第一章 動きだす世界(10)
そんな風に日々を過ごしていた俺でも感じていた。日に日に砦内の雰囲気が徐々にピリピリしていくの
を。
予想どうりというか、さらに数日後ティグロフスキア軍が再び攻め込んできた。
場所は、前回の戦いよりも国境に近い場所で対峙した。こちらの戦力は、今日までに集めた戦力魔獣部隊一万。魔族兵二万。
相手戦力は、魔獣七千、魔族兵二万八千といったところだ。
ちなみに俺は、今回は魔獣部隊の最後尾。魔族部隊に組み込まれないの、実力至上主義の魔界常時力を行使できない俺はそれを未だ示せておらず、もし先頭に立たせようものなら後から刺される可能性があるため、ルーシーによる配慮だ。
そして、そのルーシーは前回と同様砦の城門上で待機している。
この間中に教えてもらったことだが、この魔獣と魔族の配置の仕方は基本的な者であり。
まず、魔獣部隊で敵の勢いを殺し、その後ろに待機する魔族兵の勢いをあげできるだけ損害をへらすためなのだそうだ。
プラスαでいうと、魔獣部隊の中にはスケルトンやレイス、ゾンビなどのアンデットも含まれる。そして、こいつらには意識はなく主人の命令をただ聞き遂行するだけの存在だ。
『どうじゃ、海斗。今回はお前の後ろに一般兵の奴らがおるからの存分に力を示すがよいぞ』
そんなことを考えていると、これまた以前と同じ念話でルーシーが語り掛けてくる。
(うっ。そんなこといわれてもな、魔族の奴ら結構すぐ後ろにいるから殺気がビシビシ伝わってくるんだけど)
(まぁ、俺がルーシーと一緒にいるところ結構見られてたからな。なんであいつがって目で…)
まぁ、そんなことはさておき。俺が安心して生きていくためにもここで負けるわけにはいかないからな、やるしかないぞ。
そうこうしているうちに遠くの方から雄叫びが上がる。
そして、俺たちの陣地でも角笛が鳴り雄叫びが上がる。
それを合図に前方の魔獣隊が駆けだす。今回俺は、一匹の魔獣の上に乗っている。
こいつは高さ二メートル、全長八メートルくらいはあろう大きさのドラゴンみたいなトカゲみたいな容姿の奴だ。だが、俺はこいつに一番近い前世の生物の名前を知っている。俺が家で飼っていた「アルマジロトカゲ」だ(ググレカス)。
ちなみに名前は「ザク」だった。餌(虫)をザクザクと食っている姿からつけた。
こいつはルーシーが調教したものだ。なので、とても不満顔で俺を乗せている。名前も同じいのを付けてみた。が…。まだ一度も反応してくれていない。
「どごおぉぉぉぉ」
「ぐあぁぁぁ」「がぁぁぁ」「g…」
とても大きな音に反応し、前方に目をやる。
その音はどうやら先頭の魔獣部隊が敵と交戦状態に入ったようだ。土煙があがり、魔獣たちの叫びうめき声が響き渡る。
そして、その音はどんどん近くになる。ついに、前方に表れた魔獣に向かい普通なら届かない距離の剣を振るう。すると剣から放たれた斬撃が魔獣を一撃で屍に帰る。
ただ、この前使ったソード・ソニックとは違い威力が抑えられている。
(実際使ってみるまで不安だったが、ちゃんと使えてよかった)
この魔力量の制御の仕方について、セバスさん達に教わったものだ。
大事なことは技のイメージだそうだ。
俺はそれを使い次々と切り伏せていく。そして、いつの間にか魔獣部隊は少しこちらの軍優勢で勝負を終え魔族部隊同士の戦いが始まっている。
最後まで読んでいただけるだけで感謝です。
文字ばかりになってすみません。




