『ボヘミアンラプソディ』は見たくない
こちらの映画に対してのアンチのエッセイですので、ご了承願います。
あくまで昔気質のファンのつぶやきです。
お気を悪くされないようお願いいたします。
お時間頂戴できましたらお目通しお願いいたします。_(_^_)_
既に話題にするには古すぎるほどですが、今、ヒットしている映画として、ここの所、何週間もボヘミアンラプソディがいろいろなところで取り上げられているけれど、見に行く気がしないでいます。
ちょうど自分が洋楽に傾倒した時期がクイーンの活躍時代と重なっており…………と言ってもそのころよりもう少し前が全盛期という意見を聞いたこともありますが、自分の大事な時期をそれに支えられて過ごしたという思い出のあるものとして、今回その映画がどんなに良く作られていたとしても、それは過去に見ていた幻想を壊してしまう上書きに成り得る恐れもあり、我が目に触れさせたくない、という思いを止めることができないでいます。
当時、彼らの事を知る手がかりは今の時代と違い、ほんのわずかな手段しかなく、彼らの事を知りたくて、手に入るすべてをすべてをむさぼり読んだあのころの情熱はいったいどこからわいてきていたのかと、今振り返ってみても不思議なくらいです。
ミュージックライフ、その他数冊の音楽雑誌、レコード(!)の解説。ネットのない時代なので検索して調べるようなわけにはいきません。書籍になるような分野でもないので、図書館で調べる、ということも不可能。海外で活躍するバンドがテレビで紹介されることもほとんどなく、私の住んでいたところでは夕方に、わずか10分ほどのビデオクリップを流す番組があり、それを食い入るように見つめ、同じ洋楽(今でもそういうのかな?)好きな友人とは「イギリスの人と文通(メールじゃないですよ!!)したら、もう少しは彼らの事がわからないかな?」と思い詰めたように話をしていました。
この友人と二人で「いつか湯川れい子さんみたいになりたい」と将来の夢を語り合いました。
その願いは、地方の公立大学の英文科に入ったくらいでは叶うわけもなく、今に至るのですが。
そして、この映画の噂を聞いたとき、なぜ今頃、クイーンなの?とまず驚きました。私のような世代に、その音楽が自分たちの大切な時期の支えになった人たちに、偽物でリバイバルして受けるものなのだろうか、と。
なんといっても主役を一目見ただけでオーラがない…………。
上半身のムキムキをやたら脱いで見せたがる、マッチョな三角形の厚い胸板に不釣り合いな細い腕の、自分以外地球上に誰も存在しないのだ、お前の目に入るのはこの自分だけだとでも言うかのように、足を踏ん張りステージに立つフレディの、その虚勢が全く再現できていない。
ちらりと目にした評論には、むしろ若い世代に受けているのだ、とありました。
そこには音楽性の素晴らしさ、ということが挙げられていましたが、それだけでは自分の持った疑問にはしっくりとこなかった。
おそらく、ちまたでもう答えが出ているのだろう問いを考えてみました。
いくつか私なりに思いついたのが以下の数点です。
まず、もう進化することも変化することもないからかも、と思いました。
これだけしかない。終わってしまったことがはっきりしている。もっともっとと求めてもその先はない。だから、今残っているのを味わうしかない、という限定感。逆に言えば、コンプリートしやすい。変化が多すぎる昨今につかれているのかもしれない、と。
それから、もう彼の人がこの世にいないので、この世にないもの、つまり二次元のアニメ―ションと同じ感覚で見れているのかもしれない、とも(ここまで書いてふと気づきましたが、二次元のものを見る感覚というのは、自分が、クイーンをはじめとする洋楽に傾倒していた当時でも、洋楽好きたちは持っていた感がありますね。今の洋楽よりもっともっと遠い手の届かない物だったので)。
そして、今の社会問題ともかぶっているところ。
当時治療法も、いや予防法さえ不明だった流行の最先端の病気にかかってなくなってしまったバイセクシャルの、しかも民族的にもマイノリティーにあたるフレディはLGBTの旗印にぴったりなヒーロー(そういえば、エイズの事が世間に流布し始めた最初は、パンデミックが起こって人類滅亡する、という話もありまして、あれは恐怖でした)。
ただ…………映画を見たくないとは言っても、アマノジャクな私の事、ある日ふっと(明日にでも)見に行ってしまうかもしれない…………(しかしロングランですね)。
見たくない、触れたくないという思いは自分の小さな世界、それは思い込みや都合のいい空想も含めた世界で、その中で、彼の人とこのまま過ごしていたい、という誰にも迷惑をかけないファン心理ながら、やはりすべて知っておきたい、たとえそれが似非情報でも、つらい真実でも、という気持ちもファン心理として、また持っているわけなので。
映画は見ていないけど、この映画関連で、クイーンの元メンバーが表に出てきたことで、私にとって、久しぶりに見たブライアン・メイとロジャー・テイラーがもともと素敵だったとはいえ、保存状態も良好で、なかなかなイケオジになっていたことが救いでした(結構、がっかりさせられる方々も多いので。あくまで元芸能人の方の話ですが。え、この人、『若さ』という皮を脱ぎ捨てたら、中身、こんなのだったのかい?って言う感じの方が結構いらっしゃるので)。
さすが私の見込んだ男たち!私を裏切らない進化をしていた!それを知ることができたのはのは嬉しいことでしたね。
お読みいただきありがとうございました。<(_ _)>