


『お、俺も何が何だか…』


『まぁ、さすが儂が召喚しただけはあるの。がぅあはっはっ』


 その後、俺の一撃で混乱した敵の前衛は総崩れし、中衛も役割を果たせずに後衛に攻撃するといったところで、警戒した敵軍は撤退を始めた。





最後まで読んでいただけるだけで感謝です。


前作「居候彼女は泥棒猫」もよろしくお願いします。

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