第四編 恋する乙女篇 第四章 転機(10)
遅くなって申し訳内です。
加えて短めとなってます。
事件から一週間後。
結局あの日無理をしてしまった俺の体はさらに悪化してしまった。そして、サラさんに絶対安静にするように四六時中監視をつけられるようになってしまった。
それ故に、俺とサナはあの日以来顔を会わせていない。
だが、ようやく体を全快させ自由行動が許可された。
「本当にもう動いていいんですか」
「はい、ですがまだ体内の魔力が不安定ですので、決して無理はなさらぬように」
「分かった。それじゃあ、早速地下へと…」
俺は一刻でも早くサナのもとへと向かおうとした時。
「お待ちください」
サラさんにそれを制された。
「なんですか、俺は今すぐにでもあいつのもとに」
「その前に魔王様がお待ちです」
む、なんだよこんな時に。
「それは、後じゃダメですかね」
「ダメです」
きっぱり断られてしまった。
しょうがない。
俺はサラさんを連れたってルーシーの部屋へと向かった。
でも、今すぐなんて何か大事な話だろうか。其れとも、別の何かか。
「入るぞ」
いつものように軽く挨拶をしながら部屋の中へと入ると、そこにはいつもの雰囲気とは違ったもので、とても重い空気が漂っていた。
「来たか」
そう言うルーシーの言葉はどこか厳かさを感じさせる。
「あ、あぁ…」
「…」
ルーシーの座っている横に、無表情で立っているスフィアと未久。
端に控えたサラさんとサエさん。
部屋を囲う、普段いない幾人もの兵士。
いつもと違う雰囲気に俺は思わず息を呑む。
「ちと、そこで待っておれ」
そう言うと、ルーシーは顎で場所を示す。俺は黙って指定されたとおり場所に立ち、その後を待った。
たいして時間を空けることもなくドアが叩かれ数人が部屋の中へと足を踏み入れる。
そして、俺はその中にずっと会いたかった人、サナの存在に気が付く。
向こうも俺に気が付いたようで、一瞬表情が緩んだが、お互いにすぐ表情は元のものに戻った。
「サナ、海斗の横に並ぶのじゃ」
そう言いながらサナの両脇を固めていた兵士にアイコンタクトして下がらせる。
それを確認すると、ルーシーは「ふぅ」と一息ついてから話を始めた。
「では、これからサナの処分を言い渡す」
その言葉に俺の心情は一気に乱れた。
決して処分のことを忘れていたわけでは無かった。
しかしだ、サナはルーシー直属のメイドであり大したことにはならないだろうという傲りがあったのだ。
そんな頭が混乱している俺をよそに話は進んでいく。
「サナ、お主を…」
――― 侍女としての任から解く ―――




