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第五篇 聖都決戦篇 プロローグ


 見渡す限りがすべてがこの世のものではないかのような白色がその空間を包み込む。

 天井は高く、等間隔に大きくきれいな柱が立ち、照明が置かれていないにもかかわらず、まるで昼間化のように部屋は明るかった。


 ここは、人間の国。聖ブレッセット国の大聖堂の奥。


 その名もお告げの部屋。


 ここには聖女のみが入ることを許され、そこで祈りを捧げることにより神からのお告げを受けられるとされている部屋である。

 そして、そこで部屋の奥にある女神の神像の前で両ひざをつき祈りを捧げる一人の少女がいた。

 名はアリシア・セア・スミス。

十四歳にして選ばれた、今代の聖女である。


「女神様、どうか我々に道を示し下さいませ。勇者様は魔王に倒され、国も一つ彼らの手に渡っておりま

す。私達人類の救済の為、どうかわたくしの声にお耳を傾けていただけないでしょうか」


 風音一つもしない部屋、まるで時が止まっているかのように無機質で、静かな空気。


 だが、次の瞬間。


 女神像を目の前が見えなくなるほどの眩しさが包み込む。


「少女よ、世界は変化を始めた。大きな力が必要である。そのために、世界を一つにするのだ」


 大人びた女性のきれいな声が響き渡る。

 そして、話が終わるとともに女神像からの光が収まる。


「ありがとうございます、女神様。女神様のお導きのままに」


 聖女はもう一度深く女神像に頭をさげてから、天井近くまで大きさがある巨大な扉を開け部屋を後にする。

 その部屋から外に出ると、七十は超えているであろう白衣に身を包んだ老人が聖女を待っていた。


「聞いてまいりました、大司教様」


「女神さまはなんと」


「世界を一つにして、魔王との戦いに備えよとおっしゃっていました」


「そうか。ご苦労だった。只、またそのことを多くの人に伝えてもらいたい。頼んだぞ」


「はい。少しでも世界の為なるのでしたら」


「じゃあ、よろしく頼むよ」


 大司教と呼ばれた老人は、そういってその場から離れる。

 その老員に対してもお辞儀して、どこかへと歩いていく聖女。



 だが、彼女は知らない。



 その大司教が背中を向けたとき、不気味な笑みを浮かべていたことを。



 そして、世界の戦乱の時針は加速度的に進んでいこうとしていた。




最後までお読みいただきありがとうございました。

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